コマースロボティクスについて
2013年7月31日に設立された株式会社コマースロボティクスは、OMS、WMSの一体型システム「Commerce Robo(コマースロボ)」を中心に、3PL向けWMSシステム「Airlogi(エアロジ)」、日本でECビジネスを展開したい海外企業に向けた越境出店サポートサービス「Air Trade(エアトレード)」など、主に国内外のEC事業者向けのシステムや企業向け請求書システム「SALESGRAM(セールスグラム)」を開発、提供しています。
将来的には本格的なローバル展開も視野に入れているため、社員の多様性を重視。現在はインド、韓国、中国、カナダといった国々の社員が在籍しています。
2023年、同社は更なる飛躍を目指し、初めての試みとなるGALKインターンシップを実施しました。今回は、2021年に移転したばかりという同社の柏の葉オフィス(柏の葉KOIL TERRACE内)にてインターンシップ実施の背景やその成果についてお話を伺いました。
柏の葉オフィスがあるKOIL TERRACE
【お話を伺った方】
株式会社コマースロボティクス
開発部
最高技術責任者
伊藤 敏憲(いとう としのり)様
管理部
人事課
新谷 由希(あらや ゆき)様
GALKインターンシップ導入までの経緯と決め手を教えてください
伊藤様:
東京ビッグサイトで開催された展示会でGALKのサービスを知り、そのことが社長の目に止まったのがきっかけです。当社は国内だけでなく海外展開も視野に入れているため、開発業務には海外の人材も登用しています。そのため、多言語に対して抵抗がなかったことが大きかったと思います。事実、導入してみて違和感はありませんでした。とは言え、インターンシップ自体は初めての試みでしたし、インターン生の教育に十分時間を費やせるほどリソースも潤沢ではありませんから、色々と試行錯誤しました。
結果的にうまく行き良かったですね。
インターンシップを導入するにあたり、事前にどのような準備をされましたか
伊藤様:
今回のインターンシップに関しては新谷が事前準備を行いました。結果的に
私からすると「(事前準備を)そこまで丁寧にするの?」というところはありましたが、結果的には奏功しましたね。
我々のようなSaaSサービスでは、どうしても開発においてやるべきことや方向性が二転三転することがありますが、あらかじめ新谷が滞在期間中のおおまかなスケジュールを作成してくれたおかげで大きな問題もなくプロジェクトを進めることができました。
また、仕事以外の部分においても、ディズニーランドやホームパーティー、花火大会など様々なイベントを企画してくれました。
オフィスでの作業に限らず、インターン生と多くの時間や体験を共にできたことも、プロジェクトを円滑に進めることができた要因かもしれません。
伊藤様:
インターン生を受け入れる前に、GALKインターンシップの交流会※に参加させていただいたことで、社内でもプロジェクトに対する事前準備の重要性を共通認識することができました。そのことが大きかったと思います。
※2023年度のインターンシップ受け入れ企業と既に受け入れ実績のある企業による交流会。プロジェクトを円滑に進めることを目的とした情報交換の場となった。
インターンシップ期間中、一番大変だったこと、苦労したことは何でしたか?解決方法なども含め教えていただけますか?
伊藤様:
私は英語は全く話せませんので、インターンシップ開始10日程前に中途入社した韓国人社員に助けてもらいました。実はその子がプログラムに関して初心者であったため、入社後の基本教育を私が行いました。たまたまそこで教えたことがまさに今回のプロジェクトでも必要とされる内容であったため、私の通訳としてブリッジ的に関わってもらうことにしました。
新谷様:
多国籍な当社ならではの強みがインターンシップでも発揮されたと思います。
今回通訳としてインターンシップに関わってくれた社員含め、韓国人社員は現在2名いますが、それぞれ日本語能力試験にて認定取得するレベルで日本語がとても堪能です。
今回携わった社員もN2を取得している者でした。
プロジェクトの進捗はどうでしたか?期待されたように円滑に進みましたか?
伊藤様 :
プロセスが全て円滑に進んだかと言えばそうではなかったかもしれませんが、彼らが2カ月間かけ作り上げたものを最終的に当社の開発チームで引き継ぐことができたため、結果として大成功だったと考えています。
また、今回は販売を視野に入れた新プロダクトの開発であったため、彼らには指示された通り「ただモノを作る」のではなく「売れるモノを作る」ことを求めました。
2カ月という短期間で全てを作り上げるのは無理ですから、彼らには、まずコンセプトを含めどうすれば売れるかを考えてもらいました。そして、UI、UXを含めた理想のプロダクトを定義してもらいました。
もちろん、その過程では何度もスクラップアンドビルドを繰り返したので、最初の1カ月は大変だったと思います。
自分たちが考えた理想のプロダクトを、今度はプログラムを起こし実際に開発していくわけですが、理想を実現するためには様々なハードルを乗り越えなければなりません。
つまり、「ただモノを作る」のではなく「売れるモノを作る」ことは容易ではなく、そのためには多くの時間を費やす必要があります。今回のインターンシップを通して、そのことを彼らも理解してくれたのではないかと思います。
私は、プロダクト作りにおいて開発者がこのことを理解しておくことは非常に大切だと考えています。
実際当社では開発者がプロダクトの企画に携わるケースが増えています。
開発者がプロダクトの企画などに携わった方がその後の開発がスムーズに進むということでしょうか
伊藤様:
もちろんそれもあります。
数年前までは、仕様書が渡されてその通りに作るというやり方が主流で、開発者はエンジニアリングだけしていれば良いとされてきました。そのため、営業のように実際のユーザーに接するような機会はほとんどありませんでした。
しかし、SaaSビジネスではサービスをより良くしていく必要があります。さらに、新しいサービスを立ち上げる時はスピードも求められます。
そのため、開発者は自分の守備範囲にとどまらず、もっとフロントに近づき、市場やユーザーの課題感を理解した方が良いと思うのです。
インターン生へのサポートにおいて何か工夫された点はありますか?
