「ICT人材ってどういう人材のことだろう」
「ICT人材を補填するにはどうすればいいのかな」
このように考えているのではないですか? 結論から言うと、ICT人材とは「情報通信技術を取り扱う人材のこと」です。
近年、行政や企業などさまざまな場面でDX化が進んでおり、多くのICT人材が求められています。にもかかわらず、現状では日本のICT人材は不足しているという現状があります。
ICT人材の不足を解決するために、政府は育成に力を入れています。しかし現実的にICT人材は一朝一夕で育成できるわけではありません。ICT人材を補填するためには、海外からの人材採用などを視野に入れるなど多角的な視点からの解決を目指す必要があるでしょう。
この記事では、ICT人材の現状や課題・外国人材の採用などについて、以下の内容を詳しく解説していきます。
この記事を読めばわかること |
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この記事をお読みいただくことで、ICT人材の基本的な情報は網羅できます。ぜひこの記事をお読みいただき、ICT人材の採用や育成の参考にしていただければ幸いです。
1.ICT人材とは情報通信技術を取り扱う人材のこと
この章では、ICT人材の基本情報について詳しく解説します。
1-1.ICT人材の定義
ICT人材とは、「情報通信技術を取り扱う人材のこと」です。
ICTとは「Information and Communication Technology」の略で、直訳すると「情報通信技術」のこと。通信技術を活用し、情報や知識の共有を行う技術のことを指します。
ICTは具体的には、以下のようなツールなどにおいて活用されます。
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ICT人材はこのようなツールやサービスを構築する技術を持っている人材のことを指すのです。
1-2.ICTとITの違い
ICT | IT | |
正式名称 | Information and Communication Technology (情報通信技術) | Information Technology (情報技術) |
内容 | 通信技術を活用し、情報や知識の共有を行う技術 | 情報技術の総称 |
活用例 | メール、チャット、クラウド、SNS、スマート家電、ネット検索など | コンピューター、ソフトウェア、ハードウェア、アプリケーションなど |
ICTとよく似た言葉に「IT」があります。ITは「Information Technology」のことで、直訳すると「情報技術」です。インターネットやアプリケーション、PCのハードウェアやインフラなどさまざまなものを含んでいます。
このようによく似た言葉であり、実際このふたつを明確に区別して用いることは少ないのが現状です。
日本ではもともと「IT」という言葉が頻繁に使われていますが、国際的には「ICT」という言葉を使うことが一般的なため近年では省庁を中心に「ICT」が用いられつつあります。
2.日本のICT人材の現状とは
それではここからは日本のICT人材の現状について、以下の3つの論点について解説します。
それぞれについて解説していきます。
2-1.ICT人材は質・量ともに不足している
日本のICT人材は質・量ともに不足しているといえます。
以下は、情報処理推進機構がまとめた「デジタル時代のスキル変革に関する調査」をもとにした表です。この調査では企業のDX化の「成果の有無」を中心に調査しています。
※ここでは資料にもともと書かれていた「IT」で表記しています。
これによると、IT人材の「量」に関して「DX化の成果なし」と答えた企業の中でも「大幅に不足している」と答えた企業が52.9%となっています。「DX化の成果あり」と答えた企業も、実に34.8%が「大幅に不足している」と答えています。
ICT人材の量に関しては「成果あり」「成果なし」どちらの企業の場合でも、9割以上が「大幅に不足」または「やや不足」と答えていることから日本のICT人材の量が不足していることが分かります。
また、IT人材の「質」についても見てみましょう。
「DX化の成果なし」と答えた企業の約半数が「質」に対して「大幅に不足している」としています。「DX化の成果あり」と答えた企業でも、34.5%が「大幅に不足している」と答えており、いずれの場合も9割以上が「大幅に不足」または「やや不足」と答えていることが分かっています。
このことからICT人材の質に関しても満足している企業は非常に少ないのです。
以上の例からも、DX化が成功している・いないに関わらず、日本のICT人材は質・量ともに不足していると言わざるを得ない現状です。
2-2.国もICT人材育成を強化している
