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インド工科大学マドラス校とは|特徴、レベル、入学試験など徹底解説

インド工科大学マドラス校とは|特徴、レベル、入学試験など徹底解説

更新日 : 2023.12月.04

「インド工科大学マドラス校とはどんな大学か?」
「世界的にもレベル高い大学だと聞いたけれど、本当?」

今この記事を読んでいる方は、そんな疑問を持っているでしょう。

「インド工科大学」とは、インドの理系国立大学23校の総称です。
中でもマドラス校は伝統もあり、教育や研究のレベルも高いインドでも最高峰の大学のひとつです。

卒業生も優秀で、世界的企業のトップを務める者や、業界にイノベーションを起こすアントレプレナーを多数輩出しています。

そこでこの記事では、インド工科大学とはどんな大学なのか、さまざまな切り口で見ていきましょう。

◎インド工科大学マドラス校の基本情報、沿革、学部
◎インド工科大学マドラス校のレベル
◎インド工科大学マドラス校の入学試験
◎インド工科大学マドラス校のカリキュラム
◎インド工科大学マドラス校の卒業生
◎インド工科大学マドラス校のキャンパスライフ

最後まで読めば、どんな大学かイメージできると思います。

この記事で、あなたにインド工科大学マドラス校の魅力が伝わるよう願っています。

1.インド工科大学マドラス校とは

インド工科大学マドラス校は、23校あるインド工科大学の中でもっともレベルの高い大学です。

まずはその基本的な情報からおさえておきましょう。

1-1.基本情報

インド工科大学マドラス校(Indian Institute of Technology Madras)は、略称「IITM」と呼ばれます。

タミル・ナドゥ州チェンナイの、ギンディー国立公園の一部をキャンパスとして1959年に設立されました。
チェンナイ空港から10km、チェンナイ中央駅から12kmに位置する、自然豊かな大学です。

学生や教職員の多くは、キャンパス内にあるホステルに住み、構内には病院、ショッピングセンター、ジム、銀行、寺院までが揃っています。

・所在地:Chennai, Tamil Nadu, 600036, India
     (インド、チェンナイ)
・設立年:1959年
・学生数:学部生 2,105人/大学院生 4,112人/博士課程研究者 2,963人
・職員数:677人
・キャンパス面積:約250ha

1-2.沿革

インド工科大学マドラス校は、1959年に設立されました。

1956年、当時のインド首相・ネルーが西ドイツを公式訪問し、ドイツ政府から支援を受けてインドに高等教育機関を設立する協定を締結しました。

その支援内容は、

・ドイツ人教授の派遣
・20人のインド人教員のトレーニング
・20の研究所を設立するための科学技術機器の提供  など

で、これによりインド工科大学マドラス校が誕生したのです。

初代理事長はA.ラクシュマナスワミー博士、研究所の初代理事はB.セングプト博士が就任しました。

その後、1961年にはインドの国会において、「国家重要機関」であることが宣言されました。

1956年 ドイツと協定を締結
1959年 インド工科大学マドラス校 設立
1961年 国家重要機関に認定
1962年 インド・ドイツ技術支援プログラム 開始
1976年 フランス政府と航空部門への協力と支援に関する協定を締結

1-3.学部

インド工科大学マドラス校には、以下の学部があります。

・航空宇宙工学
・応用力学
・バイオテクノロジー
・化学工学
・化学
・土木工学
・コンピュータサイエンスとエンジニアリング
・電気工学
・工学的設計
・人文社会科学
・経営学
・数学
・機械工学
・冶金および材料工学
・海洋工学
・物理

2.インド工科大学マドラス校のレベル

インド工科大学マドラス校は、インド国内最高峰の高等教育機関として知られています。

では、そのレベルはどの程度でしょうか?
さまざまなランキングから見てみましょう。

2-1.NIRFランキング

「NIRF」とは「National Institutional Rank Framework」の略で、インド政府による国内の高等教育機関ランキングです。

大学をはじめとする各教育機関を、「教育、学習、リソース」、「研究と専門的実践」、「卒業結果」、「アウトリーチ(対外支援)と包括性」、「認識」の5つのパrメータで評価し、順位を決定しています。

インド工科大学の各校も順位づけされていますので、見てみましょう。
以下はIndia Rankings 2021: Overallからトップ10です。

India Rankings 2021: Overall

NIRFランク大学名NIRFスコア
1インド工科大学マドラス校86.76
2インド科学研究所82.67
3インド工科大学ボンベイ校82.52
4インド工科大学デリー校81.75
5インド工科大学カンプール校76.50
6インド工科大学カラグプル校75.62
7インド工科大学ルールキー校71.40
8インド工科大学グワハティ校69.26
9ジャワハルラルネルー大学66.61
10バナラスヒンドゥ大学63.10

ご覧のように、インド工科大学マドラス校は、インド国内の国立の高等教育機関の中で第1位に輝いています。
ちなみに、2019年から連続1位が続いていて、その前の2017〜2018年は2位でした。

大学の公式サイトでも、トップページで「The Champions of Technology」「The Best of the Best」「NO.! for 5 Years running…」と謳っています。

