preloader

お知らせ・ブログ

オフショア開発が失敗する7つの理由と成功するためのコツを解説

オフショア開発が失敗する7つの理由と成功するためのコツを解説

更新日 : 2023.12月.04

「オフショア開発は失敗するの?」
「オフショア開発で失敗をする原因が知りたい」

せっかくオフショア開発をするなら、優秀な人材の確保やコスト削減など成功に結びつく導入をしたいですよね。

結論から言うとオフショア開発が失敗する理由には、主に下記の7つがあります。

これらの失敗は、事前の準備不足やオフショア開発への理解不足が招くものです。逆を言えば、どのようなことが失敗につながるのか理解をして対策をすれば失敗を回避できるのです。

具体的にどのような失敗事例があるのか、そしてどうすればオフショア開発が成功するのか気になりますよね。

そこでこの記事では、オフショア開発が失敗する7つの理由とオフショア開発に失敗しないための6つのポイントをまとめて解説していきます。

この記事を読むと分かること
◎オフショア開発が失敗する7つの理由
◎オフショア開発の失敗事例
◎オフショア開発は失敗や課題ばかりではない
◎オフショア開発に失敗しないための6つのポイント

この記事を最後まで読めばオフショア開発が失敗する理由が把握でき、失敗しないような対策できます。

ポイントさえ分かれば事前に失敗を回避できるので、ぜひ参考にしてみてください。

1.オフショア開発が失敗する7つの理由

冒頭でも述べたように、オフショア開発が失敗する主な理由は7つあります。

オフショア開発が失敗する7つの理由
・委託元と委託先で円滑なコミュニケーションが取れない
・成果物の品質が良くない
・納期やスケジュールが守れない
・結果的にコストがかさんでしまう
・日本の開発スタイルに慣れていない
・委託先国の選択を間違えた
・コンプライアンスや規約の共有が難しい

どのような点が失敗につながってしまうのか1つずつチェックしてみましょう。

 

 

1-1.委託元と委託先で円滑なコミュニケーションが取れない

 

委託元と委託先では母国語が異なるため、言葉の壁があります。それに加えて文化や商習慣の違いがあるので、国内でのIT開発と同じように考えるとスムーズに進みません。

コミュニケーションが取れないと、結果的に下記のような失敗を引き落こします。

 

①案件の内容が正確に伝わらない

意思疎通ができるコミュニケーションが取れないと、案件の内容や仕様が正確に伝わりません。

とくにオフショア開発はまだ形になっていないものをゼロから構築することが多いです。そのため、何かを手本にして真似するのではなく、想像や概念を伝えて同じゴールをイメージしながら進める必要があります。

形のないものをどのように伝えるのか、どの程度理解してもらえるかにより成果物の精度が異なるため、コミュニケーションが取れないと失敗してしまうのです。

 

②価値観や捉え方にギャップがある

国によって文化や価値観、人間性に違いがあります。

例えば、日本で「あなたに任せる」と話した場合、周囲の意見を聞きながら責任を持ち業務を遂行すると捉えます。

しかし、委託国によっては自分の思うように開発をしていいと解釈することがあり、想像とかけ離れた成果物が仕上がってしまいます。

また、日本では重要な案件の場合は勤務時間外の連絡であっても確認をすることが多いですが、委託国によっては勤務時間外は一切対応しない商習慣を持っています。

このような違いを認識しないでコミュニケーションを取ることで、品質の低下やスケジュール調整ができないなどの失敗を招いてしまいます。

 

1-2.成果物の品質が良くない

オフショア開発では「思ったような成果物が完成しなかった」「思ったよりバグが多く品質が低かった」という品質に対する失敗の声が一定数あります。

優秀なエンジニアやプログラマーに委託をしても、失敗してしまう主な原因は2つです。

1つ目は、受けている教育の違いです。とくにソースコードはルールや手法が国によって異なる場合があります。

仕上がった成果物を見ると不要な処理があったりメンテナンスしにくい状態になっていたりすると、修正に時間がかかります。中には独自のコードを用いる場合もあり、解読が難しいことも。

コードの品質維持は国内でも難しい部分ではありますが、性能に関わるミスが多いとオフショア開発を継続することが困難になります。

2つ目は、明確な指示ができていないことです。 「委託元と委託先で円滑なコミュニケーションが取れない」でも解説しましたが国により文化か考え方が異なるため、曖昧な指示では思ったような成果物を作ることができません。