近年のICT人材不足を受けて、国もICT人材育成の強化に乗り出しています。総務省はICT人材の育成のために、以下のような取り組みを行っています。
ICT人材育成のために国が行っている取り組み |
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特に「高度ICT利活用人材育成プログラム開発事業」では、「高度ICT利活用人材育成カリキュラム」を開発。カリキュラムに基づく教材を作成して検証し、普及などの取り組みを行いました。
そうした取り組みを通じ、継続的に人材を育成する仕組みの構築などに取り組んでいます。
3.日本のICT人材が不足しているのはそもそもデジタル化が遅れているから
それでは、なぜ日本のICT人材がここまで不足してしまったのでしょうか。その背景には、もともと日本のデジタル化が遅れてしまったという理由があります。
この章ではまず国際的に見た日本のデジタル化の立ち位置を確認したあと、日本のデジタル化が遅れてしまった原因について詳しく解説していきます。
3-1.国際的にみた日本のデジタル化
まずは国際的にみた日本のデジタル化がどの程度の遅れをとっているのかを見てみましょう。国際経営開発研究所(IMD)によるデジタル競争力ランキング2020年の上位10カ国は以下の通りです。
トップ10の中に日本の名前はありません。2020年の発表によると、63カ国・地域のうち27位となっています。また近年その順位は下がり続けているのが現状です。
3-2.変化を前提とした開発の導入の遅れ
日本のデジタル化が遅れてしまった理由の1つに、ICT業界の変化を前提とした開発方法の導入の遅れがあります。
ICT業界のシステム開発は変化が激しい現代では、要件の変化に適応することを前提としたアジャイル開発が有効とされています。しかし日本では、綿密な計画の上で設計開発を行うウォーターフォール型が中心となっています。
「設計→開発→テスト→運用」を順番に行うこの方法は変化に柔軟ではありません。変化を前提としたアジャイル開発の方がデジタル化には適しています。しかし日本は大企業を中心に、アジャイル開発が遅れているためクラウド化の対応や業務やデータの標準化などデジタル化が遅れていると言う現状があります。
3-3.ICT業務を重要視しない傾向にある
日本ではICT業務を重要視しない傾向にあることが理由で、デジタル化が進んでいないという点も挙げられます。
日本では原則的に、業務効率化・DX化などの情報システム開発よりも本業を重視すべきだと言う考え方が根強く残っています。そのため情報システムの構築や運用を外部にアウトソーシングすることが多く、結果的に企業にICT技術の蓄積が行われないといった点が挙げられます。
ICT技術をアウトソーシングしてしまうと業務改革などを行わずに技術だけ導入してしまうため、その効果を十分に得られることなく、デジタル化を抜本的には行いづらくなってしまうと言う問題点があるのです。
3-4.デジタル化に不安感がある
日本ではいまだにデジタル化に対して不安感があったり、抵抗感がある人が多いこともデジタル化を妨げる原因になっています。
以下は、2021年に総務省がまとめた「ウィズコロナにおけるデジタル活用の実態と利用者意識の変化に関する調査」をもとに作成した表です。(※複数回答可)
これによると、情報セキュリティやプライバシー漏洩の不安があると言うことでデジタル化が進んでいないと考える人が全体の半数以上の52.2%になっていることがわかります。
こうしたことが原因で、デジタル化があまり進んでいないと言うことも挙げられるでしょう。
3-5.リテラシーが不足している
インターネットを利用するリテラシーが不足していると言う点も、デジタル化が進まない原因の1つと考えられます。
同じ調査で、利用する人のリテラシーが不足していることでデジタル化が進まないと感じている人の割合です。こちらも約半数近くに及ぶ44.2%の人が回答しています。
デジタル化を進めようと思っても、使い方がわからないなどの理由で阻まれていると言うことも十分に考えられるのです。
4.企業が抱えるICT人材不足に関する課題
それではここからは、企業が抱えるICT人材不足に関する課題についてより詳しく解説していきます。
ここではICT人材不足の課題について以下の2つのポイントを解説します。
4-1.ICT人材の採用を妨げる要因
ICT人材の不足を補うために採用を考える企業が持っている課題についても見ていきましょう。
以下は、情報処理推進機構がまとめた報告書「デジタル時代のスキル変革に関する調査」に基づいて作った表です。
※「DX化の成果あり」と答えた企業のデータを参照
これによると最も採用を難しくする要因として、「要求水準を満たす人がいない」と「採用予算や人件費の制約」が挙げられます。
