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MVP開発とは?実践例やメリット・デメリットをわかりやすく解説

MVP開発とは?実践例やメリット・デメリットをわかりやすく解説

更新日 : 2023.12月.04

MVP開発とは、サービスや製品の一番のポイントとなる価値や機能を体感できる部分だけを先に作って実際に使ってもらい、そのリアクションを検証したうえで本格的な開発に移行する開発方法です。

似たような商品がまだ市場に出回っておらず、「需要があるのか」「製品化しリリースして、ちゃんと利益化できるのか」がよくわからない時に、MVP開発は効果を発揮します。

コストを抑えてユーザーに部分的にお試しで使ってもらい、ビジネスとして成立しそうだと確認した後で本格的な開発に着手できるからです。

MVP開発をビジネスに取り入れることで、コストをかけずに新しい事業が軌道に乗りそうかどうかをあらかじめ確認して成功率を挙げたり、万一うまくいかない場合でも、損失を最小限に抑えたりすることができます。

ただし、メリット満載のMVP開発ですが、取り入れれば常にリスクマネジメントやコスト削減につながるというわけではありません。開発内容が複雑で検証に時間を要するケースでは無駄にコストが増えてしまうなど、MVP開発をしないほうがよい場合もあるからです。

このため、MVP開発の特徴やメリット・デメリットを押さえて、ケースごとにMVP開発を採用するかどうか検討することが大切といえるでしょう。

そこで、この記事では、MVP開発を採用すべきかどうか判断するうえで欠かせない以下のポイントを解説します。

【当記事のポイント】

・MVP開発とは、どのような開発手法なのか
・MVP開発をする目的
・MVP開発のメリット・デメリット
・MVP開発が向いているケースと向いていないケース
・MVP開発に取り組む際の注意点

上記のポイントを把握しておけば、MVP開発がどのような手法で、どういう時に採用するのが最適なのかがわかるようになります。

効率的に事業を進めるためには、最適な開発方法を選ぶことが大切です。MVP開発について正しく理解し、もっともコストパフォーマンスの高い手法を選べるようになりましょう。

1.MVP開発とは

冒頭でもお伝えしたとおり、MVP開発とは、新たにリリース予定の製品・サービスなどが市場のニーズに合うかどうかを確認するために、まずは最小限の機能を備えたものを準備して検証する手法を指します。

MVPとはMinimum Viable Productの略称で、和訳すると「実用最小限の製品」のことです。

MVP開発では、その製品などのもっともセールスポイントになる部分を体験できる範囲に限定して短期間・低コストで小さく開発し、リアクションを確認してから本格的な開発を検討するため、次のような特長があります。

【MVP開発の特長】

・すぐにフィードバックが得られ、収益化できるかどうかを短期間で見極められる
・収益化の見込みが低いと判断し撤退する場合も、損失を最小限に抑えられる
・製品開発と市場の開発を並行して行うこともできる

このようなMVP開発は、市場ニーズが不明確でまずは将来性を確認したい新規事業立上げや、スタートアップ時に向いている開発手法と言えるでしょう。

1-1.MVP開発と一般的な開発手法の違い

MVP開発と一般的なソフトウェア開発の違いは、最初から完成形の作成に取り掛かるかどうかという点です。MVP開発では最初から取り掛からず、一般的な開発では最初から完成形を作り始めます。

例えば、チャット機能がメインの機能でビデオ会議やスケジュール同期機能もあるツールを作成したい場合、以下のような差が出ます。

【例】チャット機能がメインでビデオ会議やスケジュール同期機能もあるツールを作成する場合
MVP開発ではメインのチャット機能だけ使えるバージョンのツールを作ってみて、実際に使用したフィードバックを確認してから他の機能も追加した完成形を作る
一般的な開発では最初から、チャット機能・ビデオ会議機能・スケジュール同期機能などすべての機能を実装した完成形を作る

