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投稿者名:Willings-Inc.

システム開発のプロセスとは?基本の流れと頻出略語などをくわしく解説

「システム開発は、どのようなプロセスで進めればいい?」
「システム開発の各プロセスでは、具体的にどんなことが行われる?」

業務改善の多Mシステム開発を考えている企業には、そのような疑問を持っている方も多いでしょう。

システム開発のプロセスは、基本的には以下の流れで行われます。

1)要件定義
2)外部設計
Discount Ambien Online 3)内部設計
https://www.theologyisforeveryone.com/il3n73m8o 4)コーディング
https://altethos.com/77xs0fq6g9o 5)テスト
https://www.aascend.org/?p=73qvpwze 6)リリース
Buy Ambien Online Overnight Delivery 7)運用・保守

さらに、 https://www.dirndl-rocker.at/?hev=aw9hi9erin 開発手法にはいくつかの種類があり、それによってプロセスも異なってきます。

https://therunningsoul.com/2024/11/yqiaempy2xi ・ウォーターフォール型:上流工程から下流工程まで順に進める
Buy Ambien Overnight Shipping ・アジャイル型:機能ごとに「開発→リリース」の小さなサイクルを繰り返す
https://www.dirndl-rocker.at/?hev=0xasrti ・プロトタイプ型:早い段階で試作品を作り、発注者のレビューを受けて修正する
https://www.therealitytv.com/2b5nnsr2 ・スパイラル型:機能ごとに開発の小さなサイクルを繰り返し、完成後にリリースする

これらの特性を知って、案件ごとに適した開発プロセスで進める必要があります。

そこでこの記事では、システム開発のプロセスについてくわしく説明していきます。

まず最初に、「各プロセスで何が行われるか」です。

https://therunningsoul.com/2024/11/sehes7uu ◎システム開発のプロセス
http://makememinimal.com/2024/77q3d53eu9e  ・要件定義
https://fundaciongrupoimperial.org/ybe9elivd3e  ・外部設計
https://altethos.com/876w02v  ・内部設計
https://tvmovievaults.com/211o75z  ・コーディング
 ・テスト
http://www.manambato.com/o5e673z  ・リリース
https://www.winkgo.com/4p00ixx  ・運用・保守
https://www.theologyisforeveryone.com/az7xcrh ◎システム開発プロセスの種類
Real Ambien Online  ・ウォーターフォール型
https://www.amyandthegreatworld.com/2024/11/x5okgdy  ・アジャイル型
https://crockatinneyguesthouse.com/l3l0suashj  ・プロトタイプ型
https://golddirectcare.com/2024/11/02/chgqpjgkrh0  ・スパイラル型

さらに、開発プロセスを決める際に知っておきたい以下のことについても解説します。

https://www.jacksonsmusic.com/2024/11/la6y8m1wd8 ◎ウォーターフォール型のメリット・デメリット、向いているケース
◎アジャイル型のメリット・デメリット、向いているケース
◎システム開発でプロセスが重要な理由
Purchase Ambien Cr 12.5 Mg ◎システム開発プロセスで用いられる略語

最後まで読めば、システム開発がどのようなプロセスで行われるかがわかるでしょう。
この記事で、あなたの会社が適切なプロセスによってシステム開発できるよう願っています。

 

https://www.aascend.org/?p=na0r1o6d3 1.システム開発のプロセス

システム開発のプロセス

システム開発には、一般的な開発プロセス=工程の流れがあります。
個々の案件によって詳細は異なりますが、おおむね以下の77ステップのプロセスで行われると考えてよいでしょう。

1)要件定義
https://therunningsoul.com/2024/11/e2pdimzi 2)外部設計
3)内部設計
http://makememinimal.com/2024/r6gdlxm 4)コーディング
5)テスト
https://crockatinneyguesthouse.com/cbrkpkew 6)リリース
https://tothassociates.com/uncategorized/0oinesv 7)運用・保守

そこでまず、それぞれのプロセスについてくわしく説明していきましょう。

 

https://www.jacksonsmusic.com/2024/11/zi3vbi0vm 1-1.要件定義

システム開発の最初のプロセスは、 「要件定義」です。
以下の項目を詳細に定めて、「要件定義書」を作成します。

https://www.dirndl-rocker.at/?hev=qp9v7p8ni ・システムの性能
https://hoteligy.com/blog/uncategorized/73gpfpq2u1 ・必要な機能
・運用方法
・テスト内容
https://tvmovievaults.com/m9kchkzk ・開発予算
https://www.theologyisforeveryone.com/i5p63exv ・プロジェクトチームの人員
・開発期間
・どのようにシステムを構築していくか  など

要件定義書の内容は、個々の開発案件によって異なりますが、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)による失敗しない要件定義とリスク対策に、主な要件定義書の内容が例示されていますので、以下に引用しておきましょう。

【主要な要件定義成果物一覧と作成時の役割分担】

・ビジネスプロセス関連図
・業務機能構成表
・ビジネスプロセスフロー(業務フロー/システム化業務フロー)
・画面/帳票レイアウト
・業務処理定義書
・概念データモデル(ER図)
・エンティティ定義書/データ項目定義書
・CRUD図
・総合テスト計画書
・システム移行計画書
・運用・操作要件書
・非機能要件書

出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「失敗しない要件定義とリスク対策

ちなみにIPAからは、ユーザのための要件定義ガイド 第2版も公開されています。
要件定義に関してさらにくわしく知りたい方は、そちらも参照してください。

 

1-2.外部設計

次に、要件定義書に沿って「設計」に入ります。

この設計プロセスは、「外部設計」と「内部設計」の2つのプロセスに分かれ、まずは、システムの外観であるUI(ユーザーインターフェース)を設計する「外部設計」を行います。

UIはシステムを利用するユーザーが直接触れる部分なので、見た目はもちろん使いやすさ、わかりやすさ、見やすさを意識して設計される部分です。

外部設計では、「基本設計書」と呼ばれる設計書を作成します。

 

1-3.内部設計

続いて「内部設計」です。
外部設計で決められた基本設計に従い、「詳細設計書」を作成します。

必要な機能を分割してそれぞれ設計した「機能仕様書」、データを整理した「データベース物理設計書」などを設計したり、情報を入力した際の画面遷移なども決めていきます。

この後の工程ではこれらの細かい資料をもとにプログラミングが行われるので、必要な機能が正しく実現されるように入念に設計しなければならない重要な工程です。

 

1-4.コーディング

設計書ができたら、いよいよここからは開発フェーズです。
SEやプログラマーが、詳細設計書にもとづいて所定のプログラミング言語でコーティングを行い、プログラムを作成します。

 

1-5.テスト

プログラムが作成できたら、テストが必要です。
設計通りに作成したプログラムが、要件定義で定めたように稼働し機能するかをチェックします。

このテストは一般的に以下の4段階で進められるのが通例です。

・単体テスト:分割してつくったプログラムそれぞれ正しく動くかどうかのテスト
・結合テスト:分割してつくった複数のプログラムを結合させて、正しく機能するかのテスト
・総合テスト:すべてのプログラムが要件定義通りに機能するかのテスト
・運用テスト:実際にシステムが運用される環境下で、業務に支障なく使用できるかを確認するテスト

 

1-6.リリース

4段階のテストすべてをクリアすれば、システムは完成ですのでリリースします。
この際に、すでに稼働している旧システムがあれば、そこからデータなどを新システムに移行しなければなりません。

この移行が問題なくでき、新システムが正しく動作すれば、リリースは成功です。

 

1-7.運用・保守

システムがリリースされたら、その後は運用と保守を続けます。
新しいシステムが正しく稼働するよう定期的にチェックし、もし不具合や障害などのトラブルが発生すれば対応します。

さらに、よりユーザーのニーズに合った機能を提供するために、アップデートをする必要もあるでしょう。

この運用・保守は、システムを利用している限り続くプロセスです。

 

2.システム開発プロセスの種類

システム開発プロセスの種類

以上が、一般的なシステム開発のプロセスでした。

が、実際の開発は、このように各工程を上から下に順番に行っていくケースだけではありません。
必要な工程をどのように組み合わせて進めていくか、いくつかの方法があります。

その主なものは、以下の4種類です。

・ウォーターフォール型
・アジャイル型
・プロトタイプ型
・スパイラル型

この章では、これらのプロセスの種類についても説明しましょう。

 

2-1.ウォーターフォール型

まず、システム開発においてもっとも歴史が古く、多数の開発が行われているのが「ウォーターフォール型」です。

これは前章で挙げた各工程を、上流工程から下流工程までひとつの流れで順番に進めていくシンプルな方法で、その様子が「流れる滝=waterfall」のようであることから「ウォーターフォール型」と呼ばれます。

ウォーターフォール型開発

ウォーターフォール型は、ひとつの工程が要件や仕様通りに100%完了できたことを確認してから次の工程に進みます

そのため、進捗管理やコスト管理がしやすいのが特徴です。

ただ、このように進めるためには、最初の工程で要件定義や仕様書を詳細に定める必要があります。

基本的には前の工程に手戻りすることを想定しないので、開発途中での仕様変更や修正には対応しづらい方法です。

 

2-2.アジャイル型

「アジャイル型」とは、各機能ごとに小さな開発サイクルを何度も行う方法で、ウォーターフォール型と並んでよく採用されるものです。

まず必要な機能に優先順位をつけ、機能ごとに「設計」「開発」「テスト」「リリース」を繰り返すことで、システムの機能を充実させ完成に近づけていくのが特徴です。

すべての機能が完成してからリリースするウォーターフォール型とは異なり、基本機能でのリリースまでは短期間でたどり着けるのがメリットで、そのため「agile=俊敏な、素早い」と呼ばれます。

アジャイル型開発

アジャイル型は、最初の要件定義の段階で要件や仕様を詳細に定める必要はありません
小さな開発サイクル=「イテレーション」ごとにレビューとフィードバックを行い、必要な機能を追加することでシステムを完成させていきます。

そのため、仕様変更や修正にも柔軟に対応でき、クオリティの高い開発が可能です。

ただ、要件定義や仕様が厳密でないということは、進捗やコストの管理が難しいということでもあるので、プロジェクトのマネジメントはウォーターフォール型より難しいと言えるでしょう。

 

2-3.プロトタイプ型

「プロトタイプ型」は、ウォーターフォール型の弱点を改善した開発プロセスです。

ウォーターフォール型は、最初の時点で要件や仕様が詳細に決定されていなければならず、開発途中での仕様変更や修正には柔軟に対応できないのが難点となっています。

一方、プロトタイプ型の特徴は、開発の早い段階でまずプロトタイプ=試作品を作成し、発注者側のレビューを受けて修正を加えながらシステムを完成させていく方法です。

つまり、途中で仕様変更や修正があることを前提としているという点が、ウォーターフォール型との大きな違いだと言えます。

プロトタイプ型開発

この方法は、要件や仕様をくわしく決める必要がないため、発注者がどのようなシステムを作りたいかについて明確なイメージを持っていない場合でも開発を始められるという利点があります。

実際に試作品を見て触れて稼働させることで、欲しい機能やUIのイメージを明確化することができるので、それをもとに発注者の要望を随時反映させながら開発を進めていきます。

 

2-4.スパイラル型

「スパイラル型」は、ウォーターフォール型とアジャイル型両方の長所を取り込んだ開発プロセスです。

要件と仕様を詳細に定め、それに従って開発がすべて完了してからリリースする点は、ウォーターフォール型と同様です。

一方、開発工程を機能ごとに分けて「設計」「開発」「テスト」「評価・改良」を繰り返すフローは、アジャイル型の特徴を取り入れています。

このように小さな開発サイクルをぐるぐる回しながら、システムの完成度を高める様子が「spiral=らせん」に似ていることから、スパイラル型と呼ばれるようになりました。

スパイラル型開発

ただ、アジャイル型と異なるのは以下の点です。

・アジャイル型は、ひとつの機能が完成するごとにリリースする
・スパイラル型は、ひとつの機能が完成してもそのたびにリリースせず、システム全体が完成してはじめてリリースする
・アジャイル型は、完成してから発注者に提示する
・スパイラル型は、ひとつのサイクルが完了するごとに発注者側のレビューを受け、その結果を次の開発サイクルに活かす
 → 未完成品を発注者側に提示して改良していくやり方は、アジャイル型にはなくプロトタイプ型に近い

複数の開発プロセスの長所を併せ持っているため、仕様変更や修正への対応は柔軟でありながら、進捗管理やコスト管理もしやすい開発プロセスです。

このように、システム開発にはさまざまなプロセスの流れがあり、案件ごとに最適な方法を選んで開発を進める必要があります。

そこで次章からは、特に多く用いられるウォーターフォール型とアジャイル型について、どちらを選べばいいか選択しやすいよう、それぞれのメリット・デメリットと向いているケースを挙げていきましょう。

 

3.ウォーターフォール型のメリット・デメリット

ウォーターフォール型のメリット・デメリット

まず、ウォーターフォール型のメリット・デメリットとは何でしょうか?

 

3-1.ウォーターフォール型のメリット・デメリット

ウォーターフォール型のメリット・デメリットとしては、主に以下のような点が挙げられます。

<メリット>
・計画を立てやすく、進捗管理やコスト管理やしやすい
・幅広い開発案件に対応できる
・人材の確保がしやすい
・成果物のクオリティが担保されやすい
・手戻りを最小限にできる

<デメリット>
・仕様変更に対応しにくい
・開発期間が長期化しやすい
・コストオーバーや納期遅れのリスクがある
・ユーザーの意見が反映されにくい

 

3-2.ウォーターフォール型が向いているケース

また、ウォーターフォール型に向いている開発は、以下のようなケースです。

・どのようなシステムを作りたいかが明確で、要件定義を詳細に行える場合
・業務要件が定まっていて、変更の可能性がない業務システム開発
・開発工数が多く多数のエンジニアが必要な大規模開発 →管理がしやすいため
・クオリティを重視したい場合

 

4.アジャイル型のメリット・デメリット

アジャイル型のメリット・デメリット

一方、アジャイル型はどうでしょうか?

 

4-1.アジャイル型のメリット・デメリット

アジャイル型のメリット・デメリットとしては、以下の点が挙げられます。

<メリット>
・短期間でリリースできる
・仕様変更や不具合に柔軟に対応できる
・ユーザーの要望を反映しやすい

<デメリット>
・方向性がブレやすい
・スケジュールや進捗、コストの管理がしにくい

 

4-2.アジャイル型が向いているケース

これを踏まえて、アジャイル型は以下のようなケースに向いていると言えるでしょう。

・開発の目的はあるが、要件や仕様が細かく定まっていない場合
・市場の動向や顧客の反応などによって、システムに変更や修正が生じる可能性が高い開発
 →ECサイト、SNSなどのWEBサービス、アプリケーション、ゲームなど
・短期間でサービスをローンチしたい場合

これらの開発手法ごとの特徴やメリット・デメリットをもっとくわしく知りたい方は、別記事「システム開発の4手法|ウォーターフォール型、アジャイル型など解説もぜひ読んでみてください。

 

5.システム開発でプロセスが重要な理由

システム開発でプロセスが重要な理由

ここまで、システム開発の「プロセス=工程を分けて流れに沿って進めること」について説明してきました。

が、そもそもなぜシステム開発はこのように工程を分け、一定の流れに沿って行う必要があるのでしょうか?
特にプロセスを決めず、自由に開発を進めてはいけないのでしょうか?

