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AI開発の予算とは?費用相場の内訳、予算を抑える方法などを解説

AI開発の予算とは?費用相場の内訳、予算を抑える方法などを解説

更新日 : 2023.12月.04

「AI開発をしたいけれど、予算はどのくらい必要?」
「予算をなるべく抑えてAI開発をしたい」

AIの開発を検討している企業では、そのような疑問や要望を持っている方も多いでしょう。

AI開発の費用は、各工程ごとにかかったエンジニアの人件費を「人月単価✕開発工数」で計算して算出します。

そのため工数が多く、携わるエンジニアの人数が多いほど、コストはかさみます。
一般的な工程は以下の7段階に分かれ、その費用相場は以下です。

工程費用相場
1 ヒアリング一般的に無料
2 コンサルティング40万~200万円程度
3 AI化の可能性検証40万~100万円程度
4 プロトタイプ作成100万~数百万円程度
5 AIモデル開発80万~250万円程度✕人月
6 システム開発60万~200万円程度✕人月
7 運用ケースバイケース

また、AI開発の予算は、以下の要素によっても左右されます。

・開発期間、工数
・AIの種類、機能
・エンジニアのスキルレベルと人数

もし「AI開発の予算を抑えたい」という場合は、以下のような方法を検討するとよいでしょう。

・月額制開発を利用する
・既存のAIエンジンを利用する
・フリーランスのエンジニアを利用する

そこでこの記事では、AI開発の予算に関して知っておきたいことを解説します。

まず最初に、費用相場をお伝えします。

◎AI開発予算の算出方法
◎AI開発の費用相場
◎AI開発の予算を決める要素

その上で、予算をなるべく抑えるためのノウハウも説明します。

◎AI開発費用に関する注意点
◎AI開発費用を抑える方法

最後まで読めば、知りたいことがわかるはずです。
この記事で、あなたの会社が納得いく予算でAI開発できるよう願っています。

1.AI開発予算の算出方法

まず最初に、「AI開発の予算はどのように算出するのか」、その方法を知っておきましょう。

AI開発費用は、各工程ごとにかかったエンジニアの人件費で算出します。

エンジニアの人件費は、「人月単価✕開発工数」で求めますので、工数が多く、携わるエンジニアの人数が多いほど、コストはかさみます。

AI開発の一般的な工程は、以下の7段階に分かれています。

1)ヒアリング
2)コンサルティング
3)AI化の可能性検証
4)プロトタイプ(モックアップ)作成
5)AIモデル開発
6)システム開発
7)運用

各工程の費用相場については、次の章で説明しましょう。

2.AI開発の費用相場

AI開発は、非常に高額な費用が必要とされています。
実際、1,000万~5,000万円かかることもしばしばで、中には1億円近いケースもあります。

が、一方で近年は、500万円前後で開発を請け負うベンダーも増えているようです。
これは、AI開発を支援するツールやオープンソースが出てきたことや、中小企業もAI開発に参入し始めたことなどによると思われます。

そのような事情を踏まえた上で、一般的なAI開発費用の相場を工程ごとにまとめたのが以下の表です。

工程費用相場
1ヒアリング一般的に無料
2コンサルティング40万~200万円程度
3AI化の可能性検証40万~100万円程度
4プロトタイプ作成100万~数百万円程度
5AIモデル開発80万~250万円程度✕人月
6システム開発60万~200万円程度✕人月
7運用ケースバイケース

では、各工程の費用相場についてもう少しくわしく見ていきましょう。

2-1.ヒアリング:一般的には無料

AI開発を外注する際には、まず開発会社のヒアリングを受けます。
何のために、どのようなAIを作りたいか、開発会社とのやりとりの中で明確化していきます。

反対に開発会社からは、どのような技術を用いてどんな流れで開発するか、費用はどの程度かかりそうかといった説明があるはずです。

この段階で、「開発予算はこの程度」と伝えてすり合わせをするといいでしょう。

このヒアリング段階については、基本的には費用は発生しないケースが多いようです。

2-2.コンサルティング:40万~200万円程度

正式に開発を依頼することになると、コンサルティングに進みます。
開発を依頼した企業が抱える課題を洗い出し、それに対してAIで何ができるか、またその場合の費用対効果などをくわしく検証したうえで、要件定義書と仕様書を作成していきます。

コンサルティングの費用相場は、開発の内容によって異なりますが、おおよその目安としては40万~200万円程度でしょう。

もし要件定義と仕様書作成まで企業側が自社で行う場合は、もちろんこのコンサルティング費用は発生しません

2-3.AI化の可能性検証:40万~100万円程度

次に、AI化できるかの可能性を検証します。

AIシステムは、導入すればかならず希望通りの成果が上がるとは限りません。
企業側がもっているデータ数やデータの種類を踏まえて、求めているAI精度を確保できるかなどを検証し、実際にAI化できるかどうかを判断する必要があるのです。