文字通り、インド最高峰の大学なのです。

2-2.世界大学ランキング

次に、視線をインド国内から国外に向けてみましょう。

世界中の大学や高等教育機関をランクづけした「世界大学ランキング」です。
さまざまな機関、企業が独自の指標にもとづいて順位をつけたランキングを公表しています。

その中でも、3大ランキングと言われるのが以下です。

◎「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(The Times Higher Education/THE)」世界大学ランキング
 →イギリスの「TIMES」紙が発行している高等教育の情報誌によるランキング

◎「クアクアレリ・シモンズ(QS)」世界大学ランキング
 →高等教育機関に調査分析結果を提供するイギリスの企業によるランキング

◎「世界大学学術ランキング(Academic Ranking of World Universities/ARWU)」
 →中国・上海交通大学が始め、現在は「Shanghai Ranking Consultancy」が発表しているランキング

これらにおいて、インド工科大学マドラス校がどの程度に位置付けられているか見てみましょう。

ランキング名インド工科大学のランキング
タイムズ・ハイヤー・エデュケーション
(THE)世界大学ランキング2022
・インド工科大学ロパール校:351〜400位
・インド工科大学インドール校:401〜500位
・インド工科大学ガンディナガール校:601〜800位
クアクアレリ・シモンズ(QS)
世界大学ランキング2023
・インド科学研究所:155位
・インド工科大学ボンベイ校:172位
・インド工科大学デリー校:174位
・インド工科大学マドラス校:250位
2021年世界大学学術ランキング(ARWU)・インド工科大学デリー校
・インド工科大学カラグプル校
・インド工科大学マドラス校:いずれも701〜800位

THEのランキングは、検索してもマドラス校が出てこないので、そもそもランキングに含まれていないのかもしれません。

が、それ以外のQS、ARWUのランキングでは、マドラス校は含まれていました。

ただ、インド工科大学の中でもトップの評価ではなく、QSではデリー校やボンベイ校の方が評価が高いようです。

それはなぜでしょうか?
評価の内訳を見てみましょう。

クアクアレリ・シモンズ(QS)世界大学ランキング2023

大学名インド工科大学
ボンベイ校
インド工科大学
デリー校
インド工科大学
マドラス校
ランキング172位174位250位



全体46.746.538.6
学術的評価53.34938
雇用主からの評価86.579.258.3
教員と学生の比率25.827.727.6
学部あたりの引用数25.865.258.3
留学生比率1.61.71.4
国際教員比率3.92.62.8
国際研究ネットワーク5842.241.4
雇用の成果76.784.876.1

これを見ると、マドラス校は「学術的評価」、「雇用主からの評価」で他の2校に遅れをとっています。

とはいえ、世界中に2万3,000校あるとも言われる大学の中で見れば、上位1〜3%に含まれる優秀な大学であることは確かです。

2-3.就職力ランキング

インド工科大学が世界的に注目されているのは、大学としてのレベルの高さや研究成果だけではありません。
卒業生が優秀であるため、世界中のIT関連企業が獲得競争を繰り広げているのです。

そこで、インド工科大学マドラス校の「卒業生の就職力」も見ておきましょう。

前述の「クアクアレリ・シモンズ(QS)世界大学ランキング」には、「卒業生の就職力ランキング」というカテゴリーがあります。

それによると、インド工科大学各校の就職力ランキングは以下のようになっています。

クアクアレリ・シモンズ(QS)世界大学ランキング2022:卒業生の就職力ランキング

・101〜110位:インド工科大学ボンベイ校
・131〜140位:インド工科大学デリー校
・151〜160位:インド工科大学マドラス校
・201〜250位:インド工科大学カラグプル校
        デリー大学
・251〜300位:インド工科大学カンプール校
        ムンバイ大学
・301〜500位:インド科学研究所
・501位〜:インド工科大学ルールキー校

マドラス校は、151〜160位のランクに含まれています。

その評価は以下の通りで、卒業生の就職力が満点であるのが特徴的です。
「マドラス校卒」は、インドではもっとも就職に強いブランドのひとつだというわけです。

雇用主からの評価45.4
同窓生たちの成果43.9
卒業生の就職力100

世界の企業が注目する「インド工科大学」の学生を
インターンシップを通じて採用するプロジェクト「GALK(ガルク)」

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3.インド工科大学マドラス校の入学試験

このように、インド国内でトップクラス、世界的にも高く認められているインド工科大学マドラス校ですが、優秀な学生を獲得するためにどのような入学試験を実施しているのでしょうか?

実はインド工科大学各校に入るには、独自の試験制度「IIT-JEE(Indian Institutes of Technology-Joint Entrance Examination)」をクリアしなければなりません。

インドでもっとも難易度の高い試験で、その合格率は1%程度ともいわれ、「JEE Main」と「JEE Advanced」の2段階に分けて実施されます。

・JEE Main

インドで大学入学を目指す学生が受ける、比較的難易度の低い試験です。
毎年2回実施され、科目は数学、物理、化学です。

この試験で上位の成績をおさめた人が、インド工科大学入学に特化した「IIT-JEE Advanced」の受験資格を得ることができます。

・JEE Advanced

「JEE Main」をクリアした者が受けられる上級試験です。

インド工科大学のボンベイ校、デリー校、グワハティ校、カンプール校、カラグプル校、マドラス校、ルールキー校が共同で、年に1回実施します。

科目は数学、物理、化学の3つ、その成績上位者から順番に、インド工科大学23校の中から希望の大学、学部に入学することができます。

4.インド工科大学マドラス校のカリキュラム

「IIT-JEE」をクリアしてインド工科大学に入学した学生には、どのようなカリキュラムが用意されているのでしょうか?