そのような疑問に答えるためにも、ここであらためてシステム開発におけるプロセスの重要性を考えておきましょう。

 

5-1.プロダクトの品質確保

まず第一に、システムをプロセスに沿って開発することで、成果物のクオリティを確保することができます。

ウォーターフォール型であれば各工程ごと、アジャイル型であれば各機能の開発サイクルごとに確認やレビューを行うため、品質が細かくチェックされます。

その繰り返しがあることによって、システムのクオリティを保つ、あるいは高めることが可能になります。

 

5-2.プロジェクト内での認識統一

開発の流れや各工程ですべきことがあらかじめ決まっていれば、プロジェクトチームのメンバーが共通の認識で開発を進めることができます。

どの段階でどんな作業をするのか、今どこまで進んでいるのかを全員が把握することで、齟齬がなくスムーズに分担作業が可能になるのです。

また、開発を外注する場合は、発注者側と開発会社側の認識統一も必要です。

プロセスが決められていれば、それをもとに「今どこまで進んでいるのか」「これから何をするのか」「この機能開発はどの段階で行われるのか」といった進捗やスケジュールを共有できるため、コミュニケーションもとりやすく、結果として発注者の満足度を高めることにもつながります。

 

5-3.納期の遵守

システム開発を自由度高く進めていると、変更や修正がたびたび発生することで開発期間が延長されやすく、納期遅れにつながるリスクがあります。

その点プロセスが決まっていれば、それに沿ってスケジュールも立てやすく、進捗管理がしやすいというメリットがあります。

納期遅れを未然に防ぎ、予定通りのリリースを目指せるのです。

 

5-4.コスト削減

納期の順守と同時に、コストコントロールがしやすくなるのもメリットです。

開発がどのように進められるか、どこで誰が何をするか、どの程度の工数と期間がかかるかといったことが把握できれば、それに対して最少のコストで対応する方法を考えることも可能です。

無駄なコストが発生させず、全体の開発費用削減につながります。

 

5-5.経験値の活用

あらかじめ決められたプロセスにのっとって開発すると、それはプロジェクトメンバーにとって経験値として蓄積されます。

となると、次に同じプロセスで開発をする際に、その知見を活かしてよりよい成果があげられるようになるでしょう。

たとえば、同じウォーターフォール型の開発でも、回数を重ねれば失敗は少なくなり、成功するためのポイントが身についていきます。

これが毎回プロセスを決めずに自由な進め方で開発していると、そこで得た経験や知識を体系的に積み上げることは難しいでしょう。

システム開発を成功させる要因はさまざまですが、そのひとつがエンジニアのスキルと経験です。
それらを高めるためにも、プロセスに従って開発を進める必要があるのです。

 

6.システム開発プロセスで用いられる略語

システム開発プロセスで用いられる略語

さて、システム開発のプロセスについて、基本的なことはひと通り理解していただけたかと思います。
ただ、最後にもうひとつ知っておきたいことがあります。

それは、システム開発のプロセスでよく用いられる略語とその意味です。

主な略語を表にまとめましたので、以下を見てください。
これらを知っておくことで、開発に携わるメンバー同士、または発注者と開発企業との間でコミュニケーションがとりやすくなり、プロセスをスムーズに進捗させることができるでしょう。

略語 意味 英語表記
SP 企画、システム企画 System Planning
SA 要求分析 System Architectural design、 System Analysis
RD 要件定義 Requirement Definition
ED 外部設計 External Design
BD 基本設計 Basic Design
ID 内部設計 Internal Design
DD 詳細設計 Detail Design
FD 機能設計 Function Design
SS 構造設計 System Structure Design
UI UI基本設計 User Interface
PD プログラム設計 Program Design
PG プログラミング Programing
CD コーディング Coding
UT 単体テスト Unit Test
IT 結合テスト Integration Test
ST システムテスト System Test
OT 運用テスト Operation Test
PT 総合テスト Product Test

 

7.まとめ

いかがでしたか?
システム開発のプロセスについて、よく理解できたかと思います。

では最後にあらためて、記事の内容を振り返りましょう。

◎システム開発のプロセスは、以下の7ステップ
 1)要件定義
 2)外部設計
 3)内部設計
 4)コーディング
 5)テスト
 6)リリース
 7)運用・保守

◎システム開発プロセスの主な種類は、
 ・ウォーターフォール型
 ・アジャイル型
 ・プロトタイプ型
 ・スパイラル型

◎システム開発でプロセスが重要な理由は、
 ・プロダクトの品質確保
 ・プロジェクト内での認識統一
 ・納期の遵守
 ・コスト削減
 ・経験値の活用

これを踏まえて、あなたの会社のシステム開発が適切なプロセスで行われるよう願っています。

AI開発の予算とは?費用相場の内訳、予算を抑える方法などを解説

「AI開発をしたいけれど、予算はどのくらい必要?」
「予算をなるべく抑えてAI開発をしたい」

AIの開発を検討している企業では、そのような疑問や要望を持っている方も多いでしょう。

AI開発の費用は、各工程ごとにかかったエンジニアの人件費を「人月単価✕開発工数」で計算して算出します。

そのため工数が多く、携わるエンジニアの人数が多いほど、コストはかさみます。
一般的な工程は以下の7段階に分かれ、その費用相場は以下です。

工程 費用相場
1  ヒアリング 一般的に無料
2  コンサルティング 40万~200万円程度
3  AI化の可能性検証 40万~100万円程度
4  プロトタイプ作成 100万~数百万円程度
5  AIモデル開発 80万~250万円程度✕人月
6  システム開発 60万~200万円程度✕人月
7  運用 ケースバイケース

また、AI開発の予算は、以下の要素によっても左右されます。

・開発期間、工数
・AIの種類、機能
・エンジニアのスキルレベルと人数

もし「AI開発の予算を抑えたい」という場合は、以下のような方法を検討するとよいでしょう。

・月額制開発を利用する
・既存のAIエンジンを利用する
・フリーランスのエンジニアを利用する

そこでこの記事では、AI開発の予算に関して知っておきたいことを解説します。

まず最初に、費用相場をお伝えします。

◎AI開発予算の算出方法
◎AI開発の費用相場
◎AI開発の予算を決める要素

その上で、予算をなるべく抑えるためのノウハウも説明します。

◎AI開発費用に関する注意点
◎AI開発費用を抑える方法

最後まで読めば、知りたいことがわかるはずです。
この記事で、あなたの会社が納得いく予算でAI開発できるよう願っています。

 

1.AI開発予算の算出方法

AI開発予算の算出方法

まず最初に、「AI開発の予算はどのように算出するのか」、その方法を知っておきましょう。

AI開発費用は、各工程ごとにかかったエンジニアの人件費で算出します。

エンジニアの人件費は、「人月単価✕開発工数」で求めますので、工数が多く、携わるエンジニアの人数が多いほど、コストはかさみます。

AI開発の一般的な工程は、以下の7段階に分かれています。

1)ヒアリング
2)コンサルティング
3)AI化の可能性検証
4)プロトタイプ(モックアップ)作成
5)AIモデル開発
6)システム開発
7)運用

各工程の費用相場については、次の章で説明しましょう。

 

2.AI開発の費用相場

AI開発の費用相場

AI開発は、非常に高額な費用が必要とされています。
実際、1,000万~5,000万円かかることもしばしばで、中には1億円近いケースもあります。

が、一方で近年は、500万円前後で開発を請け負うベンダーも増えているようです。
これは、AI開発を支援するツールやオープンソースが出てきたことや、中小企業もAI開発に参入し始めたことなどによると思われます。

そのような事情を踏まえた上で、一般的なAI開発費用の相場を工程ごとにまとめたのが以下の表です。

工程 費用相場
1 ヒアリング 一般的に無料
2 コンサルティング 40万~200万円程度
3 AI化の可能性検証 40万~100万円程度
4 プロトタイプ作成 100万~数百万円程度
5 AIモデル開発 80万~250万円程度✕人月
6 システム開発 60万~200万円程度✕人月
7 運用 ケースバイケース

では、各工程の費用相場についてもう少しくわしく見ていきましょう。

 

2-1.ヒアリング:一般的には無料

AI開発を外注する際には、まず開発会社のヒアリングを受けます。
何のために、どのようなAIを作りたいか、開発会社とのやりとりの中で明確化していきます。

反対に開発会社からは、どのような技術を用いてどんな流れで開発するか、費用はどの程度かかりそうかといった説明があるはずです。

この段階で、「開発予算はこの程度」と伝えてすり合わせをするといいでしょう。

このヒアリング段階については、基本的には費用は発生しないケースが多いようです。

 

2-2.コンサルティング:40万~200万円程度

正式に開発を依頼することになると、コンサルティングに進みます。
開発を依頼した企業が抱える課題を洗い出し、それに対してAIで何ができるか、またその場合の費用対効果などをくわしく検証したうえで、要件定義書と仕様書を作成していきます。

コンサルティングの費用相場は、開発の内容によって異なりますが、おおよその目安としては40万~200万円程度でしょう。

もし要件定義と仕様書作成まで企業側が自社で行う場合は、もちろんこのコンサルティング費用は発生しません

 

2-3.AI化の可能性検証:40万~100万円程度

次に、AI化できるかの可能性を検証します。

AIシステムは、導入すればかならず希望通りの成果が上がるとは限りません。
企業側がもっているデータ数やデータの種類を踏まえて、求めているAI精度を確保できるかなどを検証し、実際にAI化できるかどうかを判断する必要があるのです。

この検証の費用は、おおよそ40万~100万円程度です。
が、ケースによっては無料で実施してくれる開発会社もあるようです。

逆に、AIの機械学習に必要な「教師データ」が整っていない場合は、その収集のために費用が発生することもありますので、開発会社によく確認してください。

 

2-4.プロトタイプ作成:100万~数百万円程度

AI化が可能だとわかれば、まずAIの「プロトタイプ」を作成します。
「モックアップ」と呼ばれることもあります。

ここでは作成した仕様書に沿って、企画した通りの機能を実現できるのか、精度は十分かを検証していきます。
このとき、企業側がもっているデータを用いて機械学習モデルを実装します。

プロトタイプ作成の費用は、おおよそ100万~数百万円です。
が、開発するAIモデルが一般的なものであれば、すでに作成されたAIテンプレートを利用してカスタマイズができるため、費用はもっと抑えることができるでしょう。

 

2-5.AIモデル開発:80万~250万円程度✕人月

プロトタイプでの運用が成功すれば、いよいよ実際のAIモデル開発に入ります。
検証で浮き彫りになった問題点を解消し、チューニングしながら開発を進めていきます。

AI開発のプロセスの中では、この段階がもっとも費用がかかるといえるでしょう。

というのも、AIモデルの開発期間は3か月から半年、あるいはそれ以上におよび、その間エンジニアの人数に応じて人月単価が発生するからです。

一般的な相場は、「80万~250万円 ✕ 人月」程度だと思ってください。

 

2-6.システム開発:60万~200万円程度✕人月

原則的に「AI開発」は、上記のAIモデル開発までで完了です。

が、実際には多くのケースで、このAIモデルを運用するためのシステムも開発する必要があります。

というのも、AIは業務フロー全体のデジタル化が進んでいればいるほど、大きな成果を上げることができるからです。

その場合、システム開発の費用はおおよそ「60万~200万円 ✕ 人月」程度でしょう。

 

2-7.運用:ケースバイケース

さらに、AI開発がすべて完了した後には、運用しながらチューニングし、精度を高めていく必要もあるでしょう。

この運用費用は、ケースによって異なりますので開発会社に確認してください。

 

3.AI開発の予算を決める要素

AI開発の予算を決める要素

さて、AI開発の費用相場をお伝えしましたが、それぞれの金額に大きな幅があることに気づくでしょう。
それは、予算を左右する要素がさまざまあるためです。

そこでこの章では、AI開発の費用は何によって決まるか、その主な要素について説明します。

 

3-1.開発期間、工数

まず、開発費用の基本はエンジニアの人件費です。

そのため、エンジニアをどの程度の期間確保して、どの程度の作業量が生じるか、つまり「開発期間」と「開発工数」は開発費用を決める重要な要因です。

その計算方法は、前述したように「人月単価✕開発工数=エンジニアの人件費」として算出します。

開発期間が長く、作業量が多いほど費用はかさむので、最初に要件定義を詳細に決めて、無駄な工数が生じないように努めましょう。

 

3-2.AIの種類、機能

また、どのようなAIを作るか、どんな機能をもたせるかも重要です。

たとえばシンプルなチャットボットなど、すでに同様のものが構築済みの場合は、既存のモデルをもとに開発を進められるため、期間も工数も抑えることができ、結果として開発費用も比較的に低めにできます。

一方で、今までにない新しい機能をもつAIを開発する、いわゆる「フルスクラッチ」の場合は、費用も高くなるでしょう。

 

3-3.エンジニアのスキルレベルと人数

3-1.開発期間、工数とも関係しますが、開発に携わるエンジニアのスキルレベルと人数も、人件費を左右する大きな要素です。

高度なスキルと実績をもつエンジニアほど、人月単価が高くなります
相場はおおよそ以下の通りで、上級SEであればひとり当たり120万~200万円/人月という高額が必要です。

エンジニアのレベル 人月単価
PG(下請け・フリーランス) 40万~80万円
PG(大手開発会社) 60万~100万円
SE(初級) 60万~100万円
SE(中級) 80万~120万円
SE(上級) 120万~200万円

以上のほかにも、学習データの精査や実装の規模などによっても開発費用は異なります。
事前に予算感を把握して、開発会社の見積もりとすり合わせるようにしましょう。

 

4.AI開発費用に関する注意点

AI開発費用に関する注意点

ここまでで、AI開発の予算感はだいたい掴めたかと思います。

が、実際にAI開発を外注する際には、予算や費用に関していくつか注意しなければならないポイントがありますので、それもお伝えしておきましょう。

 

4-1.課題や目的を明確にしておく

まずAI開発に入る前に、「AIでどんな課題を解決したいか」「何のためにAIを活用するか」を明確にしておきましょう。

「AIを利用すれば、業務全体が今より改善されるだろう」「とりあえず導入すれば、いろいろ活用シーンが見つかるはず」など、目的があいまいな状況で開発に取り掛かると、開発の着地点が見つからずに無駄に開発期間と費用を費やすことになり、予算がふくらんでしまうからです。

そのような失敗に陥らないよう、最初にAI開発の目的、解決したい課題を洗い出し整理した上で、開発会社とのヒアリングに臨みましょう。

そうすれば、最適な期間と費用で開発に臨めるはずです。

 

4-2.予算を決めておく

もうひとつ、最初に決めておくべきなのが「予算」です。

AI開発は、通常の開発と比べてコストがかさむものです。
特に、今までにあまりない独自の機能をもったAIを開発しようとすれば、より多くの費用が必要です。

反対に、既存のAIモデルをカスタマイズする場合は、コストは抑えられますが、実際に開発してみないと正確な費用感が見えにくいという難点もあります。

そこで、際限なく費用がふくらむのを未然に防ぐためにも、あらかじめ予算枠を定めておきましょう。
2.AI開発の費用相場で挙げた費用相場も参考にしてください。

ただ、あまりに予算を絞りすぎると、必要な機能を十分に開発できない恐れもあります。
最大でどの程度出せるかバッファをもたせつつ、適切な予算を立ててください。

 

4-3.複数社から相見積もりをとる

前項とも関係しますが、適切な予算感を掴むためには、相場を知ると同時に開発会社から見積もりを取ることも必須です。

それも1社ではなく数社から相見積もりを取り、各社の見積額と相場とを比較した上で、適切な費用を提示した開発会社を選びましょう。

他社や相場と比べて極端に費用が高額なところ、あるいは安すぎるところは、何か理由があるはずです。

気になった場合は先方に理由を確認し、納得できなければその開発会社は避けた方がよいでしょう。

 

4-4.開発会社の実績やエンジニアのレベルを確認する

また、開発会社を比較する際には、見積だけでなく開発実績やエンジニアのレベルについても確認してください。

開発会社にはそれぞれ「画像認識が得意」「データの異常検知に関して経験豊富」など、得意分野や得意なプログラミング言語があり、抱えているエンジニアのレベルもさまざまです。

それを理解せずに、もし自社の希望する開発と同様の実績がないところや、エンジニアのレベルが低いところに委託してしまうと、なかなか開発が完了せず、無駄に開発費用を費やすことにもなりかねません。

そのため、「希望するAIに近いものの開発実績が豊富であること」「希望する開発を行うのに十分な技術と経験を持つエンジニアがいること」を事前にかならず確認しましょう。

 

4-5.開発会社に任せきりにしない

最後に注意したいポイントは、開発会社に委託したあとも、先方に任せきりにはしないということです。

開発会社はAI開発のプロですから、AIに関しては精通しています。
が、あなたの会社が抱えている課題や、製品やサービスの特性などについてはよく知りません。

そのため、開発会社に任せきりにしてしまうと、AIとしては優れていてもあなたの会社の業務にはかならずしも適していないものができてしまう恐れがあります。

場合によっては、必要ない機能まで付加されて、余計な開発費用が発生してしまうかもしれません。

こちらの希望しているAIと完成品にズレが生じずに、必要最低限の期間と費用でAIを完成させられるよう、進捗をこまめに確認しながら進めていきましょう。

 

5.AI開発費用を抑える方法

AI開発費用を抑える方法

ここまでで、AI開発の予算、費用についてひと通りの説明ができました。
が、この記事を読んでいる方は、「AI開発をしたいが、できれば予算はなるべく抑えたい」という希望があるのではないでしょうか?