この検証の費用は、おおよそ40万~100万円程度です。
が、ケースによっては無料で実施してくれる開発会社もあるようです。

逆に、AIの機械学習に必要な「教師データ」が整っていない場合は、その収集のために費用が発生することもありますので、開発会社によく確認してください。

2-4.プロトタイプ作成:100万~数百万円程度

AI化が可能だとわかれば、まずAIの「プロトタイプ」を作成します。
「モックアップ」と呼ばれることもあります。

ここでは作成した仕様書に沿って、企画した通りの機能を実現できるのか、精度は十分かを検証していきます。
このとき、企業側がもっているデータを用いて機械学習モデルを実装します。

プロトタイプ作成の費用は、おおよそ100万~数百万円です。
が、開発するAIモデルが一般的なものであれば、すでに作成されたAIテンプレートを利用してカスタマイズができるため、費用はもっと抑えることができるでしょう。

2-5.AIモデル開発:80万~250万円程度✕人月

プロトタイプでの運用が成功すれば、いよいよ実際のAIモデル開発に入ります。
検証で浮き彫りになった問題点を解消し、チューニングしながら開発を進めていきます。

AI開発のプロセスの中では、この段階がもっとも費用がかかるといえるでしょう。

というのも、AIモデルの開発期間は3か月から半年、あるいはそれ以上におよび、その間エンジニアの人数に応じて人月単価が発生するからです。

一般的な相場は、「80万~250万円 ✕ 人月」程度だと思ってください。

2-6.システム開発:60万~200万円程度✕人月

原則的に「AI開発」は、上記のAIモデル開発までで完了です。

が、実際には多くのケースで、このAIモデルを運用するためのシステムも開発する必要があります。

というのも、AIは業務フロー全体のデジタル化が進んでいればいるほど、大きな成果を上げることができるからです。

その場合、システム開発の費用はおおよそ「60万~200万円 ✕ 人月」程度でしょう。

2-7.運用:ケースバイケース

さらに、AI開発がすべて完了した後には、運用しながらチューニングし、精度を高めていく必要もあるでしょう。

この運用費用は、ケースによって異なりますので開発会社に確認してください。

3.AI開発の予算を決める要素

さて、AI開発の費用相場をお伝えしましたが、それぞれの金額に大きな幅があることに気づくでしょう。
それは、予算を左右する要素がさまざまあるためです。

そこでこの章では、AI開発の費用は何によって決まるか、その主な要素について説明します。

3-1.開発期間、工数

まず、開発費用の基本はエンジニアの人件費です。

そのため、エンジニアをどの程度の期間確保して、どの程度の作業量が生じるか、つまり「開発期間」と「開発工数」は開発費用を決める重要な要因です。

その計算方法は、前述したように「人月単価✕開発工数=エンジニアの人件費」として算出します。

開発期間が長く、作業量が多いほど費用はかさむので、最初に要件定義を詳細に決めて、無駄な工数が生じないように努めましょう。

3-2.AIの種類、機能

また、どのようなAIを作るか、どんな機能をもたせるかも重要です。

たとえばシンプルなチャットボットなど、すでに同様のものが構築済みの場合は、既存のモデルをもとに開発を進められるため、期間も工数も抑えることができ、結果として開発費用も比較的に低めにできます。

一方で、今までにない新しい機能をもつAIを開発する、いわゆる「フルスクラッチ」の場合は、費用も高くなるでしょう。

3-3.エンジニアのスキルレベルと人数

3-1.開発期間、工数とも関係しますが、開発に携わるエンジニアのスキルレベルと人数も、人件費を左右する大きな要素です。

高度なスキルと実績をもつエンジニアほど、人月単価が高くなります
相場はおおよそ以下の通りで、上級SEであればひとり当たり120万~200万円/人月という高額が必要です。

エンジニアのレベル人月単価
PG(下請け・フリーランス)40万~80万円
PG(大手開発会社)60万~100万円
SE(初級)60万~100万円
SE(中級)80万~120万円
SE(上級)120万~200万円