日本では「言わなくても理解する」が当たり前なので、細部まで指示をしなくても今までの経験や周囲の意見を聞きながら開発ができます。

しかし、国によっては「言わないと分からない」と考えるため、言われていないことはやらない、言われていない部分は独自で自由に行うと解釈をします。その結果、納期遅延や品質の低下を招くのです。

決して全ての海外エンジニアやプログラマーの技量が足りないわけではないため、「オフショア開発で失敗しないための6つのポイント」で紹介することを実践すれば品質低下を防げるでしょう。

 

1-3.納期やスケジュールが守れない

オフショア開発では、納期やスケジュールの遅延が起こりプロジェクトが失敗してしまうことがあります。

その背景には、次の2つの理由があるからです。

 

①インフラが発達途中

日本は電気や通信などのインフラが高水準で、特別な事情がない限り突然の停電や通信遮断が起こることは考えにくいです。しかし、オフショア開発の主な委託先となる国はインフラが発達途中である可能性があります。

日本貿易振興機構が公表している「アジア・オセアニア各国の電力事情と政策」によると、2014年10~11月時点でのインフラ普及率は下記のとおりです。

インフラの普及率
  電気 通信
インド 61.2% 32.5%
ベトナム 22.5% 18.1%
インドネシア 41.9% 34.4%
タイ 5.1% 4.0%
バングラデシュ 73.0% 37.8%
参考:日本貿易振興機構「アジア・オセアニア各国の電力事情と政策」

このデータ取得から時間が経過しているため、現在はもう少しインフラ普及率は向上していると考えられます。

また、同じ国内であっても地域差があるため、都心部は急激に発達している可能性もあります。

とは言え日本と比べるとまだまだ低く、急な送電ロスや停電が起こりやすい状況です。そのため、思うようにオフショア開発が進まず失敗に終わることがあります。

 

②働き方の違い

日本では「納期は守る」「勤務時間までに出勤をする」というのは当たり前です。

しかし、国によっては時間管理に重きを置いていないことがあります。

例えば、ベトナムのオフショア開発では、進捗状況を報告する習慣がなく、一人一人自分のペースで進めている状態だったそうです。

何度も催促をしてやっと進捗報告の重要性を把握してもらえたものの、スケジュールが嚙み合わず大幅な遅延につながったとのこと。

そもそもスケジュールに対する考え方が異なるため、気づいたころには納期が間に合わず失敗に終わってしまうケースもあります。

 

1-4.結果的にコストがかさんでしまう

オフショア開発は、人件費や開発にかかるコストダウンを目的として導入することが多いです。しかし、実際に取り組んでみるとコストがかさみ、結果的にコストダウンできないことがあります。

経済産業省の「IT人材に関する各国比較調査結果報告書」を見ると、オフショア開発委託先国の平均年収は下記のとおりです。

国別IT人材の平均年収
日本 598万円
インド 533万円
ベトナム 85万円
タイ 195万円
インドネシア 192万円
中国 354万円
参考:経済産業省「IT人材に関する各国比較調査結果報告書」

人件費だけ見ればコストダウンが見込めるのですが、コストがかさんでしまう原因には次のようなものがあります。

  • 成果物の品質が低く、他のIT人材に再委託をした
  • スケジュール変更により余分に人件費等が必要になった
  • 為替変動により予算よりもコストがかさんだ
  • 通訳や現地のマネージャー設置などIT人件費以外にも人件費がかかった
  • オフショア開発専門会社の仲介手数料が高かった

オフショア開発は一般的に、オフショア開発専門会社が委託元と委託先の橋渡しをして進めていきます。

そのため、IT人件費以外にも仲介手数料や通訳などのオプション費用が発生します。

また、オフショア開発委託先国と国内では通貨が異なるため、為替変動のリスクがあります。契約内容にもよりますが、為替の変動によって最終的に支払う料金が高くなる可能性もあります。

このように、IT人件費のみのコストダウンを視野に入れてオフショア開発を進めてしまうと、思ったよりコストがかかり失敗することがあるのです。

 

 

1-5.日本の開発スタイルに慣れていない

 