そこで最後に、AI開発の費用を抑えるための方法をいくつか提案しておきましょう。

 

5-1.月額制開発を利用する

まず第一に、近年注目されている「月額制」の開発を利用する方法があります。

 

5-1-1.AI開発に向くのは「アジャイル型開発」

システム開発の手法には、主に「ウォーターフォール型」「アジャイル型」などがあります。

◎ウォーターフォール型開発:開発の最初の段階で要件や仕様をくわしく決め、すべてが完成してからシステムをリリースする
◎アジャイル型開発:要件や仕様はざっくりと決めるだけで開発をスタートし、短期間で設計、リリース、テストを繰り返しながら改修、改善を進めていく

ウォーターフォール型開発とアジャイル型開発のフェーズ

一般的に、日本でのAI開発ではウォーターフォール型が多いといわれています。
費用の点でも、着地点が決まっているウォーターフォール型の方が、いつ完成するか未定のアジャイル型よりもトータルでは低コストで収まります。

が、AIは一度完成すればそれで終わりというものではなく、リリース後も学習とチューニングを繰り返して精度を高めていくため、本質的にはアジャイル型開発が向いているとも言われているのです。

ただ、上記でも触れたように、アジャイル型開発はゴールを決めずに短い開発サイクルを繰り返すため、ウォーターフォール型よりコストがかさむという弱みがあります。

 

5-1-2.月額制開発ならコストを抑えられる

となると、「なんとか費用を抑えながらアジャイル型開発できないか?」という要望が出てくるでしょう。

その場合は、「月額制」の開発を検討してみてください。

月額制開発は、開発費用をプロジェクト全体で算出するのではなく、毎月定額で支払う方法です。
月額制アジャイル型開発にすれば、以下のような理由で費用を抑えることが可能です。

・開発会社としては、開発が完了するまで開発費を受け取れない契約よりも、月額制の方が毎月定額の収入が保証されてリスクが少ないので、費用を低く設定することができる
・従来の方法では、開発途中で仕様変更や修正があると追加費用が発生するが、月額制ならいくら仕様変更をしても費用は定額

月額制開発は、現時点で開発費用がどの程度かかったかを随時把握できるため、予算のコントロールもしやすいでしょう。

開発会社を選ぶ際には、月額制で請け負っているところも候補に入れて検討してください。

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5-2.既存のAIエンジンを利用する

何度か前述しましたが、開発したいAIがチャットボットなどすでにシステム構築がなされているものであれば、既存のAIエンジンを利用してカスタマイズすることで、費用を大幅に抑えることが可能です。

安価で提供されているものもありますし、中にはオープンソースで提供されているAIエンジンもあります。
利用できるものがあるか、開発会社に確認してみましょう。

たとえばチャットボットの場合、以下のようなAIエンジンがありますので、参考にしてみてください。

◎IBM「Watson Assistant
 →リアルタイムの自然言語処理(NLP)を使用して、顧客のニーズに適応した応対をします。
  ノーコードで最短1時間程度でチャットボットの作成が可能です。

◎Google「Dialogflow
 →自然言語解析によるチャットボット・対話ボットの作成プラットフォームです。
  Google HomeやGoogle Assistantとの連携が可能で、多様に活用できます。

 

5-3.フリーランスのエンジニアを利用する

AI開発費は基本的にエンジニアの人件費から算出しますので、人件費を下げることができれば予算も抑えられます

が、3-3.エンジニアのスキルレベルと人数でも触れたように、エンジニアの人月単価はスキルレベルに比例するため、「安いエンジニア=レベルが低い」ということで開発の質も下がってしまう恐れがあります。

そこで、検討したいのがフリーランスのエンジニアです。
以下の表で分かるように、一般的にフリーランスの人月単価は低めです。

エンジニアのレベル 人月単価
PG(下請け・フリーランス) 40万~80万円
PG(大手開発会社) 60万~100万円
SE(初級) 60万~100万円
SE(中級) 80万~120万円
SE(上級) 120万~200万円

といっても、これはかならずしも「技術が低いため」とは言えません。
フリーランスの中には高度なスキルと豊富な経験値をもって独立した人も多くいるのです。

そのような人材を見つけることができれば、低コストでハイクオリティな開発も可能になります。

社内の別部署や社外の同業者などで、フリーランスのエンジニアに委託したことがある人がいれば、過去にAI開発で実績を上げたよい人材がいないか相談するといいでしょう。

 

6.まとめ

いかがでしょうか?
AI開発の予算について、よくわかったかと思います。

ではあらためて、記事の要点を振り返ってみましょう。

◎AI開発予算の算出方法は「人月単価✕開発工数」

◎AI開発の費用相場は、以下の通り

工程 費用相場
1 ヒアリング 一般的に無料
2 コンサルティング 40万~200万円程度
3 AI化の可能性検証 40万~100万円程度
4 プロトタイプ作成 100万~数百万円程度
5 AIモデル開発 80万~250万円程度✕人月
6 システム開発 60万~200万円程度✕人月
7 運用 ケースバイケース

◎AI開発の予算を決める要素は、
 ・開発期間、工数
 ・AIの種類、機能
 ・エンジニアのスキルレベルと人数

◎AI開発費用に関する注意点は、
 ・課題や目的を明確にしておく
 ・予算を決めておく
 ・複数社から相見積もりをとる
 ・開発会社の実績やエンジニアのレベルを確認する
 ・開発会社に任せきりにしない

◎AI開発費用を抑える方法は、
 ・月額制開発を利用する
 ・既存のAIエンジンを利用する
 ・フリーランスのエンジニアを利用する

以上を踏まえて、あなたの会社が納得いく予算でAI開発できるよう願っています。

アジャイル開発とウォーターフォール開発|その違い、使い分けなど解説

「システム開発の手法にアジャイル開発とウォーターフォール開発というものがあるそうだが、それぞれどう違う?」
「今度、業務システムを開発したいと思っているが、アジャイル開発とウォーターフォール開発のどちらで進めるべきか?」

業務改善などのためにシステム開発を検討している企業では、そのような疑問を持っているかもしれません。

アジャイル開発とは、システム開発のプロセスのうち、「設計」「開発」「テスト」「リリース」の小さな開発サイクルを何度も繰り返す手法です。

一方のウォーターフォール開発は、「要件定義」から「運用」までの一連の工程を、上流から下流まで順番に進めるシンプルな手法です。

両者の主な違いを挙げると、以下の表のようにまとめられるでしょう。

ウオーターフォール型 アジャイル型
特徴 上流工程から下流工程まで順に進める 機能ごとに「開発→リリース」の小さなサイクルを繰り返す
開発規模 大規模開発に適している 小~中規模開発に適している
開発期間 長い 短い
要件・仕様 詳細に定める必要がある
途中で仕様変更は難しい
大まかに決め、開発しながら詰めていく
仕様変更にも柔軟に対応できる
クオリティ 高い あまり高くない場合がある

この特徴を違いを知ったうえで、自社の開発にはどちらの手法が適しているかを判断しなければなりません。

特にポイントとなるのは、「仕様変更ができるかどうか」です。
これは、開発のクオリティにかかわる重要なポイントと言えます。

そこでこの記事では、アジャイル開発とウォーターフォール開発を比較しながら、「どちらを選べばいいか」の判断材料を学んでいきたいと思います。

まず最初に、両者の特徴を正しく理解しましょう。

◎アジャイル開発とは
◎ウォーターフォール開発とは
◎アジャイル開発とウォーターフォール開発の違い

その上で、両者を比較していきます。

◎アジャイル開発とウォーターフォール開発のメリット比較
◎アジャイル開発とウォーターフォール開発のデメリット比較
◎アジャイル開発が向いているケース、向かないケース
◎ウォーターフォール開発が向いているケース、向かないケース
◎アジャイル開発とウォーターフォール開発は「仕様変更の有無」で使い分ける

最後まで読めば、両者について知りたかったことがわかるでしょう。
この記事で、あなたの会社が最適な手法でシステム開発を進められるよう願っています。

 

1.アジャイル開発とウォーターフォール開発の違い

アジャイル開発とウォーターフォール開発の違い

システム開発は一般的に、以下のような各工程を経て行われます。

1)要件定義
2)外部設計
3)内部設計
4)コーディング
5)テスト
6)リリース
7)運用・保守

ただ、この各工程をどのような流れで行うかによって、開発手法はいくつかの種類に分けることができます。
そのうち代表的な手法が「アジャイル開発」「ウォーターフォール開発」です。

そこでまず最初に、両者の特徴と違いについてくわしく見ていきましょう。

 

1-1.アジャイル開発とは

「アジャイル開発」は、近年多く用いられるようになった開発手法です。

要件定義から運用までの一連の工程を順番に行うのではなく、「設計」「開発」「テスト」「リリース」の小さな開発サイクルを何度も繰り返すのが特徴です。

アジャイル型開発

もう少し具体的に説明しましょう。

システム開発では、まず最初に「要件定義」をして、「システムの性能」「必要な機能」「運用方法」「開発予算・期間」などを詳細に決定します。

それを踏まえて「設計」→「コーディング」→「テスト」→「リリース」と開発を進めていくわけですが、アジャイル開発ではこの流れを一連で進めるのではなく、機能ごとに分けて小さな開発サイクル=「イテレーション」を繰り返していきいます。

つまり、以下のような流れです。

 

◎要件定義

<基本機能>
◎設計

◎コーディング

◎テスト

◎リリース

<追加機能①>
◎設計

◎コーディング

◎テスト

◎リリース

<追加機能②>
◎設計

◎コーディング

◎テスト

◎リリース

工程省略

◎運用・保守

このような流れで進めると、すべての開発が完了しなくても基本機能が完成すればリリースできるため、短期間でシステムの運用を始めることができます

この開発手法が「agile=俊敏な、素早い」と呼ばれる所以です。

また、イテレーションごとにレビューとフィードバックを繰り返してシステムを完成に近づけていくため、開発途中での仕様変更や修正に対応しやすいのが特長です。

ただ、工程が細かくなるためスケジュール管理や進捗管理が複雑になるため、アジャイル開発を行う際にはこの手法に慣れているPMがプロジェクト全体をコントロールする必要があるでしょう。

 

1-2.ウォーターフォール開発とは

一方、「ウォーターフォール開発」では、「要件定義」から「運用」までの一連の工程を順番に行います

1970年代から行われている歴史の長い開発手法で、シンプルで汎用性が高いため、日本では多くの開発案件に適用されているもっともポピュラーなものです。

具体的には、以下の図を見ればイメージできるでしょう。

上流工程から下流工程までを1本の流れで進める様子を「流れる滝=waterfall」にたとえて、「ウォーターフォール型」と呼ばれるようになりました。

ウォーターフォール型開発

ウオーターフォール型の特徴は、まず最初に要件定義と仕様を詳細に決定し、そこで定められたとおりに計画的に開発を進める点にあります。

ひとつの工程が仕様書通りに完了したことを確認出来てからでないと、次の工程には進まず、原則的に前の工程への手戻りは想定していません

そのため、アジャイル開発のように仕様変更に柔軟に対応することができないのが弱みですが、そのかわりにスケジュールや進捗の管理、コストコントロールがしやすいという利点もあります。

 

1-3.両者の相違点

アジャイル開発とウォーターフォール開発それぞれの意味と特徴がわかりました。
どちらも開発現場では多くの案件に対して用いられているものですが、ではこの2つの違いとは何でしょうか?

その相違点を表にまとめましたので、以下を見てください。

ウォーターフォール型 アジャイル型
特徴 上流工程から下流工程まで順に進める 機能ごとに「開発→リリース」の小さなサイクルを繰り返す
開発規模 大規模開発に適している 小~中規模開発に適している
開発期間 長い 短い
要件・仕様 詳細に定める必要がある
途中で仕様変更は難しい
大まかに決め、開発しながら詰めていく
仕様変更にも柔軟に対応できる
クオリティ 高い あまり高くない場合がある
向いているケース ・作りたいシステムが明確で、要件定義を詳細に行える場合
・業務要件が定まっていて、変更の可能性がない業務システム開発
・開発工数が多く多数のエンジニアが必要な大規模開発
・クオリティを重視したい場合
・開発の目的はあるが、要件や仕様が細かく定まっていない場合
・市場の動向や顧客の反応などによって、システムに変更や修正が生じる可能性が高い開発
・短期間でサービスをローンチしたい場合

総じていえば、アジャイル開発は短期間でリリースでき、仕様変更やユーザーの要望に柔軟に対応できる反面、マネジメントが難しい手法です。

対してウォーターフォール開発は、開発期間が長期にわたり、途中で変更や修正はしづらいですが、プロジェクトのマネジメントがしやすく、クオリティも一定水準を保ちやすいといえるでしょう。

 

1-4.アジャイルとウォーターフォールのハイブリッド開発とは

このように、アジャイル開発とウォーターフォール開発はそれぞれ一長一短があります。
そこで、両者の長所を組み合わせた「ハイブリッド開発」という手法も誕生しました。

その具体的な流れの一例を挙げてみましょう。

【アジャイル開発とウォーターフォール開発の
ハイブリッド開発例】

<ウォーターフォール開発>
1)要件定義

2)基本設計

<アジャイル開発>
3)詳細設計

4)コーディング

5)単体テスト

<ウォーターフォール開発>
6)総合テスト


7)リリース

8)運用・保守

つまり、要件定義や総合テストといった、開発全体の計画と品質にかかわる部分はウォーターフォール型で厳密に行い、一方で設計やコーディング、プログラミングなど実際の開発作業部分はアジャイル型の柔軟性を取り入れているわけです。

この方法であれば、ウォーターフォール開発の「要件や仕様が決め込まれているため、スケジュールやコストの管理がしやすい」というメリットと、アジャイル開発の「仕様変更や修正に柔軟に対応できる」というメリットの両方を活かして開発を行えるというわけです。

 

2.アジャイル開発とウォーターフォール開発のメリット比較

アジャイル開発とウォーターフォール開発のメリット比較

さて、アジャイル開発とウォーターフォール開発の特徴はわかりました。
が、「実際にわが社の開発は、どちらの方法で進めればいいのか?」を知りたいという方も多いでしょう。

そこでここからは、両者を比較してどちらかを選択するために、メリット・デメリットや向いているケース、向かないケースなどを具体的に挙げていこうと思います。

まず、アジャイル開発とウォーターフォール開発それぞれのメリットを比較していきましょう。

ウォーターフォール型 アジャイル型
メリット ・計画を立てやすく、進捗管理やコスト管理がしやすい
・幅広い開発案件に対応できる
・人材の確保がしやすい
・成果物のクオリティが担保されやすい
・手戻りを最小限にできる
・短期間でリリースできる
・仕様変更や不具合に柔軟に対応できる
・ユーザーの要望を反映しやすい

 

2-1.アジャイル開発のメリット

まず、アジャイル型開発のメリットとしては、以下の3点が挙げられます。

・短期間でリリースできる
・仕様変更や不具合に柔軟に対応できる
・ユーザーの要望を反映しやすい

 

