「クラウド人材ってどういう人材のことだろう?」
「クラウド人材ってどうして必要なのかな」
このように考えているのではないでしょうか。クラウド人材とは、クラウドを扱える人材のことです。
クラウドとは、ユーザーがサーバーやストレージなどのインフラを持っていなくてもネットワーク経由で利用できるサービスのこと。一般的に利用されているクラウドサービスとしては、以下のようなものがあります。
企業でもデータの保存や共有をクラウドで行うことが増えています。企業にクラウドを導入するためには、クラウドを扱える人材が原則として必要だからです。
その一方でクラウド人材は不足しつつあり、これからますます深刻化するとも予想されています。
クラウド人材を求めている企業にとっては、人材不足をどのように解決するかは大きな課題となっています。
この記事ではクラウド人材の必要性や確保する方法、クラウド人材を育成をするのが難しい理由など以下の内容について詳しく解説します。
この記事を読めばわかること |
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この記事をお読みいただくことで、クラウド人材についての基本的な情報が網羅できると思います。ぜひこの記事を、クラウド人材の育成や採用に向けて参考にしていただければ幸いです。
1.クラウド人材はクラウドを扱える人材のこと
この上では、クラウド人材の基本情報や、必要性などについて詳しく解説していきます。
1-1.クラウド人材とは
冒頭でも解説した通り、クラウド人材とはクラウドを扱える人材のことです。
近年、データの保存や共有など様々なシーンでクラウドが利用されるようになってきました。GmailやGoogleドライブを始め、iCloudやOffice 365など、今ではクラウドサービスは一般的に誰でも利用しているものです。
クラウドは、ユーザーがサーバーやネットワーク、ストレージなどのインフラを持っていなくてもサービスを利用できるのが大きな特徴です。以前はデータのやり取りなどをUSBメモリなどに物理的に保存して共有するといったことが一般的でしたが、近年ではクラウドを利用して簡単にデータの保存や共有ができるようになっています。
具体的には以下のようなスキルを持っている人が「クラウド人材」と言われます。
クラウド人材に求められるスキル |
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社会全体で急速なDX化が進んでいる影響で、これまでクラウドを利用していなかった企業もクラウドの導入が進んでいます。それに伴い、クラウド人材も多く求められるようになっているのです。
1-2.クラウド人材は近年不足しつつある
クラウド人材は近年不足しつつあるといった現状も無視できません。
特に日本ではパンデミックの影響などもありDX化が急速に行われているため、クラウド人材の需要と供給のバランスが崩れています。クラウドサービスの需要が高まっているにも関わらず、サービスの開発に不可欠なクラウド人材が不足しているのです。
その背景には、国際的に見ても日本はデジタル化が進んでおらず、IT人材が不足しているという事実もあります。IT人材が不足している原因などについては「ICT人材とは?現状や育成への課題・解決策を徹底解説」でも解説していますので参考にしてみてください。
またクラウドを運用するために必要なスキルが幅広いという点も、クラウド人材が不足する原因となります。
クラウドが出現する前には、エンジニアは特定の部門の専門的な知識を持っている必要があり、そうしたエンジニアが協力し合ってひとつのシステムを構築していました。しかしクラウドが出現してからはそうしたシステム構築を一人で行えるようになった一方、一人のエンジニアに求められるスキルや知識の範囲が拡大したのです。
その結果、クラウドサービスを運用するためのクラウド人材の不足が深刻化しているともいえるでしょう。
2.クラウド人材の必要性とは
企業は、必ずクラウド人材がいなければクラウドを利用することができないのでしょうか。その答えは、「運用する内容による」ということになります。
クラウド人材の必要性に関して解説する前に、まずはクラウドの種類についてみていきましょう。クラウドには大きく分けて3つの種類があります。
種類 | 内容 | サービス例 | クラウド人材の 必要性 |
SaaS | パッケージ化されたクラウドサービス | Gmail Googleドライブ Office 365 | △ |
PaaS | アプリ以外がパッケージ化されたクラウドサービス | Google App Engine Microsoft Azure | ◯ |
IaaS | インフラのみを提供するクラウドサービス | Amazon Web Services(AWS) Google Compute Engine(GCE) | ◎ |
企業がクラウドを導入する場合、以上の3種類のうちのどのサービスを導入するかによってクラウド人材の必要性は変わります。
たとえばSaaSの場合はすでにソフトウェアまでパッケージ化されているサービスなので、導入するだけで誰でもすぐに利用することが可能です。この場合は、クラウド人材の必要性は低いと言えます。
しかし、PaaSやIaaSのサービスを利用してシステムを構築する場合にはクラウド人材は必要不可欠です。PaaSやIaaSを利用する場合には低コストやシステム構築の自由度の高さなどのメリットがあるため、重要視する企業が多いのです。
既にパッケージ化されたサービスを導入するだけなら必ずしも必要とは言えませんが、企業の成長のために自由度の高いクラウドを設計・運用するためには、クラウド人材は必要不可欠です。
3.クラウド人材を確保する2つの方法
それではここからは、クラウド人材を確保する2つの方法について解説していきます。クラウド人材を確保するためには以下の2つの方法が挙げられます。
それぞれについて詳しく解説していきます。
3-1.クラウド人材を採用する
まずはクラウドを扱うのに十分なスキルを持ったクラウド人材を採用する方法です。
すでにスキルや経験を持った人材を採用することができれば、育成などに費用や時間をかけることなくすぐに対応できるというメリットがあります。