日本のソフトウェア開発は、独特な仕組みを持っています。特徴的なのは、開発の前工程の仕様書や設計に曖昧さを残すところです。

敢えて曖昧な部分を残すことで開発をしながらすり合わせを行い、最終的に最適な設計を行う傾向があります。

これは日本独自のスタイルなので、日本とのオフショア開発に慣れていない場合は混乱を招きます。

例えば、どのように進行したらいいのか分からないと作業が滞り、納期遅延を起こすことにつながります。また、曖昧な指示をすり合わせるには的確なコミュニケーションが必要なので、コミュニケーションの難しさにも直面します。

その結果、思ったようにオフショア開発が進められずに失敗したと感じることがあります。

参考:論文「日本における情報システム開発スタイルと 中国オフショアリング 」

 

 

1-6.委託先国の選択を間違えた

 

オフショア開発は委託する国によってコストや特徴、文化が異なります。

案件に合う委託先国を選択しないと、思ったような成果が得られないことがあります。

主な委託先国の特徴は、下記のようになります。

  平均年収 メリット デメリット
インド 533万円 ・オフショア開発に携わっている歴史が長く経験豊富
・国としてITスキル向上に力を入れている
・優秀なエンジニアは人気があり確保しにくい
・コストが高くなっている傾向がある
ベトナム 85万円 ・国の対策としてオフショア開発に力を入れている
・小型案件から対応可能
・英語・日本語能力共に若干低い
・優秀なエンジニアは人気があり確保しにくい
タイ 195万円 ・比較的コストが低い ・他の地域より人材が少ない
・組み込み開発に弱い傾向がある
インドネシア 192万円 ・比較的コストが低い
・モバイル普及率が高くモバイル開発がさかん
・実績が少ない傾向がある
中国 354万円 ・沿岸部はインフラが整っている・日本語能力が高い
・他の地域より近い
・コストが高騰している

例えば、コストダウンを最優先したいのにインドや中国を選択してしまうと、思ったような効果を得られず失敗だと感じてしまいます。

また、日本でのコミュニケーションを望んでいる場合は、日本語に対応できるエンジニアが多い国を選択しないとなかなか優秀なIT人件を確保できません。

日本からのオフショア開発に対応している国は数多くありますが、慎重に委託先国選びを行わないと目的や成果に結びつかずに失敗に終わってしまいます。

 

1-7.コンプライアンスや規約の共有が難しい

日本はコンプライアンス遵守やセキュリティ対策に厳しいですが、委託先国が同じ意識を持っているとは限りません。

案件によっては、情報の保護や規約を守ることが絶対条件となることがあるでしょう。しかし、そもそもコンプライアンスや規約、情報セキュリティについての教養を身につけていないことがあります。

そのため、安心して任せられないとオフショア開発を断念するケースもあるようです。個人情報漏やコンピューターウイルス感染などのトラブルにつながると、会社の信用を落としかねません。

最近では、オフショア開発専門会社でコンプライアンスやセキュリティ教育を行い、一定の知識を身につける取り組みも見られるようになりました。

 

2.オフショア開発の失敗事例「品質やブリッジSEの技量に疑問を持ち撤退を決意」

ここでは、オフショア開発に失敗した会社の事例を詳しくご紹介します。この会社では、採用難や国内のフリーランスコストの高騰を受けて安く導入できるオフショア開発に踏み出しました。

実際にオフショア開発を行い、失敗した感じたポイントが4つあるそうです。

 

①品質が良くない

この会社ではプログラムが想定通りに動かない、独自のソースコードが使用されているとった品質の低い成果物に遭遇したそうです。

「品質が悪いな」で終わればいいのですが、困るのはその後。内製化担当のエンジニアに引き継ぐと「オフショアが悪い」「このソースではできない」など他責の念に走ってしまうのです。

完全に修正が終わるまで時間と労力がかかり、思ったようなコストダウンを実感できませんでした。

 

②ブリッジSEの能力の差が大きい

ブリッジSEとはオフショア専門会社に在籍し、委託元と委託先を繋ぐ業務を行う人のことです。ブリッジSEの技量は会社によって差があり、日本語が堪能ではない担当者に当たったことがあったそうです。