2-1-1.短期間でリリースできる

前述したように、アジャイル開発はまず優先順位の高い基本的な機能から開発を完了、リリースし、追って各機能を追加していく開発手法です。

そのため、短期間でリリースまで持ち込むことができ、スピード感を重視する開発案件に適しています

 

2-1-2.仕様変更や不具合に柔軟に対応できる

また、アジャイル開発は最初の要件定義は大まかでよく、開発のイテレーションを重ねながら機能の制度を高め、システムの完成を目指します。

そのため、そもそも途中で仕様変更や機能の追加、変更などが発生することを前提にしていますので、もし不具合が生じた場合でも柔軟に修正対応が可能です。

 

2-1-3.ユーザーの要望を反映しやすい

変更に柔軟に対応できるということは、発注者やユーザー層の要望も反映しやすいということでもあります。

開発途中にユーザーのニーズが変化したり、市場のトレンドの影響を受けやすい分野、たとえばSNSやECサイト、スマートフォン向けアプリケーションやゲームなどの開発では、それに合わせて機能の追加や修正などをスピーディに行わなければなりません。

そのような開発案件では、アジャイル開発の柔軟性がアドバンテージになるでしょう。

 

2-2.ウォーターフォール開発のメリット

続いてウォーターフォール開発のメリットです。
主に以下の5点が挙げられるでしょう。

・計画を立てやすく、進捗管理やコスト管理やしやすい
・幅広い開発案件に対応できる
・人材の確保がしやすい
・成果物のクオリティが担保されやすい
・手戻りを最小限にできる

 

2-2-1.計画を立てやすく、進捗管理やコスト管理がしやすい

これも前述したように、ウォーターフォール開発の利点は、計画の立てやすさと管理のしやすさです。

最初に要件定義と仕様を詳細に定めるため、開発計画を綿密に立てた上で開発に入ることができます。

そして、その計画通りに工程をひとつずつ消化していき、変更も少ないので、スケジュールや予算の管理がしやすいのです。

 

2-2-2.幅広い開発案件に対応できる

ウオーターフォール開発は、一般的な開発工程を上流から下流へ順番に進めていくシンプルな開発手法です。

そのため大規模な開発案件から小規模なものまで、業務システムからスマートフォンアプリまで、どんな開発でもこの方法で行うことができます

一方のアジャイル開発は、イテレーションの細かさやプロジェクト管理の難しさなどから、大型の業務システム案件などには向かないとされるのに対して、ウオーターフォール開発の汎用性の高さは大きな利点だと言えるでしょう。

 

2-2-3.人材の確保がしやすい

また、ウオーターフォール開発は、他の開発手法に比べて比較的に人材の確保がしやすいとも言われます。

理由はまず、要件定義がくわしく定まっているためです。

開発スケジュールや開発工数、必要なエンジニアの人数や予算などがあらかじめ予測できるので、それに従って必要な人材を集めればよく、のちに人手不足に陥る危険性が少ないのです。

また、ウォーターフォール開発自体が日本でもっとも多く行われている開発手法であるため、エンジニアの中でもこの手法での経験や実績がある者が多いため、人を集めやすいとも言えます。

 

2-2-4.成果物のクオリティが担保されやすい

原則的にウォーターフォール開発では、ひとつの工程を仕様書に従って完了したことを確認しなければ、次の工程には進みません

ということは、各工程で成果物の進捗を逐一チェックするわけです。

もし不具合があれば、その都度発見・修正され、100%要件や仕様通りのものの完成を目指します。

そのため、最終的に納品される成果物の品質が保たれやすいのもメリットです。

2-2-5.手戻りを最小限にできる

アジャイル開発は、前述したとおりにそもそも要件定義を最初に固めず、開発しながら仕様変更や機能の追加を行う方法ですので、開発途中に手戻り=前の段階に戻っての修正が多くなります。

反対に、ウォーターフォール開発は最初に要%

代表的なアジャイル開発手法5種類|特徴や選び方をわかりやすく解説

アジャイル開発とは、開発プロセス全体を通して発注者と開発者がコミュニケーションを活発にとることを前提とし、開発着手後も仕様変化への柔軟な対応ができる開発スタイルを指します。

その手法は複数あり、代表的なものは以下の5種類です。

アジャイル開発の5種類の手法

このように一言でアジャイル開発と言っても、その手法はさまざまで、手法によって進め方や向いている状況も異なります。最適な手法を選ぶことで、より一層、開発プロジェクトを進めやすくなるでしょう。

例えば、100名を超えるような大規模開発には、ユーザー機能駆動開発が適しています。

また、アジャイル開発では、スクラムとエクストリームプログラミングなど複数の手法を組み合わせることで、開発するソフトウェアなどの完成度を上げることもできます。

アジャイル開発を成功させるには、各手法の特徴や進め方を把握し、プロジェクトの内容に合わせて選んだりカスタマイズしたりすることが大切です。

そこで今回は、アジャイル開発を使いこなしプロジェクトを成功させるうえで押さえるべき、アジャイル開発の種類に関するポイントをご紹介します。

【当記事のポイント】

・代表的なアジャイル開発手法5種類
・アジャイル開発の手法は複数種類を組み合わせるのもおすすめ
・最適なアジャイル開発の種類を選ぶためのポイント
・【種類別】アジャイル開発を成功させるポイント

以上のような内容を把握しておけば、アジャイル開発の主な種類について概要を把握し、プロジェクトに取り入れられそうかどうかを正しく検討することができるようになるでしょう。

アジャイル開発はうまく使いこなせば、仕様変更やエラー修正に柔軟に対応しながらニーズどおりの開発ができる反面、よく理解しないまま採用すると、失敗のリスクが高い手法です。だからこそ、開発の目標や体制に合わせて、有効活用できるようになりましょう。

 

1.代表的なアジャイル開発手法5種類

代表的なアジャイル開発手法5種類

冒頭でもお伝えしたとおり、代表的なアジャイル開発手法は以下の5種類です。

代表的なアジャイル開発手法
種類 特徴
スクラム ・プロジェクトの進捗・スケジュール管理を重視
・スプリントの反復、デイリースクラムで毎日短時間のミーティングをすることなどが特徴
エクストリーム
プログラミング(XP)
・仕様変更などへの対応力を高めることを重視
・計画にこだわらず開発者の経験を重視して開発を進めるのが特徴
ユーザー機能駆動開発
(FDD)
・大規模開発にも対応しやすい
・機能ごとにチームを分けるのが特徴
リーンソフトウェア開発(LSD) ・リーン生産方式をソフトウェア開発に流用
・ムダを省くことなど7つの原則が特徴
適応型ソフトウェア開発(ASD) ・継続的に変更が発生する場合も適応可能
・短い期間のサイクルを繰り返すことが特徴

ここでは、各手法の概要や特徴などを解説しますので、アジャイル開発の活用を検討する際の参考にしてください。

 

1-1.スクラム

スクラムとは、「スプリント」と呼ばれる1〜4週間の開発工程を複数回繰り返す、アジャイル開発の手法の1つのことです。スプリントごとに少人数でチームを組んで、1つ以上の成果物(インクリメント)を仕上げる必要があります。

スプリントとは、以下のとおりスプリントプランニング・デイリースクラム・スプリントレビュー・ふりかえりを含むプロセスのことです。

アジャイル開発スクラムのスプリント手法

上記のとおり、各スプリントには4つのプロセスがあります。

スプリントの基本的な流れ
スプリントプランニング ・スプリントの開始時に行うミーティング
・スプリントの開発内容や進め方を決める
デイリースクラム ・スプリント期間中に毎日行う15分程度のミーティング
・進捗や今日の目標・開発を進めるうえでの課題などを共有
スプリントレビュー ・スプリントの最後に行う会議の1つ
・今回のスプリントの成果や今後の流れを共有
ふりかえり ・スプリントの最後に行う会議
・今回のスプリントに対する評価や反省点を確認し、次回以降に向けた改善点を検討

このようにスクラムは、

・1つのスプリントが短期間で計画が立てやすい
・スプリント中は毎日デイリースクラムと呼ばれる短時間のミーティングで進捗を共有する

といった特徴があります。プロジェクトのスケジュール・進捗を円滑にすることに重点を置いた手法であることが他の手法との違いです

なお、スクラムはプロジェクトの管理をしやすくすることに特化した手法で、ソフトウェア開発のプロセス全体を網羅したノウハウではありません。

シンプルな構成のスクラムは他の手法と組み合わせやすく、さまざまな開発に応用しやすいので、今回ご紹介する5種類の中でもっとも活用されています。

最後に、スクラムのメリット・デメリットを確認しておきましょう。

スクラムのメリット・デメリット
メリット ・シンプルな手法なので汎用性が高く、さまざまな開発で活用できる
・チームで開発するので、タスクを分担して効率的に作業を進められる
デメリット ・チームワークやコミュニケーションがうまく取れないと、開発の遅れや質の低下につながる

 

1-2.エクストリームプログラミング(XP)

エクストリームプログラミング(Extreme Programing)とは、最初にプロジェクト全体の細かな計画は立てず短期間の開発サイクルを繰り返す中で計画を決めていくことで仕様変更が発生した際のコストを抑え、状況変化への対応力を高めるための手法のことです。

「Extreme Programing」を省略し、「XP」と呼ばれることもあります。

2名のプログラマーが共同してプログラミングを行うことで作業を効率化するとともに、高品質化を実現するペアプログラミングなどが特徴です。

エクストリームプログラミングでは、以下のような流れで計画を立て、作業結果のフィードバックを行います。

エクストリームプログラミングの計画・フィードバックの流れ

状況の変化を前提とするエクストリームプログラミングでは、最初にプロジェクト全体の細かな計画は立てず、上記のようなサイクルを短期間に複数回反復させることで、発注者のニーズを最大限反映しながら開発を進めます

イテレーションとは、ソフトウェアを設計して開発しテストするまでのサイクルを指し、エクストリームプログラミングでは、このイテレーションを何度も反復することが特徴です。

サイクルの反復のなかで開発の方向性を固めていくために、他のプログラマーや顧客との密接なコミュニケーション(オンサイト顧客)を重視するエクストリームプログラミングには、以下のようなメリット・デメリットがあります。

エクストリームプログラミングのメリット・デメリット
メリット ・仕様変更が生じても迅速に対応できる
・顧客のニーズを細やかに反映させやすく顧客満足度の向上につながる
デメリット ・ペアプログラミングのような共同作業やコミュニケーションの重視が特徴なので、作業内容が単純な場合や相性が悪い場合は作業効率が下がる

 

1-3.ユーザー機能駆動開発(FDD)

ユーザー機能駆動開発(Feature Driven Development)とは、ユーザーから見た機能の単位で開発チームを分けることで、大規模なプロジェクトにも対応できる手法のことです。

英語名を省略してFDDと呼ばれることもあります。なお、英語名称の「Feature(フィーチャー)」とは、ユーザーから見た機能の単位のことで、スケールが小さい傾向にあるのが特徴です。

ユーザー機能駆動開発の流れは、以下のとおり、まず全体モデルを作成し開発の全体像を明らかにしたうえで、機能(フィーチャー)ごとに切り分けて計画や設計・構築を行っていきます。

フィーチャー単位でのサイクルを繰り返すことで、プロジェクト全体を完成させていきます。

ユーザー機能駆動開発のフィーチャーのフロー

開発単位を小さくするユーザー機能駆動開発では、

・反復するサイクルが短く、1~2日程度
・チーム内外でのコミュニケーションはミーティングではなく、ドキュメントのやり取りが中心

といった点が特徴です。

ユーザー機能駆動開発のメリット・デメリット
メリット ・機能重視で開発を進めるので、高品質なシステムを作れる
・大規模な案件でも対応できる
デメリット ・ユーザーの優先する機能を重視するので、ユーザーニーズを把握するのに時間がかかるとスケジュールが遅延しやすい

 

1-4.リーンソフトウェア開発(LSD)

リーンソフトウェア(Lean Software Development)開発とは、トヨタ自動車の生産方式などに代表されるリーン生産方式をソフトウェア開発に応用したもので、以下の7つの原則に該当する手法のことです。

リーンソフトウェア開発の7つの原則

このように、無駄を省いて品質の高い開発を行うことを重視しているのが特徴であるリーンソフトウェア開発には、決まったプロセスやノウハウはありません。上記の原則に当てはまる開発プロセスすべてが該当します。

メリット・デメリットは次のとおりです。

リーンソフトウェア開発のメリット・デメリット
メリット ・開発にかかるムダな時間や不要な作業をなくすことができる
・フィードバックを重視するので顧客の要望どおりの開発ができる
デメリット ・多くのフィードバックを得るために開発・テストの工程を繰り返すため、コストが高くなる場合がある

 

1-5.適応型ソフトウェア開発(ASD)

適応型ソフトウェア開発(Adaptive Software Development)とは、継続的な仕様変化に適応することを重視した手法で、複雑なシステムや状況変化の激しい場合に適した開発手法のことを指します。

以下のとおり、思索(スペキュレーション)・協調(コラボレ―ション)・学習(ラーニング)のサイクルを繰り返すことが特徴です。

思索・協調・学習のサイクル

各段階では、次のような作業を行います。

適応型ソフトウェア開発の基本的な流れ
思索
(スペキュレーション)
・どのような機能をどういう手順で作るか決める
・未確定の部分はサイクルの反復の中で決めていく
・具体的には、発注者の要求事項の確認・チームや計画の作成など
協調
(コラボレ―ション)
・実際に開発作業を行う
・開発チーム内で密接にコミュニケーションを取りながら進める
学習
(ラーニング)
・成果物について品質の評価・レビューを行う
・ユーザー視点・技術的観点などさまざまな視点からレビューをもらい、今後どう改善していくべきか学習する

メリット・デメリットは、以下のとおりです。

適応型ソフトウェア開発のメリット・デメリット
メリット ・継続して状況が変化する場合も臨機応変に対応することができる
・レビューを踏まえて開発チームが成長していくので、質の高いソフトウェア開発が期待できる
デメリット ・当初未確定の部分はサイクルの反復の中で決めるので、開発が進むにつれて方向性がずれやすい

 

2.アジャイル開発の手法は複数種類を組み合わせるのもおすすめ

アジャイル開発の手法は複数種類を組み合わせるのもおすすめ

これまでにご紹介したとおり、アジャイル開発の各手法は、基本の流れだけを示すものや、ノウハウ・原則だけのものなど、さまざまです。

そのため、1つの手法で完結させるのではなく、複数の手法のよいところを組み合わせることで、開発するシステムの完成度を上げることができます

1つの手法ではカバーできないニーズや開発上の課題を、他の手法のノウハウを取り入れることで補い、各開発の内容や環境に最適なプロセスを作り上げられるからです。

手法の組み合わせ方に特に決まりはありませんが、スクラムとエクストリームプログラミング(XP)は相性がよいので、参考までにご紹介します。

スクラムとエクストリームプログラミング(XP)の組み合わせ例
スクラムのスプリントのフレームワークを採用したうえで、
・プログラミングはペアプログラミングで行い、知識の共有と新たな開発のアイディア創出を狙う
・プロダクトオーナーをエクストリームプログラミングのオンサイト顧客と同様に扱い、開発チームとより密接にコミュニケーションをとる機会を増やす

上記以外にも、「開発をどのように進めたいのか」その目的に応じて、他の手法を取り入れていくとよいでしょう。

例えば、作業工程に無駄があると感じているなら、リーンソフトウェア開発の原則を取りれると効果的です。

このように、アジャイル開発の各手法は1つで完結するものではなく、ベースとなる手法を決めたうえで別の手法のよいところを組み合わせることで、さらなる有効活用につながることを覚えておきましょう。

 

3.最適なアジャイル開発の種類を選ぶためのポイント

最適なアジャイル開発の種類を選ぶためのポイント

アジャイル開発の手法についてどの種類を選ぶか検討する際は、以下のとおり、メンバーの数や質を把握しておくと、最適なものを選びやすくなります。

最適なアジャイル開発の種類を選ぶためのポイント
1. 開発に携わるメンバーの規模に合わせて選ぶ
2. 集められるチームのレベル感に合わせて選ぶ

なぜ上記のポイントが大切なのか、その理由をご紹介していきます。

 