まず学部では、以下の3つのプログラムがあります。

◎B.Tech:4年間で工学分野の学位を取得するプログラム

◎デュアルディグリー(B.Tech & M.Tech):5年間で工学と科学の一部の分野で、学部と修士の学位を取得するプログラム

◎デュアルディグリー(BS & MS):生物科学と物理学の学位を取得するプログラム

次に大学院では、以下のようなプログラムが用意されています。

◎M.A.(統合): 開発学における統合修士号と英語学における統合修士号を取得する5年間のプログラム

◎修士課程(M.S.C):物理学、化学、数学の分野で修士号を取得する2年間のプログラム

◎M.Tech:さまざまな分野で幅広いコースを選択できる2年間のプログラム

◎MBA:経営学修士(MBA)を取得できる2年間のプログラム        など

5.インド工科大学マドラス校の卒業生

さて、インドでは最高峰の名門大学であるインド工科大学マドラス校ですので、卒業生には優秀な人材を多く輩出しています。

そのうちの何人かを紹介しておきましょう。

◎グルラジ・デシュパンデ:IT機器メーカーシカモア・ネットワークス創業者

◎ハリ・バラクリシュナン:MITコンピュータサイエンスの富士通研究所教授

◎クリス・ゴパラクリシュナン:ITコンサルティング・ソフトウエア開発企業インフォシスの共同創設者

◎プレム・ワトサ:ブラックベリーを買収したフェアファクス・フィナンシャル・ホールディングス創設者、CEO

◎シュリダー・ベンブ:インドのソフトウエア開発会社ゾーホー・コーポレーション共同創設者

◎ラダ・ベンブ:同じくゾーホー・コーポレーション共同創設者、シュリダーのきょうだい

◎ラマナサン・V・グーハ:Googleフェロー、RSS技術の発明者、Schema.orgの創設者のひとり

◎ラグー・ラマクリシュナン:Microsoftのデータ担当最高技術責任者 兼 テクニカルフェロー

◎スブラ・スレッシュ:MIT工学部・元学部長、カーネギーメロン大学・元学長、アメリカ国立科学財団・元長官

以上を見ただけでも、インド工科大学マドラス校の卒業生がいかに優れた人材かがわかります。

特に、エンジニアとしての能力と経営の手腕を兼ね備えた人が多いことが特徴と言えそうです。

6.インド工科大学マドラス校のキャンパスライフ

さて、ここまでインド工科大学マドラス校の学術面について説明してきました。
が、IITMはそのキャンパスライフも魅力的です。

そこで最後に、その一端を紹介しておきましょう。

IITMのキャンパスはもともと国立公園の一部だったので、自然豊かで、カモシカの一種・ブラックバックをはじめ多くの野生生物が生息しています。

敷地面積が約250haと広大なため、キャンパス内での移動用にバスやミニオートが運行されています。
が、学生には自転車か徒歩での移動が推奨されているようです。

また、1-1.基本情報で触れたように、インド工科大学マドラス校は居住型の教育研究施設です。

学生のほとんどはキャンパス内のホステルに住み、買い物や病院、銀行なども構内で済ませることができます

課外活動では以下のようなクラブ活動もさかんです。

<スポーツクラブ>
・アクアティクスクラブ
・陸上競技クラブ
・バドミントンクラブ
・クリケットクラブ
・フットボールクラブ
・ホッケークラブ
・スカッシュクラブ
・卓球クラブ
・テニスクラブ
・バレーボールクラブ
・重量挙げクラブ     など

<文化系クラブ>
・クイズクラブ
・音楽クラブ
・演説クラブ
・文芸クラブ
・美術クラブ
・メディアクラブ
・Eスポーツクラブ
・映画鑑賞クラブ
・デザイン&VFXクラブ    など

毎年1月には「サーラン」と呼ばれる学園祭が5日間にわたって行われ、さまざまなイベント、コンサートなどを楽しみに5万人以上が参加します。

7.まとめ

いかがでしょうか?
インド工科大学マドラス校がどのような大学か、よくわかったかと思います。

では、最後に要点をまとめましょう。

◎インド工科大学マドラス校は、インド国内の大学ランキング「NIRF」1位の名門校

◎特に卒業生の就職力が強い

◎入学試験は「JEE Main」と「JEE Advanced」の2段階、合格率は1%程度

◎4年間で学位を取るプログラムと、5年間で学位と修士を取るプログラムがある

◎学生のほとんどは、キャンパス内のホステルで暮らしている

以上を踏まえて、あなたがインド工科大学マドラス校をより深く理解できるよう願っています。

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