それだけでなく、委託先のIT人材の力不足をブリッジSEがカバーしていたことも。優秀なIT人材が1人のみ在籍しており、難しい部分以外はブリッジSEが業務をしていたのです。もちろんその分クオリティが低くなり、別の会社を探すことになったとのことです。

 

③メンバーが流動的だった

あるオフショア開発専門会社では、IT人材の入れ替わりがあったそうです。急に納期遅延が起こるようになり問い合わせてみると、担当のエンジニアが退職したとのこと。

せっかく積み上げてきた知見や技術が残らず残念に感じたそうです。

 

④急に人件費が高騰した

発展国の場合は経済成長に伴い、急に人件費が高くなることがあります。円安による為替リスクの影響も大きく、思ったようなコスト削減が実現できませんでした。

このような体験から、オフショア開発からの撤退を決断したそうです。オフショア開発は人材の質はもちろんのこと、オフショア開発専門会社選びが重要だと感じる事例だと言えるでしょう。

 

3.オフショア開発は失敗や課題ばかりではない

ここまでの内容を見てみると「オフショア開発は失敗するもの」「オフショア開発で失敗しないか不安」と感じた人は多いかもしれません。

株式会社Resorzが海外のオフショア開発専門会社100社を対象に実施したアンケートでは、オフショア開発が失敗する割合は20%以下だとの回答が過半数を超えています。

参考:株式会社Resorz「オフショア開発“失敗”の割合とその原因は?」

実際にオフショア開発に携わっている現場の声に耳を傾けると、思ったよりも失敗が起きていないことが分かるでしょう。

また、オフショア開発を活用することで

  • コスト削減ができる
  • IT人材不足を解消できる
  • 海外に自社専属の開発チームを作れる
  • 業務の幅が広がる

などのメリットがあります。

オフショア開発を活用するメリットや魅力を知りたい人は、下記の記事も参考にしてみてください。

>>オフショア開発の5つのメリットとデメリット・失敗しないコツを解説

 

 

4.オフショア開発で失敗しないための6つのポイント

 

オフショア開発はあらかじめ失敗しないように準備をしておけば、成功を掴むことができます。

ここでは、オフショア開発に失敗しないための6つのポイントをご紹介します。

オフショア開発で失敗しないための6つのポイント
・コミュニケーションの取り方を工夫する
・習慣やビジネススタイルの違いを考慮する
・仕様書は細かい部分まで明確にする
・進捗状況を常に把握できるようにする
・自社の案件に合う委託先国を選ぶ
・自社に合う国内オフショア開発専門会社を選ぶ

具体的にどのようなことを検討してオフショア開発を進めるべきか把握できるので、ぜひ参考にしてみてください。

 

4-1.コミュニケーションの取り方を工夫する

オフショア開発を失敗に導く大きな原因は、コミュニケーションが取れないことです。

株式会社Resorzが実施したアンケートでは、オフショア開発を成功させるうえで最も重要な要素としてコミュニケーションスキルがあがっています。

参考:株式会社Resorz「オフショア開発“失敗”の割合とその原因は?」

つまり、あらかじめコミュニケーションの取り方を工夫していれば失敗を回避することができるのです。

円滑にコミュニケーションを取るには、下記の3つを明確にしておきましょう。

 

①コミュニケーション言語

まずは、どの言語でコミュニケーションを取るのか検討する必要があります。

日本語でのコミュニケーションを望む場合は、日本語対応のエンジニアを探すようにしましょう。委託元と意思疎通がしやすいメリットはありますが、日本語対応のエンジニアが限定されていること、日本語能力に差があることが懸念ポイントです。

委託先国が英語に慣れている場合は、英語でのコミュニケーションを視野に入れてみてもいいでしょう。

また、日本語や英語でのコミュニケーションが難しい場合は、ブリッジSEや通訳者による通訳を入れるのも一つの方法です。ブリッジSEの技量や通訳者のコストは、事前にチェックしておきたいところです。

このように、どの言語でコミュニケーションを取るのかによって一長一短があるため慎重に検討してみてください。

 

②コミュニケーション手段

コミュニケーションの手段を検討しておかないと、いざという時に連絡が取れず失敗につながります。

メールや電話、zoomなどのコミュニケーションツールなど委託元と委託先のどちらでも問題なく使用できる方法を提案してみましょう。

 