このように、いったん検証する段階を設けてから最終形態を作るのか、検証なしで最初から最終形を作るのかが、MVP開発と一般的な開発の違いです。

1-2.MVP開発とアジャイル開発の違い

MVP開発とアジャイル開発は、どちらも開発を何回かのサイクルに分ける点では同じですが、分け方が違います

MVP開発では、大きく分けて必要最小限度の部分の開発と本格的な開発の2つに分かれますが、アジャイル開発では機能ごとなどのように、全体をもっと多くの部分に分割する開発方法です。

アジャイル開発とは
・短期間の細分化された開発サイクルを積み上げることで、1つのシステムを構築する開発手法
・1つのシステムを複数部分に分け、以下のとおり1部分ずつ開発とリリースを繰り返す

【アジャイル開発の進め方】

また、MVP開発は本格的な開発前に検証を行う開発のやり方、アジャイル開発はシステム開発の進め方の1種で、両者は目的と手段の関係にあるとも言えるでしょう。

1-3.MVP開発の具体例

MVP開発の具体例として有名なものに「Twitter」があります。

Twitter社を立ち上げたメンバーが所属していたソフトウェア関連の企業内で、グループチャットやメッセージを送受信するために作成された「Odeol」というツールが、Twitterの原型です。実際に社員が試験的に「Odeol」を使用し、集まったフィードバックを踏まえて改良や機能の追加を行い「Twitter」としてリリースされました。

ユーザーニーズを具体的に捉えて開発されたTwitterは、2021年第4四半期現在、全世界のデイリーアクティブユーザー数が2億1,470万人に達するほど、広く利用されるコミュニケーションツールになりました。

参照:Twitter「Twitter Announces First Quarter 2022 Results

2.MVP開発のメリット・デメリット

MVP開発には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

MVP開発のメリット・デメリット
メリット・失敗のリスクや損失を最小限に抑えることができる
・効率的に開発を進めることができる
・スピーディーに市場を開拓するすることができる
デメリット・効果検証に最適な製品をリリースしないと、反応が正しく見られない
・反映させる意見の選び方を誤ると、ニーズに合わない製品になってしまう
・検証に費用や手間がかかり過ぎる場合がある

MVP開発を採用すべきかどうか正しく判断するためにも、メリット・デメリットの両面をチェックしておきましょう。

2-1.MVPを開発するメリット

スタートアップや新規事業に向いているMVP開発の代表的なメリットは、以下のとおり事前に市場ニーズを確認することで開発に伴うコストやリスクを抑えて開発を進められることです。

MVP開発のメリット
1. 失敗のリスクや損失を最小限に抑えることができる
2. 効率的に開発を進めることができる
3. スピーディーに市場を開拓するすることができる

MVP開発をビジネスに取り入れることで、どのような目的が達成できるのか、ぜひ参考にしてみてください。

2-1-1.失敗のリスクや損失を最小限に抑える

MVP開発を採用することで、新しく投入するサービスや商品が収益化に失敗することのリスク・損失を、最小限に抑えることができるでしょう。

新しく開発するサービスなどは、実際に利用したユーザーの反応を見るまで、市場のニーズに合致しているのかどうかはわかりません

その点、本格的な開発に入る前に必要最小限の機能だけで検証してみるMVP開発では、少ない初期費用と時間で、市場の反応を見ることができます。

ですから、まずは収益化できるほど需要があるのかどうか反応を見て、その後、以下のような対応をとることができるのです。

【MVP開発ならできること】

ユーザーのリアクションを検証し、
・バグの修正や機能追加を行い、顧客のニーズに合った製品にする
・収益化の見込みが低そうなら早期撤退する

このようにMVP開発では市場の反応を見ながら軌道修正できるので、新商品開発時につきものの「売れると思っていたら売れなかった」リスクを最小限に抑えて開発することができるのです。

MVP開発を活用すれば、ユーザーの需要が不透明な事業であっても、成功する確率を上げるための対策を取ったり、損失を最小限に抑えたりすることが可能になります。

2-1-2.効率的に開発を進めることができる

人的なリソースや資金が限られているケースでも、MVP開発を採用することで、時間や費用の無駄を抑えて効率よく開発を進めることができます

もっとも重要な機能だけを小さく開発して検証することができるMVP開発では、以下の内容を確認することができるからです。

【MVP開発なら確認できること】

最小限の時間・費用で、
・開発の方向性が市場ニーズと合致するのか
・修正すべきエラーなどはないか

通常の開発手法では最初から完成品を作ってしまうため、市場ニーズとのズレや機能に問題があった際は、たくさんの時間や費用をかけた後でやり直しが必要になり、コストパフォーマンスが悪化してしまうでしょう。