以上のほかにも、学習データの精査や実装の規模などによっても開発費用は異なります。
事前に予算感を把握して、開発会社の見積もりとすり合わせるようにしましょう。

4.AI開発費用に関する注意点

ここまでで、AI開発の予算感はだいたい掴めたかと思います。

が、実際にAI開発を外注する際には、予算や費用に関していくつか注意しなければならないポイントがありますので、それもお伝えしておきましょう。

4-1.課題や目的を明確にしておく

まずAI開発に入る前に、「AIでどんな課題を解決したいか」「何のためにAIを活用するか」を明確にしておきましょう。

「AIを利用すれば、業務全体が今より改善されるだろう」「とりあえず導入すれば、いろいろ活用シーンが見つかるはず」など、目的があいまいな状況で開発に取り掛かると、開発の着地点が見つからずに無駄に開発期間と費用を費やすことになり、予算がふくらんでしまうからです。

そのような失敗に陥らないよう、最初にAI開発の目的、解決したい課題を洗い出し整理した上で、開発会社とのヒアリングに臨みましょう。

そうすれば、最適な期間と費用で開発に臨めるはずです。

4-2.予算を決めておく

もうひとつ、最初に決めておくべきなのが「予算」です。

AI開発は、通常の開発と比べてコストがかさむものです。
特に、今までにあまりない独自の機能をもったAIを開発しようとすれば、より多くの費用が必要です。

反対に、既存のAIモデルをカスタマイズする場合は、コストは抑えられますが、実際に開発してみないと正確な費用感が見えにくいという難点もあります。

そこで、際限なく費用がふくらむのを未然に防ぐためにも、あらかじめ予算枠を定めておきましょう。
2.AI開発の費用相場で挙げた費用相場も参考にしてください。

ただ、あまりに予算を絞りすぎると、必要な機能を十分に開発できない恐れもあります。
最大でどの程度出せるかバッファをもたせつつ、適切な予算を立ててください。

4-3.複数社から相見積もりをとる

前項とも関係しますが、適切な予算感を掴むためには、相場を知ると同時に開発会社から見積もりを取ることも必須です。

それも1社ではなく数社から相見積もりを取り、各社の見積額と相場とを比較した上で、適切な費用を提示した開発会社を選びましょう。

他社や相場と比べて極端に費用が高額なところ、あるいは安すぎるところは、何か理由があるはずです。

気になった場合は先方に理由を確認し、納得できなければその開発会社は避けた方がよいでしょう。

4-4.開発会社の実績やエンジニアのレベルを確認する

また、開発会社を比較する際には、見積だけでなく開発実績やエンジニアのレベルについても確認してください。

開発会社にはそれぞれ「画像認識が得意」「データの異常検知に関して経験豊富」など、得意分野や得意なプログラミング言語があり、抱えているエンジニアのレベルもさまざまです。

それを理解せずに、もし自社の希望する開発と同様の実績がないところや、エンジニアのレベルが低いところに委託してしまうと、なかなか開発が完了せず、無駄に開発費用を費やすことにもなりかねません。

そのため、「希望するAIに近いものの開発実績が豊富であること」「希望する開発を行うのに十分な技術と経験を持つエンジニアがいること」を事前にかならず確認しましょう。

4-5.開発会社に任せきりにしない

最後に注意したいポイントは、開発会社に委託したあとも、先方に任せきりにはしないということです。

開発会社はAI開発のプロですから、AIに関しては精通しています。
が、あなたの会社が抱えている課題や、製品やサービスの特性などについてはよく知りません。

そのため、開発会社に任せきりにしてしまうと、AIとしては優れていてもあなたの会社の業務にはかならずしも適していないものができてしまう恐れがあります。

場合によっては、必要ない機能まで付加されて、余計な開発費用が発生してしまうかもしれません。

こちらの希望しているAIと完成品にズレが生じずに、必要最低限の期間と費用でAIを完成させられるよう、進捗をこまめに確認しながら進めていきましょう。

5.AI開発費用を抑える方法

ここまでで、AI開発の予算、費用についてひと通りの説明ができました。
が、この記事を読んでいる方は、「AI開発をしたいが、できれば予算はなるべく抑えたい」という希望があるのではないでしょうか?

そこで最後に、AI開発の費用を抑えるための方法をいくつか提案しておきましょう。

5-1.月額制開発を利用する

まず第一に、近年注目されている「月額制」の開発を利用する方法があります。

5-1-1.AI開発に向くのは「アジャイル型開発」

システム開発の手法には、主に「ウォーターフォール型」「アジャイル型」などがあります。

◎ウォーターフォール型開発:開発の最初の段階で要件や仕様をくわしく決め、すべてが完成してからシステムをリリースする
◎アジャイル型開発:要件や仕様はざっくりと決めるだけで開発をスタートし、短期間で設計、リリース、テストを繰り返しながら改修、改善を進めていく

一般的に、日本でのAI開発ではウォーターフォール型が多いといわれています。
費用の点でも、着地点が決まっているウォーターフォール型の方が、いつ完成するか未定のアジャイル型よりもトータルでは低コストで収まります。