③コミュニケーションの頻度

オフショア開発では積極的にコミュニケーションを取らないと、意思疎通ができません。

現状把握ができていないと、品質の低下や納期遅延を招きます。

  • 毎日進捗状況をメールで報告する
  • 週に一度オンライン会議を実施する

などコミュニケーションの頻度を決めて、疑問や問題点がないかできるだけ迅速に把握できるようにしましょう。

 

4-2.習慣やビジネススタイルの違いを考慮する

「日本の開発スタイルに慣れていない」でも解説したように、日本の開発スタイルは独自の仕組みとなっています。

いきなり日本式の仕組みで開発をするといっても慣れていないため、トラブルや失敗を招く原因となります。

オフショア開発を開始する前に委託先国の特徴を把握し、どのような方法ならスムーズに取り組めるのか検討することが大切です。互いに歩み寄り納得できる方法で進めれば、未然に失敗を防げるでしょう。

同じく、習慣や文化の違いも考慮する必要があります。日本では当たり前であっても、文化や考え方が違えば当たり前とは限りません。

例えば、委託先国では業務時間外の連絡はできないのあれば受け入れ、業務時間内でコミュニケーションを図るように工夫しなければなりません。

このように、日本式を押し付けるのではなく委託先国のスタイルに歩み寄ることで、思ったように開発が進まないストレスを軽減できます。

 

4-3.仕様書は細かい部分まで明確にする

日本では曖昧な指示や仕様書で開発を進めることがありますが、オフショア開発で同じ方法を取ると品質低下を招きます。案件の内容はできるだけ細かく記載し、仕様書を読むだけでミスなく開発ができる状態を作りましょう。

仕様書を作成するときのポイントは、次のとおりです。

  • 要求項目は漏れなく記載する
  • 1つ1つの内容をできるだけ細かく記載する
  • 文章だけでなく図を使い、視覚的に分かりやすくする
  • 共通理解できる専門用語を使う
  • 曖昧な日本語表現を避けて、分かりやすく端的に書く

とくに大切なのは、要求項目を漏れなく記載することです。

「仕様書に書いていないからできない」「仕様書に指示がなかった」などのトラブルにならないように、細かく記載しましょう。

また、日本語は曖昧な表現が多いですが、オフショア開発の仕様書では避けたほうが無難です。

例えば、「必要であれば」「状況に応じて」「可能なら」などの表現では、エンジニアが正しく理解できない可能性が高いです。

細かな仕様書を作るのは労力がかかりますが、品質の低下を防ぐためには力を注ぎたいポイントです。

 

4-4.進捗状況を常に把握できるようにする

オフショア開発はブリッジSEやオフショア開発専門会社に丸投げをすると、失敗しやすくなります。成果物が完成するまでの過程がブラックボックス化してしまうからです。

完成した成果物を見たときには、ミスコードだらけだった、想像と違う形になっていたという失敗を招きます。納期にルーズな国である場合は、進捗状況を確認しておかないといつまでも完成しないことも考えられます。

進捗状況を常に確認できるように、下記のような工夫を取り入れてみてください。

  • 委託先国のエンジニアに毎日報告を書いてもらう
  • ブリッジSEから毎日連絡をもらう
  • こまめにコミュニケーションを取りスケジュールを共有する

常に委託先国のエンジニアから進捗状況を確認できれば安心ですが、言語や時差の問題で難しい場合はブリッジSEから連絡をもらいましょう。

 

4-5.自社の案件に合う委託先国を選ぶ

「委託先国の選択を間違えた」でも解説したように、委託先国によって文化や習慣、得意な案件が異なります。

自社に合わない委託先国を選ぶと品質の低下や開発のしにくさを感じ、オフショア開発が失敗に終わります。

  平均年収 メリット デメリット
インド 533万円 ・オフショア開発に携わっている歴史が長く経験豊富
・国としてITスキル向上に力を入れている
・優秀なエンジニアは人気があり確保しにくい
・コストが高くなっている傾向がある
ベトナム 85万円 ・国の対策としてオフショア開発に力を入れている
・小型案件から対応可能
・英語・日本語能力共に若干低い
・優秀なエンジニアは人気があり確保しにくい
タイ 195万円 ・比較的コストが低い ・他の地域より人材が少ない
・組み込み開発に弱い傾向がある
インドネシア 192万円 ・比較的コストが低い
・モバイル普及率が高くモバイル開発がさかん
・実績が少ない傾向がある
中国 354万円 ・沿岸部はインフラが整っている・日本語能力が高い
・他の地域より近い
・コストが高騰している