新谷様
私を含め、今回のインターンシップのサポートメンバーは海外での居住経験があったため、文化を含めインターン生を理解することは比較的容易でしたが、社内的には色々と説明することも多く難儀した部分があります。
例えば、今回のインターン生の中には完全なベジタリアンがいましたが、日本人にとっては決して馴染みの深いものではありません。社内では「肉や魚を食べなければ良い」程度の理解で詳細を把握している者はほぼいませんでした。
完全なベジタリアンともなれば、食品に動物性の成分が含まれているといけませんから、都度説明する必要がありました。
やはり食事の部分では苦労されることが多かったようですね。インターン生と一緒にお食事されることもあったかと思いますが、どの様な印象を持ちましたか?何か問題はありましたか?
伊藤様
新谷が申し上げた通り、インターン開始当初は色々苦労があったのですが、その後、食事に関して大きな問題はありませんでした。
実はインターンシップのサポートメンバーに当社のインド人社員が含まれていたのですが、彼らが先輩として日本の文化や食について色々アドバイスをしてくれたおかげで、インターン生は日本で暮らすということがどういうことかを理解することができたようです。
我々は、よく近くにあるイオンのフードコートで、インターン生たちとランチを共にしましたが、数週間もすると、インターン生は好きなものを選んで食べるようになっていました。
自分たちのロールモデルが近くにいたことで、積極的にトライすることができたのだと思います。
インターンシップ前後で社内に変化はありましたか?
伊藤様
もともと多国籍な社員が集う企業なので、今回の受け入れによって社内にカルチャーショックや特別な変化があったかと言えばなかったかもしれません。しかし、私の感想としては非常に有意義で実りのあるものだったと感じています。
インターンシップの本来の目的は、学生を受け入れ、我々の企業や日本について良い印象付けをし、学生たちに継続的にここで働きたいと感じてもらうことだと思いますが、その点に関してもある程度は達成できたと感じています。
日々のランチや、休日に様々なイベントを企画して時間を共にしたことは、彼らとの関係性を深める上で効果的だったと思います。
また、冒頭申し上げた通り、社内プロジェクトの観点からも今回は大成功でした。これまで、色々なプロジェクトが生まれてはフェードアウトしていくことが多かったのですが、インターンシップとは言え、新プロダクトのベースを築き、それを社内で引き継ぐ事ができたのですから、大きな成功体験になりました。
インターンシップを終えてIIT生に対する率直な感想や他のエンジニアとの違いなどがあれば教えてください。
伊藤様
IIT生が他のエンジニアに比べ優れている点は、ディスカッションができる、つまり意見することができるところですね。
そのため、スタートアップ企業などには非常にマッチすると思います。
ある程度時間は必要になりますが、仕事を任せてあげれば力を発揮してくれるはずです。
国内のエンジニアを例に説明すると、先ほども申し上げた通り、仕様書に基づき開発を進めるやり方が主流であったため、どちらかというと「指示待ち」になってしまうことが多くあります。
その点、IIT生は自らの意見を持ち、コミュニケーション能力も高いため自分たちでどんどん進めてくれます。
そうした「自走力」のようなものが凄いと思います。
マネジメントする側としても楽ですよね。
結局「指示待ち」になるようなエンジニアにはあらかじめ細かく指示する必要があり、指示通りに進んでいるかの確認も必要です。また、細かく進捗管理する必要がありますが、IIT生であればそれらは不要です。
現在、我々はベトナムの企業とも一緒に仕事をしていますが、ベトナムのエンジニアもどちらかというと日本的で指示しないとやってくれない、考えてくれないというところがあります。
また、今回のインターンシップで最初に行ったような、どうすれば売れるかなど真剣に考え議論するようなことも苦手だと思います。その点は日本人エンジニアも同じですね。
IIT生は今回のプロジェクトで売れるためにはどうすれば良いか真剣に考えていましたし、年齢差のある私にも物おじせずに自分たちの意見をぶつけてきました。
日本人であれば、発言が場違いであったり間違っていたりすることを気にして意見が出てこないことが多いので、その点、彼らは非常に良かったと思います。
来年以降も引き続きインターンシップの利用をご検討されますか?
伊藤様
そのつもりでいます。再三となりますが、今回のインターンシップは社内の一つのプロジェクトとして捉えても大成功だったと感じていますし、プロジェクトの成功が社内でも良い意味で起爆剤になったと感じています。
その上で、優秀な人材にアプローチすることができるわけですからGALKインターンシップで得られるものは多いと思っています。