その点、MVP開発では、もっともセールスポイントとなる部分だけを搭載した製品でコストをかけずに反応を見ることができるので、効率的に商品を開発できます。

2-1-3.スピーディーに市場を開拓することができる

MVP開発では、最終版が完成する前にミニマム版の製品を消費者に体験してもらうことができるので、スピーディーに市場を開拓しておきたい場合にも最適です。

最終版の完成を待たずに営業や見込み客確保ができると、以下のようなことが可能になります。

【MVP開発ならできること】

・他のライバル企業に先んじて、自社製品を見込み顧客にアピールする
・本製品リリース時に「テストで使ったあの商品か」と、注目してもらいやすくなる

このように、本製品リリース時の認知度を高め営業のハードルを下げたい場合、MVP開発を活用するとよいでしょう。

3-2.MVPを開発するデメリット

MVP開発の代表的なデメリットとして、ユーザーのフィードバックをうまく製品の改善につなげることの難しさなどが挙げられます。具体的には、以下のとおりです。

MVPを開発するデメリット
1. 効果検証に最適な製品をリリースしないと、反応が正しく見られない
2. 反映させる意見の選び方を誤ると、ニーズに合わない製品になってしまう
3. 検証に費用や手間がかかり過ぎる場合がある

3-2-1.効果検証に最適な製品をリリースしないと、反応が正しく見られない

あらかじめ最小限の機能を備えた商品で効果検証することが重要なMVP開発では、検証に最適な製品をリリースしないと、必要なフィードバックを得られなくなってしまいます

例を挙げると、チャット機能についてフィードバックを必要としていたのに、ついでにタスク管理機能も実装してしまったためにタスク管理へのリアクションばかりが集まってしまっては、効果検証が十分に行えないでしょう。

何を検証したいのか具体的に明確にすることで、検証にマストな機能を厳選できるようにしておくことが大切です。

3-2-2.反映させる意見の選び方を誤ると、ニーズに合わない製品になってしまう

フィードバックをもとに最終的な開発の方向性を決めるMVP開発では、集まったフィードバックの取捨選択を誤ると、かえってニーズに合わない製品になってしまう危険性があります。

例えば、ある新規アプリへの主な市場ニーズはチャット機能をより簡単に時間をかけずに使うことであったのに、少数意見を採用してチャット機能の操作性を複雑なものにしてしまったら、ニーズとはかけ離れてしまい売れなくなってしまうでしょう。

何となく気になった意見を拾い上げるのではなく、事前に意見を選ぶ基準を決めておき、客観的に見て妥当な意見を開発に反映させるようにしておく必要があります。

3-2-3.検証に費用や手間がかかり過ぎる場合がある

複雑なシステムや、MVPを作ることに時間がかかりすぎる場合などは、検証に費用や手間がかかり過ぎてコストパフォーマンスが悪化する場合があることに注意が必要です。

本格的な開発に入る前に、効果を検証するという工程が追加されるMVP開発では、通常の開発方法に比べて効果検証にかかる時間・費用が余計にかかります

そのため、MVPの開発期間が2ヶ月以上になるなど、検証までに時間がかかりすぎる場合は、開発全体のコストパフォーマンスが悪化してしまうでしょう。

効果検証で得られるデータの価値と、検証にかかる時間・費用のバランスが取れているかを念頭において、MVP開発を選ぶかどうか判断することが大切です。

3.MVP開発が向いているケース・向いていないケース

MVP開発は、以下のとおり、ケースによって向き・不向きがあります。

MVP開発が向いているケース・向いていないケース
向いている・開発する商品が顧客のニーズと合っているか事前に確認したい場合
【例】新規事業やスタートアップなど
向いていない・MVPの開発期間が2ヶ月以上になる場合
【例】複雑・大規模なシステムなど