そもそも人材を募集しても要求水準を満たす人がいない、または人件費予算に見合った人材を採用することができないといった問題点があるのです。
4-2.ICT人材を育成する場合の課題
ICT人材を採用することが難しければ、自社で育成をするといった考え方も一般的です。しかし従業員のスキルの習得にも課題は多くあります。
以下は、同じ調査でIT人材に新たなスキルを習得させるにあたっての阻害要因を表したものです。
※「DX化の成果あり」と答えた企業のデータを参照
これによると、IT人材に新たなスキルを習得させるためには時間の確保が最も大きな問題であるとこたえた企業が約半数近くに及んでいました。ICT人材を育成するためには、ある程度まとまった時間を要するため、このような結果となっています。
5.ICT人材不足には外国人の採用も「あり」
ICT人材不足を解決するためには、外国人の採用も検討してみることをおすすめします。この章では、ICT人材不足の解決に外国人の採用を検討すべき2つの理由について詳しく解説していきます。
5-1.優秀な人材を確保できる
まずは、外国人であれば優秀な人材を確保しやすいという点が挙げられます。
ここまででも解説してきた通り日本は海外に比べてデジタル化が遅れており、ICT人材不足が深刻化しています。日本に比べて海外にはICT人材が豊富で、人材確保がしやすいと言えるでしょう。
例えばアメリカなどでは1980年台からいち早くインドを中心にICT技術をアウトソーシングしています。その背景には、使用言語が同じ(英語)であるなど様々な理由があります。
日本でも語学力不足などのハードルを越えることができれば、最先端の技術を持っているエンジニアを確保することも難しくありません。
ICT人材の確保に苦労しているのであれば、海外に目を向け優秀な人材を探してみてはいかがでしょうか。
5-2.安価に人材を確保できる
外国人の採用を行うことで、国内でICT人材を確保することに比べると安価にICT人材を確保できるという点も挙げられます。
外国人のアウトソーシング先で人気なのが、インドやベトナム、フィリピンなど日本に比べて人件費の安い国です。人件費が安い上、ICT人材としても優秀な人材が揃っているため、欧米を中心とした世界中から注目を集めています。
日本国内で優秀なICT人材を集めるためには、それなりの人件費を用意する必要がありそれが高いハードルとなっていることも事実です。そうした現状を考えると、海外からICT人材を迎え入れるという選択肢は現実的と言えるでしょう。
6.ICT人材の採用におすすめの国
それではこの章では、ICT人材の採用におすすめの国を紹介していきます。具体的にここでは以下の参加国を紹介します。
6-1.ベトナム
まずおすすめしたいのが、ベトナムです。
ベトナムには幅広く優秀な人材が揃っていますが、特筆すべきはベトナムが親日的であるという点です。また国民性としても真面目で勤勉であると言う点において日本人の価値観と近く、コミニケーションが取りやすいとも言われています。
6-2.中国
中国もICT人材を採用するのにおすすめの国といえます。
中国がおすすめである最も大きい理由の1つは、日本語能力が高いエンジニアが豊富であるという点です。既に日本語を話すことができるエンジニアであれば、即戦力でコミニュケーションをとることが可能です。
他の国であれば通訳を導入したり日本語を習得する必要がありますが、コミニケーションという点においては有利に働くでしょう。
6-3.インド
最後におすすめしたいのが、インドです。
インドは近年IT大国と言われており、その技術力の高さは世界中から注目を集めています。優秀な人材の豊富さでは、世界有数と言えるでしょう。インドはかねてより欧米諸国にICT技術の輸出を行っているため、インド国外で働くことの抵抗感も低いのが特徴です。
またインドはヒンディー語や英語を含む多言語国家で、語学の習得に抵抗がない点も日本での採用を有利に働くことができるでしょう。
インドのIT人材に関して詳しくは「インドIT人材ってどうなの?優秀な人材を採用する方法や注意点を解説」でも解説していますので参考にしてみてください。
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8.まとめ
以上、この記事ではICT人材の現状や課題・外国人材の採用などについて、以下の内容を詳しく解説してきました。
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この記事をお読みいただくことで、ICT人材の基本的な情報は網羅できたのではないでしょうか。ぜひこの記事を、ICT人材の採用や育成の参考にしていただければ幸いです。