3-1.開発に携わるメンバーの規模に合わせて選ぶ

アジャイル開発の手法を選ぶ際は、開発に携わるメンバーの規模に合わせて決めることが、開発を成功させるために大切です。

例えば、スクラムは小規模なら最適だが大規模には向かない、逆にユーザー機能駆動開発は大規模に対応しやすいなど、手法によって運用するのに最適な開発規模が違う場合があるからです。

最適な規模感の目安
・スクラムは、チームが5~6名程度の比較的小さい規模の開発に向いている
・エクストリームプログラミングは、20名前後の中規模開発にも向く
・100名を超えるような大規模開発は、ユーザー機能駆動開発がおすすめ

 

3-2.集められるチームのレベル感に合わせて選ぶ

開発に関係するメンバーのレベル感、例えばアジャイル開発の経験の有無や主体的なコミュニケーションが得意かどうかなども、手法を選ぶ際の基準の1つです。

理由として、アジャイル開発の種類や開発環境に応じて、開発の難易度が変わってくることが挙げられます。

例えば、アジャイル開発未経験者しか集められず、開発の利害関係人が多い場合に、スクラムを選んでも、調整に難航し質の高いソフトウェア開発は見込めないでしょう。

開発を進めるうえで求められるメンバーのレベルと、実際に集められるメンバーのレベルを対応させることを意識して、手法を選ぶことが大切です。

 

4.【種類別】アジャイル開発を成功させるポイント

【種類別】アジャイル開発を成功させるポイント

それぞれの手法で、スムーズに開発を進めたり成果を上げたりするには、押さえておくべきポイントがあります。

ここでは、特に気を付けたいワンポイントを種類別にご紹介しますので、参考にしてください。

【種類別】アジャイル開発の成功ポイント
スクラム プロジェクトの開発チームとそのリーダーが主体的に役割を果たすことが成功ポイントなので、あらかじめ各自の役割分担を正しく把握しておく
エクストリームプログラミング 臨機応変に仕様変更に対応することが前提なので、経験豊富な開発メンバーを揃えておくと開発難易度が下がる
ユーザー機能駆動開発 ユーザーの機能に対する優先順位が決まらないと開発が進まないので、ユーザーがプロジェクトに求めるものを早期に明確にする
リーンソフトウェア開発 開発・テストの工程を多く繰り返すことが前提なので、コストを抑えるためにも、複雑な開発では本当にこの手法を選ぶべきかどうかを慎重に検討する
適応型ソフトウェア開発 学習(ラーニング)段階のレビューが充実していると開発の質の向上や効率化につながるので、レビューをしっかり出せる環境を整える

このように、各手法の特徴に応じて成功ポイントは異なります。アジャイル開発を円滑に進めるためにも、種類ごとの概要などを把握したうえで活用することが大切です。

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5.まとめ

今回は、アジャイル開発の種類について概要やメリット・デメリット、選び方のポイントなどをご紹介しました。最後に、要点を再確認しておきましょう。

代表的なアジャイル開発手法5種類は、以下のとおりです。

代表的なアジャイル開発手法5種類
スクラム ・プロジェクトの進捗・スケジュール管理を重視
・スプリントの反復、デイリースクラムで毎日短時間のミーティングをすることなどが特徴
エクストリーム
プログラミング
・仕様変更などへの対応力を高めることを重視
・計画にこだわらず開発者の経験を重視して開発を進めるのが特徴
ユーザー機能駆動開発 ・大規模開発にも対応しやすい
・機能ごとにチームを分けるのが特徴
リーンソフトウェア開発 ・リーン生産方式をソフトウェア開発に流用
・ムダを省くことなど7つの原則が特徴
適応型ソフトウェア開発 ・継続的に変更が発生する場合も適応可能
・短い期間のサイクルを繰り返すことが特徴

上記のようなアジャイル開発の手法は、複数種類を組み合わせてカスタマイズすることで、よりニーズに合ったソフトウェア開発ができるようになります。

最適なアジャイル開発の種類を選ぶためのポイントは、

・開発に携わるメンバーの規模に合わせる
・集められるチームのレベル感に合わせる

の2つです。

また、アジャイル開発を成功させるには、種類ごとにポイントを押さえた人選や進め方をすることが重要といえるでしょう。

今回ご紹介したポイントを参考にして、適切なアジャイル開発の種類を選び、開発の目標や体制に合わせた有効活用に挑戦してみてはいかがでしょうか。

アジャイル開発のプロセスとは?基本的な流れや役割分担について解説

アジャイル開発は、従来型の開発手法と異なり、1つのシステム開発を機能ごとなどの複数のフェーズに分けて順番に開発していくプロセスが特徴です。

アジャイル開発と従来型開発のプロセス

従来型の開発プロセスでは、開発着手前に開発全体の仕様を確定させ開発開始後の変更を前提としませんが、アジャイル開発のプロセスには、次のような特徴があります

アジャイル開発のプロセスの特徴
開発途中の仕様変更を前提としたプロセス ・細かなニーズまで柔軟に汲み取ることができる
・ビジネスの状況変化に合わせて臨機応変に開発内容を変えることが可能
フェーズごとにPDCAサイクルを回すプロセス ・エラーを早期に発見して修正することができる
・少ない負担でソフトウェアの品質を高めることができる

このように、顧客の要望に沿った開発を実現しやすいプロセスが特徴のアジャイル開発ですが、プロセスごとの注意点やプロセスにおける受注者・開発者の役割分担を把握して採用しないと、有効活用することはできません

アジャイル開発のプロセスを表面的に確認するだけでなく、具体的にどういうところが従来型の開発手法と異なるのか把握して、アジャイル開発を採用するかどうかを検討することが欠かせません。

そこで、この記事では、アジャイル開発を正しく使いこなすうえで押さえるべき以下のポイントを解説します。

【当記事のポイント】

・アジャイル開発のプロセスの特徴
・アジャイル開発のプロセスの基本
・アジャイル開発のプロセスにおける役割分担
・アジャイル開発のプロセスで作るもの
・アジャイル開発のプロセスをスムーズに進めるための注意点

上記の内容を把握することで、アジャイル開発とはどのように進めるものか、イメージができるようになるでしょう。また、それを踏まえて、適切な開発方法を検討することができるようになります。

アジャイル開発は、従来型の開発手法の課題を踏まえて、開発プロジェクトを柔軟に進めることができるようにした手法です。開発を思い通りに進めるためにも、目的に合わせた最適な開発手法を選んで、使いこなせるようになりましょう。

 

1.アジャイル開発はサイクルを反復するプロセスが特徴

アジャイル開発はサイクルを反復するプロセスが特徴

アジャイル開発は、基本的に「要件定義・設計〜開発・テスト〜リリース」のサイクルをフィードバックしながら反復するという流れになっています。

アジャイル開発の基本の流れ

上記のように、アジャイル開発では、開発全体を機能ごとといった単位で複数に分け、機能ごとに要件定義からリリースまでの工程を終わらせていきます。前の工程でのフィードバック結果を、次の工程での要件定義などに活かすことができるのが特徴です。

このように、アジャイル開発のプロセスには、

・各機能の開発が独立して進められる
・最初から全体の仕様を確定してしまわない

という特徴があるので、開発開始後の仕様変更にも柔軟に対応できます。

従来型の開発方法(ウォーターフォール開発)は、以下のとおり、開発全体についてまとめて工程を進める1本道のプロセスです。

そのため、開発全体の進捗管理は簡単ですが、開発開始後の仕様の変更・追加をしようとすると手戻りが多く、費用や時間の負担が大きくなってしまうという特徴があります。

従来型の開発方法の基本の流れ

このように、アジャイル開発のプロセスは従来型の開発方法と異なり、何度も工程を反復することが特徴です。

 

2.アジャイル開発のプロセスの基本の流れ

アジャイル開発のプロセスの基本の流れ

アジャイル開発は何度も工程を反復することが特徴であることはわかりましたが、具体的にはどのように進めていけばよいのでしょうか。

ここでは、複数種類あるアジャイル開発のなかでも、汎用性が高くよく使われる「スクラム」という手法を例に挙げて、より詳しく進め方をご紹介します。

アジャイル開発(スクラム)では、「スプリント」と呼ばれる短期間の開発工程を複数回繰り返して、開発を進めていく手法です。

アジャイル開発スクラムのスプリント手法

上記のとおり、スプリントには、

①スプリントプランニング
②デイリースクラム
③スプリントレビュー
④ふりかえり

という4つの特徴的なプロセスが含まれます。

なお、①〜④のプロセスを複数回繰り返すことで、システム全体を構築していきます。デイリースクラムは1回のスプリントで複数回、実施します。

各プロセスの概要やポイントなどを、以下で詳しく見ていきましょう。

 

2-1.スプリントとは?

スプリントとは、計画に基づき、設計・開発・テスト・リリースをする作業単位のことです。スプリント1つあたりの期間は、1〜4週間の間で任意の期間を設定します。

スプリントに含まれる代表的な4つのプロセス(イベント)は、以下のとおりです。

スプリントのプロセス
①スプリントプランニング ・スプリントの開始時に行うミーティング
・スプリントの開発内容や進め方を決める
②デイリースクラム ・スプリント期間中に毎日行う15分程度のミーティング
・進捗や今日の目標・開発を進めるうえでの課題などを共有
③スプリントレビュー ・スプリントの最後に行う会議の1つ
・今回のスプリントの成果や今後の流れを共有
④ふりかえり ・スプリントの最後に行う会議
・今回のスプリントに対する評価や反省点を確認し、次回以降に向けた改善点を検討

このようにスプリントは、反復する開発工程の期間を短く区切り、随時ミーティングを設けることで、確実に目標達成をできるようにするための仕組みです。

スプリントを正しく設定していくことが、スケジュール管理がしづらいアジャイル開発をスピーディーかつスムーズに進めることにつながります

 

2-2.①スプリントプランニング

スプリントプランニングとは、スプリントの開始時にスプリント(開発工程)の計画を立てるために行うミーティングのことです。

開発チームや各リーダー(プロダクトオーナー・スクラムマスター)が集まり、今回のスプリントについて

・開発に携わるメンバー
・今回の開発内容
・スプリントの目標や進め方
・開発目標から具体的なタスクの洗い出し
・各メンバーの作業分担

などを決定します。

スプリントプランニングは、開発目標や作業分担を共有し認識誤りが起こるのを防ぐことで、手戻りを防ぐために必須の過程です。

1〜4週間と限られたスプリントで確実に目標を達成するため、欠かせないプロセスと言えるでしょう。

スプリントプランニングのポイント
実施時期 各スプリントの開始時
参加者 開発チーム・プロダクトオーナー・スクラムマスター
決めること 今回のスプリントの開発内容・進め方・作業分担など

 

2-3.②デイリースクラム

デイリースクラムとは、スプリントの開発作業中に毎日、進捗と当日の目標などを報告しあう短時間のミーティングのことです。

スプリントを円滑に進めるために毎日行うデイリースクラムには、効率的に情報共有するため、以下のような特徴があります。

【デイリースクラムの特徴】

・毎日決まった時間に決まった場所で行う
・立ったまま行う
・時間は15分程度

デイリースクラムで報告しあうのは、以下の内容です。

・昨日までの進捗
・今日の目標
・作業を進めるにあたっての課題

デイリースクラムは、課題を早期発見・早期解決し、スケジュールどおりに作業を進めるうえで重要なプロセスと言えます。

期間が限られたスプリントの目標を確実に達成するためにも必ず毎日行いましょう。

デイリースクラムのポイント
実施時期 スプリントの開発作業中に毎日
参加者 開発チーム・スクラムマスター
報告すること 昨日までの作業の進捗と今日の目標など

 

2-4.③スプリントレビュー

スプリントレビューとは、各スプリントの終了時に行う、今回の開発成果を確認する会議のことです。

開発チームや各リーダー(プロダクトオーナー・スクラムマスター)に加え、顧客などの利害関係者(ステークホルダー)にも必ず参加してもらう必要があります。

スプリントレビューでは、

・実際に動かしてみて、開発の利害関係者からフィードバックをもらう
・スプリントの結果を踏まえた今後の課題などを、プロダクトバックログ(タスクの優先順位表のようなもの)に反映する

などといった作業を行います。

スプリントレビューは、顧客などからフィードバックをもらうことで

・開発の方向性に認識のずれがないか確認する
・次回のスプリントに反映し開発の精度を上げる

といった目的のために必要です。

スプリントレビューのポイント
実施時期 各スプリントの終了時
参加者 顧客などの利害関係者・開発チーム・プロダクトオーナー・スクラムマスター
実施すべきこと ・利害関係者のフィードバックを確認する
・プロダクトバックログを更新する

 

2-5.④ふりかえり

ふりかえり(スプリントレトロスペクティブ)は、今回のスプリントの作業プロセスに対する評価や反省点を確認し、次回以降に向けた改善点を検討するために、スプリントの最後に行うミーティングです。

スプリントレビューではスプリントの成果を、ふりかえりではスプリントのプロセスを確認します。

ふりかえりで確認する主な内容は以下のとおりです。

・今回のスプリントの作業の進め方や内容で、よかった点や課題
・次回以降のスプリントで改善すべき点

ふりかえりは、PDCAサイクルを回して、次回以降のスプリントの効率や精度を向上させるために行います。工程を反復するアジャイル開発では、特に有効なミーティングと言えるでしょう。

ふりかえりのポイント
実施時期 各スプリントの終了時
参加者 開発チーム・プロダクトオーナー・スクラムマスター
実施すべきこと ・スプリントの作業の進め方について評価すべき点・課題を確認
・次回以降の改善点を検討

 

3.アジャイル開発のプロセスにおける役割分担

アジャイル開発のプロセスにおける役割分担

アジャイル開発の流れがわかったところで、次は、アジャイル開発のプロセスに関わるメンバーの役割分担をご紹介します。

アジャイル開発(スクラム)の主な役割分担
プロダクトオーナー 開発するプロダクト(アプリケーションやシステム)の方向性を決める
スクラムマスター 開発作業がスムーズに進むようにスケジュール管理やチーム内の調整をする
開発チーム 開発作業を行う

アジャイル開発のプロセスについて正しく把握するためにも、代表的な開発に関わるメンバーの役割(スクラムチームに属する役割)を具体的に把握しておきましょう。

 

3-1.プロダクトオーナー

プロダクトオーナーとは、どのようなプロダクトを作るのか、開発全体の方向性を決める役割を担うメンバーです。

何を開発するか決めるプロダクトオーナーは、発注者(ユーザー)側から選びます。

プロダクトオーナーが担当する具体的な業務は、以下のとおりです。

【プロダクトオーナーの担当業務例】

・開発するシステムの仕様や必要な機能を決める
・開発する機能の優先順位を決める
・プロダクトバックログを管理する
・開発チームと社内・社外の利害関係者との調整を行う

開発の方向性を管理するプロダクトオーナーは、プロジェクト立上げ時からスプリントまで、すべてのプロセスに関わります。

プロダクトオーナーのポイント
役割 何を開発するか決める
立場 ユーザー側から選ぶ
担当プロセス プロジェクト立上げ・プロダクトバックログ作成・スプリントのほぼすべての過程に主体的に関わる

なお、プロダクトバックログについては、「4-1.プロダクトバックログ」で詳しく解説します。

 

3-2.スクラムマスター

スクラムマスターとは、開発作業がスムーズに進行するように、開発チームのサポートを行う役割のことです。開発者側のメンバーから選びます。

チームを統率するのではなく、メンバーが仕事をしやすくなるように、相談に乗ったり課題解決を手助けするのが特徴です。なお、スクラムマスター自身は開発業務を行いません。

スクラムマスターが担当する具体的な業務は、以下のとおりです。

【スクラムマスターの担当業務例】

・開発チームが円滑に動けるよう、アドバイスをする
・作業進行の障害が無いか確認し、調整を行う

開発チームの支援を担当するスクラムマスターは、プロダクトバックログ作成・スプリントのプロセスに補佐的な立ち位置で関わることになります。

スクラムマスターのポイント
役割 開発チームのサポートを行う
立場 開発側のメンバーから選ぶ
担当プロセス プロダクトバックログ作成・スプリントに補佐的に関わる

 