が、AIは一度完成すればそれで終わりというものではなく、リリース後も学習とチューニングを繰り返して精度を高めていくため、本質的にはアジャイル型開発が向いているとも言われているのです。

ただ、上記でも触れたように、アジャイル型開発はゴールを決めずに短い開発サイクルを繰り返すため、ウォーターフォール型よりコストがかさむという弱みがあります。

5-1-2.月額制開発ならコストを抑えられる

となると、「なんとか費用を抑えながらアジャイル型開発できないか?」という要望が出てくるでしょう。

その場合は、「月額制」の開発を検討してみてください。

月額制開発は、開発費用をプロジェクト全体で算出するのではなく、毎月定額で支払う方法です。
月額制アジャイル型開発にすれば、以下のような理由で費用を抑えることが可能です。

・開発会社としては、開発が完了するまで開発費を受け取れない契約よりも、月額制の方が毎月定額の収入が保証されてリスクが少ないので、費用を低く設定することができる
・従来の方法では、開発途中で仕様変更や修正があると追加費用が発生するが、月額制ならいくら仕様変更をしても費用は定額

月額制開発は、現時点で開発費用がどの程度かかったかを随時把握できるため、予算のコントロールもしやすいでしょう。

開発会社を選ぶ際には、月額制で請け負っているところも候補に入れて検討してください。

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5-2.既存のAIエンジンを利用する

何度か前述しましたが、開発したいAIがチャットボットなどすでにシステム構築がなされているものであれば、既存のAIエンジンを利用してカスタマイズすることで、費用を大幅に抑えることが可能です。

安価で提供されているものもありますし、中にはオープンソースで提供されているAIエンジンもあります。
利用できるものがあるか、開発会社に確認してみましょう。

たとえばチャットボットの場合、以下のようなAIエンジンがありますので、参考にしてみてください。

◎IBM「Watson Assistant
 →リアルタイムの自然言語処理(NLP)を使用して、顧客のニーズに適応した応対をします。
  ノーコードで最短1時間程度でチャットボットの作成が可能です。

◎Google「Dialogflow
 →自然言語解析によるチャットボット・対話ボットの作成プラットフォームです。
  Google HomeやGoogle Assistantとの連携が可能で、多様に活用できます。

5-3.フリーランスのエンジニアを利用する

AI開発費は基本的にエンジニアの人件費から算出しますので、人件費を下げることができれば予算も抑えられます

が、3-3.エンジニアのスキルレベルと人数でも触れたように、エンジニアの人月単価はスキルレベルに比例するため、「安いエンジニア=レベルが低い」ということで開発の質も下がってしまう恐れがあります。

そこで、検討したいのがフリーランスのエンジニアです。
以下の表で分かるように、一般的にフリーランスの人月単価は低めです。

エンジニアのレベル人月単価
PG(下請け・フリーランス)40万~80万円
PG(大手開発会社)60万~100万円
SE(初級)60万~100万円
SE(中級)80万~120万円
SE(上級)120万~200万円

といっても、これはかならずしも「技術が低いため」とは言えません。
フリーランスの中には高度なスキルと豊富な経験値をもって独立した人も多くいるのです。

そのような人材を見つけることができれば、低コストでハイクオリティな開発も可能になります。

社内の別部署や社外の同業者などで、フリーランスのエンジニアに委託したことがある人がいれば、過去にAI開発で実績を上げたよい人材がいないか相談するといいでしょう。

6.まとめ

いかがでしょうか?
AI開発の予算について、よくわかったかと思います。

ではあらためて、記事の要点を振り返ってみましょう。

◎AI開発予算の算出方法は「人月単価✕開発工数」

◎AI開発の費用相場は、以下の通り

工程費用相場
1ヒアリング一般的に無料
2コンサルティング40万~200万円程度
3AI化の可能性検証40万~100万円程度
4プロトタイプ作成100万~数百万円程度
5AIモデル開発80万~250万円程度✕人月
6システム開発60万~200万円程度✕人月
7運用ケースバイケース

◎AI開発の予算を決める要素は、
 ・開発期間、工数
 ・AIの種類、機能
 ・エンジニアのスキルレベルと人数

◎AI開発費用に関する注意点は、
 ・課題や目的を明確にしておく
 ・予算を決めておく
 ・複数社から相見積もりをとる
 ・開発会社の実績やエンジニアのレベルを確認する
 ・開発会社に任せきりにしない

◎AI開発費用を抑える方法は、
 ・月額制開発を利用する
 ・既存のAIエンジンを利用する
 ・フリーランスのエンジニアを利用する

以上を踏まえて、あなたの会社が納得いく予算でAI開発できるよう願っています。

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