その一方で日本国内のクラウド人材そのものの絶対数が足りていないため、そもそも人材を採用するのが難しいという問題点があります。採用するにしても高額の人件費がかかってしまうなど課題が多いのが現状です。
3-2.クラウド人材を育成する
クラウド人材を確保する方法として近年注目を集めているのが、クラウド人材を育成するという方法です。
企業が社員に対して研修を行うなどでクラウド人材を育成し、開発に携わってもらうといった方法もあります。またクラウド人材育成サービスなども近年増えているため、そういったサービスを導入する企業も多くなっています。
しかし実際にはクラウド人材を育成する事は簡単ではありません。次の章では、クラウド人材を育成するのが難しいといった内容についてより詳しく掘り下げていきます。
4.クラウド人材を育成するのは難しい
第3章でも解説した通り、クラウド人材を自社で育成するといった方法も近年注目されています。しかしクラウド人材を育成するのは難しい、といった事実もあります。
この章では、クラウド人材を育成するといった内容についてより詳しく解説していきます。
4-1.クラウド人材の育成が難しいのは変化が多い業界だから
クラウド人材の育成が難しい理由の最も大きなものとして、クラウド業界の変化が多いという点が挙げられます。クラウドに求められる知識は幅広く、アップデートが頻繁で変化が多いため、定着しづらいのです。
例えば世界で最も広く利用されているクラウドサービス、AWS(Amazon Web Services)は、2013年以降そのサービス数を増やしており、指数関数的成長といえます。
それに比べてAWSのサービスアップデートの数も、年間で3,000件以上と膨大です。
研修や勉強をいくら行ったとしても実務でそれらを利用するためには、膨大なサービスやアップデートにその都度ついていく必要があるのです。クラウドを扱うためにはクラウドの知識が不可欠なためです。
ここにクラウド人材を育成することが難しいとされる理由があるのです。
4-2.クラウド人材を育成する2つの方法
クラウド人材を育成するためには、大きく分けて以下の2つの方法を取る必要があります。
それぞれについて詳しく解説していきます。
4-2-1.クラウド人材育成サービスを活用する
メリット | デメリット |
ニーズに合わせて必要なカリキュラムを選べる オンライントレーニングも可能 教育のスキームを丸ごと委託できる | 費用がかかる |
クラウド人材を育成する最も代表的な方法は、クラウド人材育成サービスを活用することです。
クラウドのニーズの上昇に合わせて、近年クラウド人材を育成するサービスも増えています。様々なカリキュラムの中から必要なものを選び、社内で研修などを行ってスキルを身に付けるといった方法です。
またクラウド人材育成サービスの中には、オンライントレーニングができるものもあります。自分の好きな時間や時間を利用してトレーニングできるため、こちらも近年人気が高まっています。
クラウド人材育成サービスを活用するデメリットとしては、費用がかかるという点です。クラウド人材育成に関わる業務を外部にアウトソーシングする必要があるため、自社内で行うよりも費用がかかる事は承知しなければなりません。
4-2-2.個人にスクールや書籍の利用を促す
メリット | デメリット |
企業側がサービスや教材を選ぶ必要がない 費用を節約できる | 定着率が下がる可能性がある 結果的に費用がかさむ場合もある |
社員にクラウド関連のスクールを受講してもらったり、書籍の利用を促すといった方法もあります。この方法だと会社側がクラウド人材育成サービスを選んだりする必要はなく、個人にサービスや書籍を選んでもらうため手間が省けるといったメリットがあります。
またクラウド人材育成サービスをアウトソーシングする方法ではないので、費用を節約できるといった点もメリットと言えるかもしれません。
その一方で社員の自主性が重要となるため、定着率が下がってしまうといったことも懸念されます。また個人にサービスを利用してもらうと、結果的にアウトソーシングするよりも費用がかかってしまう可能性も考えられます。
いずれの場合もメリットデメリットがあるため、自社にとって最も利用しやすく成果の出やすい方法を吟味する必要があるでしょう。
5.日本からの採用が難しい場合は海外からの採用も「あり」
クラウド人材を国内から確保するのが難しいようであれば、クラウド人材を海外から採用するという方法もあります。この上では、クラウド人材の海外からの採用について以下の内容を解説していきます。
それぞれについて解説していきます。
5-1.クラウド人材の海外からの採用の可能性
クラウド人材を海外から採用するといった選択肢も十分に検討する価値はあるでしょう。
第1章でも解説した通り、特に日本では海外に比べてIT人材が足りていないといった事実があります。つまり日本に比べて海外の方が、IT人材を確保できる可能性が高いということも言えるのです。
近年ではIT人材を海外から採用する企業も増えています。海外の人材採用サービスを利用したり、海外オフショアで海外に技術をアウトソーシングするなどが一般化しているのです。
クラウド人材を求めている場合にも、海外からの採用を検討してみてはいかがでしょうか。
5-2.クラウド人材をどの国から採用するか
クラウド人材を海外から採用する場合にどこの国から採用するのが良いのでしょうか。ここでは海外からの採用の多い中国、インド、ベトナムについて詳しく解説します。
中国 | インド | ベトナム | |
人件費 | △ | ○ | ◎ |
技術力の高さ | ◎ | ◎ | ○ |
コミュニケーション | 中国語 日本語可の技術者が多い | 英語 日本語習得に抵抗がない技術者が多い | ベトナム語 |
■人件費
人件費を抑えてクラウド人材を採用したいと考える場合には、人件費の低い国を選ぶ必要があります。中国は以前は人件費が安いことで人材採用が進められてきましたが、近年では中国国内の経済成長もあって人件費は高騰しつつあります。
インドも近年では人件費が高まっているとの声もありますが、日本国内や中国などに比べるとまだまだ採用しやすいといってもいいでしょう。
ベトナムやフィリピンなどの東南アジア諸国は人件費が低い傾向にあります。
■技術力の高さ
技術