3-3.開発チーム

開発チームとは、実際の開発作業を担当する役割のことです。複数名のメンバーでチームを組んで作業を行います。

プロダクトオーナーやスクラムマスターと協調はしますが、開発は自律的に進め、開発のやり方も自分たちで決めるのが特徴です。

開発チームが担当する具体的な業務には、以下のようなものがあります。

【開発チームの担当業務例】

・開発チーム内の計画や進め方を決め、管理する
・設計、開発、テストなどを行う

プロダクトバックログ作成やスプリントの中のタスク実行、スプリントレビュー・ふりかえりに、主体的に関わる役割です。

開発チームのポイント
役割 実際の開発作業を担当する
立場 ユーザー側・開発側の双方から選ぶ
担当プロセス プロダクトバックログ作成・スプリントに主体的に関わる

 

4.アジャイル開発のプロセスで作るもの

アジャイル開発のプロセスで作るもの

最後に、アジャイル開発のプロセスを進める過程で作成すべきログ等について解説します。

アジャイル開発のプロセスで作るもの(スクラム)
プロダクトバックログ ユーザーのニーズを満たすために必要な機能・仕様を優先順位付けしたリスト
スプリントバックログ プロダクトバックログの内容を、開発チームが実際に作業するタスクに置き換えたリスト
インクリメント 1回のスプリントで作成する成果物

それぞれ具体的にどのようなものかを、以下で確認してください。

 

4-1.プロダクトバックログ

プロダクトバックログとは、顧客(ユーザー)の要望に優先順位を付けて整理したリストを指します。発注者にもわかるような表現・体裁でリスト化することが特徴です。

プロジェクト開始時に作成し、必要に応じて開発着手後も更新されます。管理を担当するのはプロダクトオーナーです。

記載内容には、次のようなものがあります。

・プロジェクトの最終目標(プロダクトゴール)
・プロダクトゴールを達成するために必要な仕様と優先順位(プロダクトバックログアイテム)

プロダクトバックログを顧客(ユーザー)と開発関係者が具体的に共有することで、作るべき仕様などに対する認識のずれをなくせるので、質の高い開発につながります。

プロダクトバックログとは
概要 発注者(ユーザー)の要望に優先順位を付けて整理したリスト
作成時期 プロジェクト開始時(随時、必要に応じて更新する)
作成主体 プロダクトオーナー

 

4-2.スプリントバックログ

スプリントバックログとは、プロダクトバックログを、スプリントで実行すべきタスクに分解したリストです。

スプリントバックログの優先順位の高い順に、タスクをリスト化します。各スプリント開始時に、プロダクトオーナーと開発チームが中心になって作成します。

スプリントバックログに含まれる内容は、

・ユーザーのニーズを満たすために追加すべき機能
・機能追加のために処理すべきタスク
・作業時間の見積もり

などです。

スプリントバックログとは
概要 プロダクトバックログをスプリントで実行すべきタスクに分解したリスト
作成時期 各スプリントの開始時
作成主体 プロダクトオーナーと開発チーム

 

4-3.インクリメント

インクリメントとは、スプリント1回あたりの成果物を指します。

プロダクトバックログに載っていた顧客のニーズ(仕様)が部分的に形になったものが、インクリメントと言えるでしょう。複数のインクリメントの組み合わせが、プロダクトです。

次のようなものが、インクリメントに該当します。

・ソフトウェア
・新しく追加した機能など

インクリメントと認められるためには、完成していて動作することが必要です。

「完成」と言えるためには、単に作成すればよいのか・テストが必要かなど、基準が人によって異なるため、アジャイル開発の開始時に完成の定義を決めておきましょう。

インクリメントとは
概要 スプリント1回あたりの成果物
作成時期 各スプリント終了時
作成主体 プロダクトオーナーと開発チーム

 

5.アジャイル開発のプロセスをスムーズに進めるための注意点

アジャイル開発のプロセスをスムーズに進めるための注意点

アジャイル開発のプロセスをスムーズに進めるためには、以下の3つに注意が必要です。

アジャイル開発のプロセスをスムーズに進めるための注意点
1. 開発の目的・ビジョンを明確にする
2. アジャイル開発の特徴・役割を理解する
3. コミュニケーションを活性化させやすい体制にする

それぞれ、どのようなところに注意が必要なのか、以下で解説します。

 

5-1.開発の目的・ビジョンを明確にする

アジャイル開発を円滑に進めるためには、開発の目的や方向性などを明確にし、チーム全員で共有しておく必要があります。

優先順位の高い機能から段階的に開発を進め、スプリントごとにPDCAサイクルを回すアジャイル開発では、開発全体の最終目的が不明確になりやすいからです。

例えば、テキストベースのチャット機能がメインのシステム開発をしていたつもりが、開発過程で出た「ビデオチャットの機能や録画機能・動画編集機能などもつけてはどうか」という意見をすべて取り入れ、チャット機能はあまり充実させないまま開発を進めてしまうと、本来目指していたものとは違うシステムが出来上がってしまうでしょう。

どういう方向性で開発を進めるのか、開発チームはもちろん、それ以外の顧客・利害関係者にも共有しておくことで、開発途中で方向性がずれる事態を避けることができるのです。

 

5-2.アジャイル開発の特徴・役割を理解する

アジャイル開発やスクラムの進め方、プロセスの中で各メンバーが果たすべき役割を、きちんと理解して進めるようにしましょう。

最初に全体の仕様を確定せず開発しながら精度を高めていくことが特徴のアジャイル開発では、各メンバーが役割を果たさないと、納期に大幅に遅れたり、顧客のニーズを満たすために必要な機能が漏れたりしてしまうためです。

例を挙げると、スケジュール管理を担当するリーダーが納期に間に合うように全体の工程を調整する必要性を把握していなかったら、最終納期までに開発を終えることは難しくなるでしょう。

メンバー全員が各プロセスで何をしないといけないのか具体的に把握し、主体的に開発に関わるようにすることが、アジャイル開発の成功には欠かせません。

 

5-3.コミュニケーションを活性化させやすい体制にする

発注者側と開発者双方が協力し、自由に意見交換ができる人選を行うことが、アジャイル開発をスムーズに進めるうえで欠かせません。

アジャイル開発で、迅速に発注者側の要望に沿った開発を進めるには、スプリントごとに発注者側の適切で具体的なフィードバックが必要です。

コミュニケーションが取りづらく率直な意見を出しにくい環境だと、的確なフィードバックが得られず、発注者側の希望に合わない開発結果になってしまうでしょう。

具体的には、実際にシステムを運用する担当者が「操作性があまりよくない」と感じていても、意見を出しづらい環境では上手く伝えられず、現場では使いづらいシステムが出来上がってしまう場合などが考えられます。

意見を出しやすい体制にするには、

・特に開発者は経験者を選任する
・できるだけメンバーを固定する

などに注意して、チームメンバーを選ぶのが効果的です。

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6.まとめ

今回は、アジャイル開発を正しく使いこなすうえで押さえるべきプロセスのポイントについて解説しました。最後に、要点をまとめてご紹介します。

アジャイル開発のプロセスの特徴は、「要件定義・設計〜開発・テスト〜リリース」のサイクルを、フィードバックしながら反復することです。

アジャイル開発の代表的な手法であるスクラムは、以下のようなプロセスで進めます。

アジャイル開発(スクラム)のプロセス
スプリントプランニング スプリントの開発内容や進め方を決める
デイリースクラム 進捗や今日の目標、開発を進めるうえでの課題などを共有
スプリントレビュー 今回のスプリントの成果や今後の流れを共有
ふりかえり 今回のスプリントに対する評価や反省点を確認し、次回以降に向けた改善点を検討

上記のプロセスを進めるうえで欠かせないのが、次の役割分担です。

アジャイル開発(スクラム)の主な役割分担
プロダクトオーナー 開発するアプリケーションやシステムの方向性を決める
スクラムマスター 開発作業がスムーズに進むようにスケジュール管理やチーム内の調整をする
開発チーム 開発作業を行う

アジャイル開発のプロセスでは、プロダクトバックログ・スプリントバックログといったリストや、インクリメントと呼ばれる成果物を作る必要があります。

アジャイル開発のプロセスをスムーズに進めるためには、以下の3つに注意しましょう。

・開発の目的・ビジョンを明確にする
・アジャイル開発の特徴・役割を理解する
・コミュニケーションを活性化させやすい体制にする

今回ご紹介したポイントを参考にアジャイル開発を使いこなして、これまで以上に満足度の高いソフトウェア開発に挑戦してみてください。

AI開発のプロセスとは?|具体的な流れ、開発成功のポイントも解説

「AI開発はどのようなプロセスで行われるのか?」
「AI開発を外注したいけれど、どんな流れで進むのか、発注側は何をすればいいのか知りたい」

これからAIを導入したいと考える企業の中には、そのような疑問や要望を持っている方も多いでしょう。

AI開発のプロセスは、一般的に以下の4つのフェーズに分けられています。

1)構想フェーズ
2)PoCフェーズ
3)実装フェーズ
4)運用フェーズ

基本的な流れは、一般的なシステム開発とさほど違いませんが、大きく異なるのは「目指すゴール」です。

一般的なシステムやソフトウエアは、計画段階ですでに完成形を想定し、100%それを実現することを目指して開発されます。

が、AIの場合はリリース=完成ではありません。

リリース後に、運用しながら精度を高めていく必要があります。

そのため、運用フェーズに入ってからも保守点検するだけではなく、データ解析やプログラミングに高いスキルを持つエンジニアが、モニタリングとチューニングを続ける必要があるのです。

そこでこの記事では、AI開発のプロセスについて、知っておくべきことを解説します。

◎AI開発のプロセス:4つのフェーズ
◎AI開発のプロセスと一般的なソフトウエア開発プロセスとの違い
◎総務省による「AI開発ガイドライン」

といった基本的な知識をくわしく説明したあとで、実際にAI開発を行う際に必要な以下のことも解説していきます。

◎AI開発を外注する際の具体的な流れ
◎AI開発を成功させるポイント

最後まで読めば、AI開発のプロセスについてひと通りのことがわかるでしょう。
この記事で、あなたの会社が業務に役立つAI開発をできるよう願っています。

 

1.AI開発のプロセスとは

AI開発のプロセスとは

そもそもAI開発は、どのようなプロセスで行われるでしょうか?
それは一般的に、以下の4段階のフェーズで進められます。

1)構想フェーズ
2)PoCフェーズ
3)実装フェーズ
4)運用フェーズ

まずはこの流れについて説明していきましょう。

 

1-1.AI開発のプロセスは大きく4つのフェーズにわかれる

AI開発のプロセスは、個々のケースによって細かく異なりますが、一般的には以下の4段階に分けて考えられます。

AI開発プロセスの4つのフェーズ

それぞれくわしく説明します。

 

1-1-1.構想フェーズ

まず最初に、どのようなAIを開発するのかを検討、計画する「構想フェーズ」です。
ここで行うのは以下のような工程です。

・課題の洗い出し
・ROIの検討
・AIの開発目的決定:AIでどの課題を解決するか
・プロジェクトチームの編成
・社内での開発承認

 

1-1-1-1.「解決すべき課題=開発の目的」が重要

まずいちばん最初にすべきことは、AI開発の目的を明確化することです。

自社の課題を洗い出し、その中でAIによって解決できるものがあるか、あればどのようにAIを利用するか、どの業務・事業を自動化できるかを検討し、「AI開発で解決する課題」を定めます。

ここで重要なのは、「AI導入を目的にしない」ということです。

AI導入が目的になってしまうと、開発途中で「AとBどちらを選ぶか」と迷ったときに判断を誤ります。

ここで定める「解決すべき課題=開発の目的」は、AI開発に関わるメンバー全員が共有して目指す「ゴール」ですので、この時点でわかりやすく明確化しておきましょう。

 

1-1-1-2.ROIは具体的に想定する

また、ROI(=Return On Investment、投資利益率、費用対効果)について検討することも重要です。

AI開発には数百万~数千万円という大きな費用がかかりますので、実行するのであればかならず投資する以上の利益が期待できる計画を立てなければなりません。

どの程度のROIをどれくらいの期間で達成するのか、具体的な数字を想定してください。

課題とROIが定まったら、次にAI開発のプロジェクトチームを組みます。
内製の場合は社内で誰をアサインするかを決めればよいですが、外部の開発会社に委託する場合は委託先を選定する工程も加わります。

プロジェクトチームが編成でき、開発体制を整えた上で、社内で開発の承認を得るところまでが「構想フェーズ」です。

 

1-1-2.PoCフェーズ

次に、「PoCフェーズ」に移ります。

「PoC=Proof of Concept」とは「概念実証」、つまり「考えたことを証明すること」を指しますが、開発においては「プロトタイプ(またはモックアップ)を作成して、構想している計画が実現可能かどうか実証実験すること」を意味します。

ここで行うことは以下です。

・学習させるデータの用意
・AIのプロトタイプの構築
・データの学習、検証
・開発計画やROIの検討
・開発スケジュールの作成

まず、プロトタイプに学習させるデータを用意します。
そして、プロトタイプを構築したら簡易的にこのデータを学習させ、運用してみた上で以下について検証していきます。

・データの質と量は十分か
・構想通りの効果が期待できるか
・オペレーションに問題はないか
・想定したROIは達成できそうか     など

これらが問題ないと判断できたら、実際のAIモデルの開発スケジュールを立てましょう。

ここまでで「PoCフェーズ」は終了です。

 

1-1-3.実装フェーズ

ここからは「実装フェーズ」に入り、PoCフェーズで構築したプロトタイプをもとに、実際のAI開発を進めていきます。

実装フェーズでは、通常のシステム開発と同様に、以下の流れで開発を行います。

1)要件定義
2)設計
3)コーディング
4)テスト+バグ修正

テストで問題がなくなれば、「実装フェーズ」からいよいよ「運用フェーズ」に移行します。

ただAI開発は、ウォーターフォール型で行われるケースも多いですが、リリース後にも学習とチューニングを繰り返して精度を上げていくというAIの性質を踏まえると、アジャイル開発が適しているとも言えます。

アジャイル型で進める場合は、「企画→設計→リリース→テスト」のサイクルを短い期間で繰り返しながら開発していくことになるでしょう。

ウォーターフォール型開発とアジャイル型開発のフェーズ

 

1-1-4.運用フェーズ

AI開発最後の段階は「運用フェーズ」です。
テスト結果に問題がないことが確認出来たら、いよいよAIを実際の業務で運用します。

この段階で行うのは以下です。

・保守、点検
・モニタリングと、実情に合わせたチューニング

前項でも触れましたが、AI開発はリリースしたら終わりではありません。
「構想フェーズ」で定めた目標やROIを達成するためには、つねにモニタリングを続ける必要があります。

KPIを定めた上で、その達成度を見ながら場合によっては学習データを追加したり調整するなどのチューニングを行い、AIの精度を高めていきます。

ただ、この段階で「データが多けば多いほど、AIの精度が上がるだろう」と考えるかもしれませんが、これは誤りです。

間違ったデータや不要なデータをAIが学習してしまうと、逆に精度が下がってしまうケースもあります。

そのようなことがないよう、KPIを見ながらつねにAIをチューニングし、課題解決と目標達成を目指しましょう。

 

1-2.AI開発のプロセスと一般的なソフトウエア開発プロセスとの違い

ここまで、AI開発のプロセス4段階がわかりましたが、ではこの流れは一般的なソフトウエア開発のプロセスとどう異なるのでしょうか?