まずは小型案件でオフショア開発を試してみたい場合は、ベトナムが向いています。

オフショア開発の実績や国としてのIT技術の高さを重視したいなら、インドを選ぶといいでしょう。

オフショア開発の委託先国は次の章で紹介するオフショア開発専門会社選びにもつながるため、慎重に検討してみてください。

 

4-6.自社に合う国内オフショア開発専門会社を選ぶ

先ほども述べたように、一般的なオフショア開発はオフショア開発専門会社を介して進めます。

つまり、オフショア開発専門会社が委託先と委託元の橋渡しをできるかどうかが重要となるのです。

失敗事例でもありましたが委託先とのスケジュール管理や交渉を担うブリッジSEの技量が低いと、コミュニケーションが円滑に取れず失敗を招きます。

オフショア開発専門会社を選ぶときには、下記のような項目を確認してみてください。

オフショア開発専門会社を選ぶときのチェックポイント
コスト エンジニアの人件費だけでなく他の費用も含めてコストダウンにつながるか
委託先国 自社に合う委託先国と連携しているか
ブリッジSEの能力 多言語対応・業務内容・スキル等を確認し問題はないか
実績 オフショア開発の実績があるか
コンプライアンス コンプライアンスやセキュリティについて教育をしているか
得意な領域 どのような領域の案件を得意としているか

 

5.GALKラボはオフショア開発成功をサポートします

GALKラボは、ハイレベルな技術を持つインド工科大学の学生とIT事業を展開する企業を結ぶサービスです。

下記のような強みがあり、リスクを最小限に抑えながらIT人材不足の解消やコストダウンを実現できるところが特徴です。

①社会人エンジニア3~5年目の同等のスキルを持つインド工科大学の学生と開発ができる
②学生だからコストを抑えられる
③ブリッジSEが仕様書作成や要件定義をサポート
④ブリッジSEが通訳をしてくれるので語学力やコミュニケーションの心配がない
⑤3ヶ月ごとにチーム構成会議を行い、メンバーの追加や入れ替えが柔軟にできる

実際にGALKラボを利用した企業さまからは、嬉しい声が届いています。

・3ヶ月見込みの案件が2週間で完成し驚いた。ぜひ継続開発をお願いしたい(ソフトウェア会社さま)
・学生のパフォーマンスの高さに満足。要件定義も簡易的なものでできたので助かった(アプリ開発会社さま)
・学生からの提案内容が素晴らしく当初の企画より大きく広がるサービスが完成した(AI制作会社さま)

オフショア開発の成功に向けてサポートして参りますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

GAlKラボバナー

まとめ

いかがでしたか?

オフショア開発が失敗する理由が把握でき、失敗しないように進めるためのポイントを実践できるようになったかと思います。

最後にこの記事の内容をまとめてみると

〇オフショア開発が失敗する理由は次の7つ

  1. 委託元と委託先で円滑なコミュニケーションが取れない
  2. コードが複雑、メンテナンスができないなど成果物の品質が良くない
  3. 納期やスケジュールが守れない
  4. 通訳の必要性や納期遅延などにより結果的にコストがかさんでしまう
  5. 日本の開発スタイルに慣れていない
  6. 委託先国の選択を間違えた
  7. コンプライアンスや規約の共有が難しい

〇オフショア開発が失敗する割引は20%以下が過半数
オフショア開発は失敗ばかりではないので、失敗しないように取り組むことが大切

〇オフショア開発で失敗しないためのポイントは次の6つ

  1. コミュニケーションの手段や回数、頻度を工夫する
  2. 習慣やビジネススタイルの違いを考慮して日本の方法を押し付けない
  3. 仕様書は細かい部分まで明確にする
  4. 進捗状況を常に把握できるようにして納期遅延を防ぐ
  5. 自社の案件に合う委託先国を選ぶ
  6. 自社に合う国内オフショア開発専門会社を選ぶ

この記事をもとに失敗を避けながら、オフショア開発が導入できるようになることを願っています。

[

その他の記事

上部へスクロール