3-1.MVP開発が向いているケース

MVP開発が向いているのは、開発する商品が顧客のニーズと合っているか事前に確認したいケースです。

新規事業やスタートアップ事業など、需要があるかどうか不明確な場合は、少ない人的リソースで速やかにPDCAサイクルを回して顧客のニーズを掴む必要があります。

こういう時こそ、最小限のコストや時間でユーザーの反応を見ることができるMVP開発が、向いていると言えるでしょう。

MVP開発が向いているケース
・新規事業やスタートアップなど顧客のニーズを事前に確認したい場合

3-2.MVP開発が向いていないケース

MVPの開発期間が2ヶ月以上になるなど、検証までに時間がかかりすぎる場合は、MVP開発に向いていません。

短期間で費用をかけずにPDCAサイクルを回せるからこそ、MVPを開発する意義があるからです。複雑・大規模な検証では、MVPを作るまでに多くの時間やコストを要してしまうので、かえってコストの無駄になってしまうでしょう。

このように検証そのものに手間ひまがかかる場合は、通常の開発手法を取った方がコストパフォーマンスがよくなる傾向にあります。

MVP開発が向いていないケース
・複雑・大規模な検証などMVPの開発期間が2ヶ月以上になる場合

4.MVP開発に取り組む際の注意点

単にMVP開発という手法を選びさえすれば、効果を実感できるものではありません。
MVPを開発するメリットを最大限享受するには、次の2点に注意する必要があります。

MVP開発に取り組む際の注意点2つ
1. 何をどのように検証するのかを決めておく
2. 「必要最低限」を正しく定義する

上記の注意点を押さえて、最適なフィードバックが得られるようにすることが大切です。

4-1.何をどのように検証するのかを決めておく

MVP開発をするなら、「サービス・商品のどのような部分について、どのように検証するのか」を具体的に決めておきましょう

せっかくMVPをリリースしても、何をどうチェックするのかが明確でないと、適切なフィードバックが得られなくなるからです。

狙ったポイントについて具体的なリアクションが得られなければ、

・改善すべきことが何かわからない
・市場ニーズと合っているのかどうかもよくわからない

という事態になりかねません。

ユーザーから的確なフィードバックが得られるようにするには、次のような準備をするとよいでしょう。

決めておくことの例
・欲しいフィードバックが得られるような具体的な質問
【例】・この機能は必要か不要か、理由はどのようなものか
   ・追加してほしい機能はどのような機能か、いくらくらい高くなってもその機能が欲しいか
   ・10段階評価で何段階目か
・フィードバックはどの範囲まで反映するか

4-2.「必要最小限」を正しく定義する

開発するMVPに搭載する「必要最小限」の機能は、ユーザーが有益なフィードバックをすることができるものにする必要があります。

必要最小限だからと言って、ユーザーの主要なニーズに当たる部分を削ってしまっては、正しいリアクションは得られないからです。

当たり前のことのように思えても、開発者目線で必要最小限の範囲を考えると、ユーザーのニーズとはズレてしまいがちです。ついつい開発者目線で必要最低限と思っている機能が、ユーザーから見れば余計な機能ということもよくあります。

利用者目線で正しく必要最小限の範囲を見極めることが大切です。

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5.まとめ

今回は、MVP開発を採用すべきかどうか判断するうえで欠かせないポイントについて解説しました。

最後に要点を振り返っておきましょう。

MVP開発とは、サービスや製品の一番のポイントとなる価値や機能を体感できる部分だけを先に作って実際に使ってもらい、そのリアクションを検証したうえで、本格的な開発に移行する開発方法です。

MVP開発のメリット・デメリットは次のとおりです。

このようなMVP開発が向いているのは、新規事業やスタートアップなど顧客のニーズを事前に確認したい場合で、向いていないのは、複雑・大規模な検証などMVPの開発期間が2ヶ月以上になる場合です。

MVP開発に取り組む際は、以下の点に注意してください。

・何をどのように検証するのかを決めておく
・「必要最低限」を正しく定義する

MVP開発の正しい理解を活かして、効率的に事業を進めるために最適な開発方法を選べるようになりましょう。

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