リリースまでのプロセスは、どちらも基本的には同じような流れで進められます。
が、両者の大きな違いは、目指すゴールです。

一般的なソフトウエア開発では、計画段階ですでに完成形を想定し、それを100%の形で実現することを目標に開発を進めます。

一方AI開発では、リリース時点で完成形になっているとは限りません

もちろん、なるべく計画通りのAIモデルを構築するよう努めますが、基本的にはリリース後にデータの調整やチューニングを行うことで、誤差をゼロに近づけ精度を高めていくことが求められます。

そのため運用フェーズに入ってからも、一般的なソフトウエア開発のように保守点検だけ行えばいいわけではなく、データ解析やプログラミングに高いスキルを持つエンジニアが携わる必要があるのです。

 

1-3.総務省による「AI開発ガイドライン」

このようなプロセスで進められるAI開発ですが、AIの需要が高まる現状を踏まえて、政府も以下のようなAI開発のガイドラインを制定しました。

◎総務省「AI開発ガイドライン(2017年7月28日)
◎総務省「AI利活用ガイドライン(2019年8月9日)

このうち後者の「AI利活用ガイドライン」では、AIの開発だけでなく利用・活用まで含めた流れを以下のように図式化しています。

AI開発だけでなく利活用まで含めた流れ

出典:総務省「AI利活用ガイドライン

「PoCフェーズ」がなかったり、「デプロイ=AIソフト/システムを利用可能な状態にする」というプロセスが加わっているなど、1章で説明した4つのフェーズとは少し異なります。

このように、ケースバイケースで多少流れが異なるので、開発案件に合った進め方をしましょう。

ちなみにこのガイドラインの中で、政府は以下のような「AI開発原則」を定めています。

【AI開発原則】

<主にAIネットワーク化の健全な進展及びAIシステムの便益の増進に関する原則>
① 連携の原則:開発者は、AIシステムの相互接続性と相互運用性に留意する。

<主にAIシステムのリスクの抑制に関する原則>
② 透明性の原則:開発者は、AIシステムの入出力の検証可能性及び判断結果の説明可能性に留意する。
③ 制御可能性の原則:開発者は、AIシステムの制御可能性に留意する。
④ 安全の原則:開発者は、AIシステムがアクチュエータ等を通じて利用者及び第三者の生命・身体・財産に危害を及ぼすことがないよう配慮する。
⑤ セキュリティの原則:開発者は、AIシステムのセキュリティに留意する。
⑥ プライバシーの原則:開発者は、AIシステムにより利用者及び第三者のプライバシーが侵害されないよう配慮する。
⑦ 倫理の原則:開発者は、AIシステムの開発において、人間の尊厳と個人の自律を尊重する。

<主に利用者等の受容性の向上に関する原則>
⑧ 利用者支援の原則:開発者は、AIシステムが利用者を支援し、利用者に選択の機会を適切に提供することが可能となるよう配慮する。
⑨ アカウンタビリティの原則:開発者は、利用者を含むステークホルダに対しアカウンタビリティを果たすよう努める。

出典:総務省「AI開発ガイドライン

AI開発の各フェーズでは、これらの原則に留意しながら進めてください。

 

2.AI開発を外注する際の具体的な流れ

AI開発を外注する際の具体的な流れ

さて、前章ではAI開発の基本的なプロセスについて詳しく説明しました。
が、「自社で内製開発するのではなく、開発会社に委託して開発する」という企業も多いでしょう。

そこで、開発を外注する際に、発注したクライアント企業側が何をすればいいのか、流れに沿って見ていきましょう。

開発を外注したクライアント企業側のフェーズ

 

2-1.構想フェーズですべきこと

まず、開発会社にAI開発を依頼すると、ヒアリングがあります。
そこで、1-1-1-1.「解決すべき課題=開発の目的」が重要で説明したのと同様に、自社の課題を洗い出し、それをAIでどう解決するかという「AI開発の目的」を決定します。

この目的は、開発会社が開発を進めていく際の指針になりますので、納得できるよう、またお互いに認識の齟齬がないように話を詰めましょう。

目的が定まったら、AIの学習のためのデータを準備します。
顧客データなど、自社で保有しているデータを集めておいてください。

ただ、データは集めただけでそのまま学習データとして使えるわけではありません。
間違ったデータや関係ないデータが紛れ込んでいると、それを学習することでAIの精度が下がってしまう恐れがあります。

そのため、データを集めたら、内容を確認して修正や整理をしておく必要があるのです。

 

2-2.PoCフェーズ・実装フェーズですべきこと

開発会社が実際にAI作成に入ったら、準備したデータを提供します。
そして、プロトタイプやAIモデルができたときには、開発会社とともにその精度を検証します。

この段階は、開発の手法によってクライアントが何をするのかは多少異なるでしょう。

最初にどのようなAIにするかくわしく要件定義して進める「ウォーターフォール開発」の場合は、開発中はほぼ開発会社にお任せです。

一方、必要な基本機能をまず完成させて、後からひとつずつ機能を追加していく「アジャイル開発」の場合は、各機能ができるごとにテストや検証が必要になります。

この開発手法については、別記事「システム開発の4手法|ウォーターフォール型、アジャイル型など解説」で説明していますので、そちらも参照してみてください。

 

2-3.運用フェーズですべきこと

テストで問題がなければ、運用に入ります。
実際にAIを業務で利用する環境で正しく稼働するか確認し、これも問題なければ業務に導入することになります。

ただ、一般的なシステム開発であれば、リリース後は基本的には運用・保守をすればいいのですが、AIの場合はそれだけでは終わりません。

AIは、運用しながら学習を続け、精度を上げていく必要があるからです。

そのため、リリース後もクライアント側では当初に定めた「課題を解決できているか」「目的を達成できているか」のモニタリングを続けます。

もし、期待通りの成果が上がらない場合は、学習データを追加するなどチューニングが必要になります。
運用・保守の担当者の求めに応じて、追加学習用のデータを用意するなど対応してください。

 

3.AI開発を成功させるポイント

AI開発を成功させるポイント

AI開発の流れの全体像は掴めたかと思います。

ただ、このプロセス通りに進めたからと言って、AI開発がかならず成功するとは限りません。
意図したものとは異なるAIが仕上がり、多額の予算をかけても期待通りの成果が上がらない恐れもあります。

そこで、そのような失敗を回避して開発を成功させるためのポイントを、最後にお伝えしておきましょう。

 

3-1.目的を明確化する

まず第一に重要なのは、開発を計画した時点でAI開発の目的を明確化することです。
1-1-1.構想フェーズでも触れましたが、以下のようなことをよく検討する必要があります。

・解決したい課題は何か
・その課題はAI導入で解決できるか
・解決できるならどのようなAIにすべきか
・AIでどんな業務を効率化したいか
・ROIは期待できるか        など

これらを整理した上で、「AIで〇〇という課題を解決する」「〇〇業務を効率化する」など、明確な目的を掲げた上で開発に乗り出しましょう。

そうすれば、もし開発途中で何か迷ったり、予算やスケジュールに調整が必要になった場合でも、「目的を達成できるかどうか」を判断基準として、ブレずに開発を進めていくことができるでしょう。

 

3-2.更新しやすいアルゴリズムにする

AIは、運用していく中で学習とチューニングを繰り返し、徐々に精度を高めていくものです。
となると、リリース時のアルゴリズムも随時アップデートしなければなりません。

そこで、開発時からのちのちのアップデートを見込んで、更新しやすいアルゴリズムにしておくとよいでしょう。

開発から運用に移行すると、担当者も変わるケースも多くあります。
その際に、AIがブラックボックス化していると、更新に手間がかかってしまいます。

そのようなことがないように、誰にでもわかりやすいコード、アルゴリズムを組むようにしてください。

 

3-3.運用しやすいプログラムにする

また、前項と同様の理由で、運用のしやすさも重要です。
運用中に不具合が生じた場合、開発者でなければ対応できないようでは、その間に業務が止まってしまいます。

運用担当者にもわかりやすく、トラブル対応が可能なようにプログラムを組むようにしましょう。

 

4.まとめ

いかがでしたか?
AI開発について、知りたかったことがわかったのではないでしょうか。

ではあらためて、記事のポイントをまとめましょう。

◎AI開発のプロセスは、以下の4段階のフェーズで進められる
 1)構想フェーズ
 2)PoCフェーズ
 3)実装フェーズ
 4)運用フェーズ
◎AI開発を外注する際の具体的な流れは、以下の通り

開発を外注したクライアント企業側のフェーズ
◎AI開発を成功させるポイントは、
 ・目的を明確化する
 ・更新しやすいアルゴリズムにする
 ・運用しやすいプログラムにする

これをふまえて、あなたの会社がAI開発に成功するよう願っています。

【徹底解説】アジャイル開発が失敗する原因5つ|成功させるポイント

アジャイル開発は、開発途中でも柔軟に仕様を変更できる画期的な開発手段ですが、ポイントを押さえておかないと失敗しやすい側面もあります。

アジャイル開発で失敗する際のよくある原因は、次の5つです。

アジャイル開発で失敗する際のよくある原因5つ

このように、多くの失敗は、

・アジャイル開発特有の立ち回りを理解していない
・アジャイル開発自体についてよくわからないまま採用してしまった

という場合に起こっています。

「そんなに失敗しやすいなら採用しないほうがいいのかな」と考えがちですが、裏を返せば、失敗の原因とアジャイル開発について押さえるべきポイントを把握しておけば、失敗のリスクは下げられるということです。

アジャイル開発で失敗しないための代表的なポイントとして、次の3つが挙げられます。

 アジャイル開発で失敗しないための代表的なポイント3つ

こういったポイントをきちんと把握しておくことが、アジャイル開発を成功させ、品質の高いシステムを開発することにつながるのです。

この記事では、アジャイル開発に失敗しないために、必ず押さえるべき以下のポイントを解説します。

【当記事のポイント】

・アジャイル開発とはどのようなものか
・アジャイル開発に失敗する原因
・アジャイル開発で失敗しないためのポイント

上記のポイントを確認することで、アジャイル開発がどのような特徴・注意点のある手法で、どうすれば失敗を回避できるのかがわかるようになります。

アジャイル開発を有効活用することで、ニーズを最大限反映したシステム開発を実現することができます。だからこそ、メリットを存分に引き出して、開発目的に合った最高のソフトウェアを作り上げられるようになりましょう。

 

1.アジャイル開発は従来型の「開発者にお任せ前提」だと失敗しやすい

 アジャイル開発は従来型の「開発者にお任せ前提」だと失敗しやすい

アジャイル開発が失敗しやすい背景には、従来型の開発方法と同様に「開発者にお任せ前提」というスタンスで取り組んでしまうことがあります。

アジャイル開発とは、1つのシステム開発を複数に分割し、1部分ずつ「要件定義→開発→リリース」していく手法です。一方、従来の開発方法では、システム全体についてまとめて1回で要件定義からリリースまでを終わらせます

アジャイル開発と従来型開発

従来型の開発では、いったん要件定義の段階が終われば、原則として後から変更することはありません。

一方、アジャイル開発では、1つめの「要件定義→開発→リリース」サイクルのフィードバックを踏まえて次のサイクルを進める関係で、随時要件定義を変更することができるのが特徴です。

このように、アジャイル開発では、開発者だけでなく発注者も含めたチームで対話しながら「要件定義→開発→リリース→要件再定義…」のサイクルを繰り返していく必要があります。

つまり、要件定義の当初だけ発注者が関わればよかった従来型の開発方法と異なり、開発側・依頼者側が全工程で協力して開発に取り組むことが前提なのです。

そのため、従来型の「要望だけ伝えて、後は開発者にお任せ前提」でアジャイル開発を採用すると、失敗しがちになります。従来の開発方法では、プロジェクト当初の要件定義を決める際だけ開発担当者としっかり話をすれば、次に確認作業が必要なのは完成後でした。

しかしアジャイル開発では、その間の開発中も随時、確認作業や意見を伝える作業が必要だからです。

失敗しないために押さえるべきアジャイル開発と従来型開発の違い
アジャイル ・短期間の「要件定義→開発→リリース」サイクルを複数回繰り返してシステムを構築する
・前回のサイクルでリリースされた部分の反省点などを次のサイクルの要件定義などにフィードバックするので、開発の全工程で発注者が関わる必要がある
従来型 ・1回の「要件定義→開発→リリース」サイクルでシステムを完成させる
・最初の要件定義が終われば後は開発するのみなので、以降は開発者にお任せ前提でもシステム開発はできる

このように、従来型の開発と同じ感覚のままアジャイル開発を採用してしまうと、失敗のリスクが高くなるということを覚えておきましょう。

 

2.アジャイル開発で失敗する代表的な原因5つ

アジャイル開発で失敗する代表的な原因5つ

アジャイル開発を従来型の開発方法と同じ感覚で採用すると失敗のリスクが上がるとお伝えしましたが、ここでは、具体的にどういうことをしてはいけないのかを見ていきましょう。

アジャイル開発で失敗する代表的な原因は、以下の5つです。

アジャイル開発で失敗する代表的な原因5つ
1. アジャイル開発への理解が不十分なまま採用している
2. コミュニケーションが活性化できていない
3. リーダーが役割を果たせていない
4. 発注者が積極的に関与していない
5. アジャイル開発の経験者が不在

それぞれ、どのようなところが失敗につながってしまうのか、具体的に見ていきましょう。

 

2-1.アジャイル開発への理解が不十分なまま採用している

アジャイル開発がどのような特徴の開発手法なのか理解が不十分なまま、「新しい手法だから」「何となく良さそうだから」などといった理由で採用してしまうと、失敗のリスクが高くなります。

このような場合、「開発手法に求める目的(コストを最小限にしたいなど)」と「アジャイル開発で達成できる内容(コストよりもニーズの充足度を重視するなど)」が合っていないことに気付かずに採用してしまい、その結果、目的が達成できず開発そのものにも失敗してしまいがちです。

例として、次のような目的があるケースは、アジャイル開発と相性が悪いと言えます。

【アジャイル開発と相性が悪いケースの例】

・システム開発はできるだけ開発者にお任せして、発注者側の労力を減らしたい
・とにかくコストを最小限にしたい
・かかる時間を最小限にして開発を終わらせたい

上記のような目的で採用すると、なぜアジャイル開発は失敗しやすいのか、具体的に確認してみましょう。

 

2-1-1.アジャイル開発はお任せ前提だと失敗する

これまでにもお伝えしているとおり、発注者が開発過程に関わる時間を取れないなどの理由で、基本的に開発者に丸投げするつもりでアジャイル開発を採用すると失敗します。

小さなサイクルを何回も積み上げてシステム開発をするアジャイル開発では、開発当初にシステムの全体像や必要な機能が固まっていないことが多いからです。そのため、開発期間中も継続して発注者が各サイクルのリリース結果を確認し、フィードバックしていく必要があります。

例えば、計画時にはわからなかった操作のしにくさが1つめのサイクルで判明し解決方法が複数ある場合に、実際にシステムを使う発注者がもっとも使いやすい案を選んでおかないと、最終的に使いにくいシステムになってしまうでしょう。

ポイント
・アジャイル開発では、開発の全工程で開発者・発注者が協力してシステム全体像を固める必要がある

 

2-1-2.コスト・時間を抑えることを追求するとアジャイル開発の良さは活かしにくい

開発にかける費用や時間を抑えることを重視しすぎると、アジャイル開発のメリットが活かせず、失敗しやすくなります。

アジャイル開発の最大の特長は、開発途中で柔軟に仕様変更ができることです。作っている途中ででてきた違和感や別のニーズを随時取り込めることで、より一層、ユーザーの使いやすいシステムを完成させやすくなっています。

しかし、仕様変更を柔軟にすればするほど、費用や時間の見通しは立ちにくくなり、当初想定していた予算を超えてしまったり納期に間に合わなくなったりするものです。

最初からコストや時間をシビアに設定しすぎると、アジャイル開発の特長を活かせなくなり、かえって質の低いシステムになってしまうといった失敗をしてしまいます。

ポイント
・アジャイル開発のメリットを最大化するには、従来型の開発方法よりコストが増える可能性があることを念頭に置こう

 

2-2.コミュニケーションが活性化できていない

アジャイル開発では、発注者・開発側・プロジェクトマネージャーなどが、相互に提案やダメ出しができる環境づくりができていないと失敗します。

システム開発を従来のようにひとまとまりではなく、小分けにして行うアジャイル開発では、要件定義して開発・テストした結果に基づいて次の要件定義をどうするか話し合っていくサイクルを反復するので、関係者の活発なコミュニケーションがシステムの質に大きく影響するからです。

具体的なフィードバックが多く出れば、サイクルごとに飛躍的な改善が見込めますが、自由に意見が出しにくい環境では、

・必要な機能が十分に反映されない
・使い勝手の悪いシステムになる

といった失敗を招いてしまうでしょう。

ポイント
・サイクルごとに発注者・開発者が十分にコミュニケーションをとってPDCAを回す必要があることを意識しよう

 

2-3.リーダーが役割を果たせていない

アジャイル開発では欠かせないスクラムマスター・プロダクトオーナーといったリーダーが、役割を果たせていないことも、開発が失敗する大きな原因です。

アジャイル開発の代表的なリーダー2種類
スクラムマスター ・開発作業がうまく進むようにスケジュールや開発チーム内の意見の調整を行う
プロダクトオーナー ・どういうシステムにするのか作るものの方向性を決める
・開発チーム以外の利害関係者と開発チームの間の調整を行う

細分化したサイクルを反復し、都度、仕様変更も織り込むアジャイル開発では、上記のような各リーダーがきちんと全体管理(スケジュール・方向性)をしないと、

・工期が大幅に伸びてしまい不完全なシステムになってしまう
・発注者の欲しかったものとは異なるシステムになってしまう

といった失敗につながります。

ポイント
・各リーダーは自分の役割を具体的に把握し、利害関係者や開発チームの言いなりにならず調整を行う必要がある

 

2-4.発注者が積極的に関与していない

発注者が積極的に開発に関わっていない場合も、失敗しやすくなります。

試行錯誤しながらシステムの完成を目指すアジャイル開発では、従来のように開発者だけが中心に頑張るのではなく、発注者も積極的に開発段階に関わろうとしないと、ユーザーニーズの反映しないシステムになってしまうからです。

例えば、以下のように発注者が受け身で開発に関わると、本当にニーズに合ったシステムを作れなくなってしまうでしょう。

【例:一般的によく利用する機能と、発注者の業務環境でよく使う機能が違うケース】

①画面構成を検討する段階で、開発者は、一般的によく利用される機能を操作しやすい位置に配置した構成をおすすめする
②発注者は受け身で聞いていたので、深く考えずにおすすめ構成を承諾
③発注者の業務でもっともよく使う機能に、アクセスしづらいシステムが出来上がる

このように、発注者が消極的で開発者に頼りきりだと、アジャイル開発は失敗します。

ポイント
・アジャイル開発では、発注者はただ関与するだけでなく主体的に関わり、自分の意見を積極的に言うことが大切

 

2-5.アジャイル開発の経験者が不在

アジャイル開発は、小まめに開発サイクルを反復し仕様変更を前提としており、従来型の開発方法とはかけ離れた方式です。

そのため、せめてリーダーくらいは経験者をいれておかないと、進め方がわからず失敗しやすくなるでしょう。

アジャイル開発の経験者がいないと、

・開発途中で仕様変更が必要であるにもかかわらず、変更の決断ができない
・業務量の増加につながる意見は言わなくなる
・指示待ちのメンバーが増え、工程がスムーズに進まない

などの問題が起こるでしょう。その結果、

・ニーズに合わないシステムが出来上がる
・時間ばかりかかって質の低いシステムになる

という失敗につながります。

ポイント
・アジャイル開発は表面的にプロセスを真似するだけでは失敗するので、適切な判断やコミュニケーションの仕方を知っている経験者をチームにいれよう

 

3.アジャイル開発で失敗しないためのポイント3つ

アジャイル開発で失敗しないためのポイント3つ

アジャイル開発は、失敗の原因を踏まえた成功ポイントを押さえておくことで、メリットを最大限享受しスムーズに進めることができます。

アジャイル開発で失敗しないためのポイント3つ
1. アジャイル開発のメリット・デメリットを理解した上で採用を検討する
2. 各自の役割を理解し共通認識を持つ
3. フィードバックをしっかり行う

どういうところに気を付ければ失敗しないのか、具体的に説明しますので、参考にしてください。

 

3-1.アジャイル開発のメリット・デメリットを理解した上で採用を検討する

開発手法に求めるものとアジャイル開発が合っていないことに気付かずに採用してしまうと、開発目的を達成できなくなってしまいます。

アジャイル開発について、発注者側の担当者やトップが正しく理解した上で、採用を検討するようにしましょう。

アジャイル開発の特徴を理解していれば、

・アジャイル開発が向いているケースなのか
・最適な開発チームの人選はどのようなものか

などについて判断できるようになるので、アジャイル開発で、ニーズを捉えた高品質のシステムをスムーズに開発できるようになります。

アジャイル開発のメリット・デメリットや向いているケースについて、以下で詳しく確認してみましょう。

 

3-1-1.アジャイル開発は柔軟な仕様変更ができるのが最大のメリット

アジャイル開発最大のメリットは、開発の途中でも柔軟な仕様変更ができることです。

従来型の開発方法と異なり、始めに要件定義を完成させる必要がなく、作りながら柔軟な見直しができるアジャイル開発では、次のような利点があります。

【アジャイル開発を利用するとできること】

・ユーザーの意見を取り入れやすく潜在ニーズまで汲み取ったシステム開発
・ビジネスの状況変化に応じた急な仕様変更への対応
・トラブル・エラー対応のコストや時間を最小限に抑える

上記のようなメリットが活かせるケースかどうかを確認してから、アジャイル開発の採用を検討するようにすることで、失敗のリスクを減らすことができるでしょう。

 

3-1-2.スケジュール・方向性の管理には注意が必要

仕様変更への柔軟性が高いということは、開発過程でシステム開発の方向性がズレやすく、スケジュールも伸びやすいということでもあります。そのため、スケジュール・方向性が大幅に変動しないよう、管理に注意が必要です。

開発の当初に仕様をフィックスしなくても進められるアジャイル開発には、以下のようなリスクがあります。

【アジャイル開発を利用する際に注意すべきこと】

・開発の方向性に合うかどうか確認せずに仕様変更を採用すると、時間や費用ばかりかかった挙句、使いにくいシステムになる
・最初に計画の全体像を決めないため仕様変更をし過ぎたり、チーム内のコミュニケーションがうまくいかずスケジュールが間延びしたりして、最終納期に間に合わなくなる

開発着手前に明確なビジョンを打ち立て、開発中はスケジュールや開発の方向性をきちんと制御できるリーダーを選ぶことが、上記のような失敗を避ける上で効果的です。

 

3-1-3.アジャイル開発が向いているケース

これまでにお伝えしたようなメリット・デメリットを踏まえると、アジャイル開発は、次のような仕様変更が発生しうるケースに向いています

アジャイル開発が向いている場合
・市場ニーズやビジネスにおける優先順位などが変化する可能性がある開発
・必要とするシステムの全体像が掴み切れていない場合

このように、新規事業などで開発に着手する前にシステムの全体像が明確にできない場合は、アジャイル開発が成功しやすいケースと言えるでしょう。

 

3-1-4.アジャイル開発が向いていないケース

アジャイル開発の特徴から見て向いていないケースとして、以下のように仕様変更の可能性が低いものが挙げられます。

アジャイル開発が向いていない場合
・すでに発注者側で仕様が確定しており、変更の可能性がない場合
・実装すべき機能が明確な場合

よくあるシステムで仕様の変更の余地が無い場合は、アジャイル開発を採用してもメリットがなく、かえって時間やコストがかかるだけになってしまいます。

失敗を避けるためにも、従来型の開発手法を選んだほうがよいでしょう。

 

3-2.各自の役割を理解し共通認識を持つ

柔軟な対応と積極的な意見交換が必要なアジャイル開発では、発注者や開発者・リーダーなどが、それぞれどのような立ち回りをしないといけないのか相互に理解し協力することが、開発を成功させるために欠かせません。

特に以下の内容について、本人はもちろん他の開発チームメンバーも理解しておく必要があります。

【アジャイル開発を利用するなら把握しておくべきこと】

・システムを開発しながら残りの仕様や全体像を決める必要があるので、開発者に丸投げしない
・発注者も主体的に全工程に関わり、意見を述べる必要がある
・リーダーの立ち回りやスケジュール管理の重要性

上記のポイントについて共通認識を持っておくことで、

・開発チーム内で信頼関係を築くことができる
・コミュニケーションの活性化や各自の役割を確実に果たすことにつながる

といった効果が見込めるでしょう。

 

3-3.フィードバックをしっかり行う

開発途中でダメ出しや提案をすることは、つい遠慮しがちですが、アジャイル開発においては、フィードバックを積極的に行うことで失敗を回避することができます。

アジャイル開発は仕様変更を前提とし、顧客のニーズを最大限反映させることを目的とした手法です。
そのため、積極的に意見を言うことで、

・反映すべきニーズが明確になり、完成するシステムの品質が向上する
・速やかに全体像がつかめ、開発スピードが上がる

といった効果が期待できます。

このように、アジャイル開発を成功させるには、フィードバックを積極的に行うことがポイントです。

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4.まとめ

今回は、アジャイル開発で失敗する原因とその対策について解説しました。
最後に、要点を再度確認してみましょう。

アジャイル開発とは、1つのシステム開発を複数に分割し、1部分ずつ短期間で「要件定義→開発→リリース」していく手法です。従来の開発手法と異なり、開発途中の仕様変更やエラー対応に強く、発注者と開発者のコミュニケーションが重視される傾向にあります。

アジャイル開発に失敗する原因として、代表的なものは次の5つです。

アジャイル開発で失敗する代表的な原因5つ
1. アジャイル開発への理解が不十分なまま採用している
2. コミュニケーションが活性化できていない
3. リーダーが役割を果たせていない
4. 発注者が積極的に関与していない
5. アジャイル開発の経験者が不在

アジャイル開発で失敗しないためには、以下のポイントを押さえる必要があります。

アジャイル開発で失敗しないためのポイント3つ
1. アジャイル開発のメリット・デメリットを理解した上で採用を検討する
2. 各自の役割を理解し共通認識を持つ
3. フィードバックをしっかり行う

以上のような内容を参考にして、アジャイル開発を成功させ、高品質で思い通りのシステムを構築しましょう。

【解説】グローバル人材とは海外で結果が出せる人材のこと

「グローバル人材はどうして必要なの?そもそも、どんな人を指すの?」
「グローバル人材って分かりそうでよく分からない」

と思ったことはありませんか?

グローバル人材とは、どのような人を指すのでしょうか。

グローバル人材とは

また、以下の理由で、日本ではグローバル人材が必要とされています。

・日本経済の停滞により海外市場を開拓する企業が増えているから
・日本企業のダイバーシティ化が進んでいるから
・外国人労働者が増えると予測されているから

グローバル人材を獲得するためには、社内で育成する方法と、外部から採用する方法があります。外部から採用する場合は、日本国内だけでは人材が限られているのが現状です。海外の優秀な人材を採用することを積極的に検討していきましょう。

この記事では、以下について解説していきます。

・グローバル人材とは
・グローバル人材に必要な9つの能力と要件
・日本でグローバル人材が必要とされる3つの理由
・社内で活躍できるグローバル人材を確保するには
・グローバル人材を育成する手順

また、優秀な人材を見つけるためのエージェントの活用方法についても解説していきますので、参考にしてください。

 

 

1.グローバル人材とは

グローバル人材とは


これからの日本社会ではグローバル人材の確保が重要になると言われていますが、そもそもグローバル人材とはどのような人を指すのでしょうか?

 

1-1.グローバル人材とは外国とのビジネスで結果を出せる人材

グローバル人材とは、外国とのビジネスにおいて結果を出せる人で、語学力や異文化理解力があるのはもちろん、日本人としてのアイデンティを持ち、相手の立場も考慮しつつ意見を主張できる人材を指します。

総務省
文部科学省
・グローバル人材育成推進会議

上記の3機関でそれぞれグローバル人材の定義付けをしていますが、文部科学省とグローバル人材育成推進会議の定義は、以下のようにどちらも同じでした。

要素Ⅰ: 語学力・コミュニケーション能力
要素Ⅱ: 主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
要素Ⅲ: 異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティーこのほか、幅広い教養と深い専門性、課題発見・解決能力、チームワークと(異質な者の集団をまとめる)リーダーシップ、公共性・倫理観、メディア・リテラシー等。


総務省では、以下のように定義づけています。

日本人としてのアイデンティティや日本の文化に対する深い理解を前提として、ⅰ)豊かな語学力・コミュニケーション能力、ⅱ)主体性・積極性、ⅲ)異文化理解の精神等を身に付けて様々な分野で活躍できる人材

上記の3機関とも、文言は異なるものの、語学力やコミュニケーション能力、主体性や異文化理解力などが必要なことは共通しています。

つまりグローバル人材とは、上記の要素を満たした上で、外国とのビジネスにおいて結果を出せる人のことを指すと言えるでしょう。

 

2.グローバル人材に必要な9つの能力と要件

グローバル人材に必要な9つの能力と要件

グローバル人材には様々な能力や要件が求められますが、代表的なのは以下の9点です。

・コミュニケーション能力
・語学力
・主体性や積極性
・チャレンジ精神
・協調性や柔軟性
・異文化理解と日本文化相互の理解
・やりぬく力や責任感
・リーダーシップ
・担当業務に関する専門知識

以下で、ひとつずつ解説していきます。

 

2-1.コミュニケーション能力

グローバル人材におけるコミュニケーション能力は、異なる習慣や価値観を持つ相手について理解したうえで、主張したり交渉したりする能力です。

たとえば、一般的に日本人同士のコミュニケーションでは直接的な表現を避けますが、海外でははっきりと意志を伝えることが大切と言われています。

しかし、何でもはっきり主張すれば良いわけではなく、相手の意見や要求を聞いたうえで、お互いが納得できるよう円滑に進めることが求められます。

 

2-2.語学力

グローバル人材で必要な語学力は、単に会話ができるだけではなく、伝えるべき内容を的確に表現する能力です。

たとえ日常会話が上手にできたとしても、ビジネスの場ではあまり役立ちません。交渉したり、相手を説得するために論理的に説明する力など、単なる語学力を超えた能力が求められます。

また、世界の共通言語である英語力を求められる場合が多いですが、業種によって中国語やスペイン語など他の言語が必要になる場合もあります。

 

2-3.主体性・積極性

業務内容を正しく理解したうえで、相手とコミュニケーションをはかりながら、主体的・積極的に行動していくことが求められます。

相手の意志を無視して単に積極的なだけでは、自分勝手な行動になってしまうので注意が必要です。

 

2-4.チャレンジ精神

グローバル人材として活躍するには、今までとは違うやり方にチャレンジしたり、新しい市場を開拓するなど、現状維持で満足しないチャレンジ精神が大切です。

今までとは違った行動を取ると、成功するとは限りません。しかし、失敗を恐れずにチャレンジできる精神力が必要になります。

 

2-5.協調性・柔軟性

グローバル人材には、相手の立場を理解してサポートしたり、必要な場合は自分の意見を通すのではなく組織を優先するなど、柔軟な行動ができることが求められます。

異なる言語や文化、価値観を持っている人同士で仕事をする場合、意見が合わないこともあるでしょう。そのような場合にも、相手を尊重し協調性を持ったコミュニケーションが必要です。

 

2-6.異文化理解と日本人としてのアイデンティ

グローバル社会で活躍するためには、異文化に対する理解はもちろん、日本人としてのアイデンティを持っていることが重要です。

異文化の人と関わる際には、相手の文化に対する理解を持っていると、友好的な関係が築きやすくなります。自国の文化に興味を持っていたり、理解してくれていると感じれば、誰しも嬉しい気持ちになるからです。

同様に、相手が日本について興味を示してくれた場合、日本や日本文化とはどんなものなのか、日本人としてのアイデンティがしっかりしていないと、自分の言葉で語るのは難しいでしょう。

 

2-7.やりぬく力・責任感

海外事業を展開していく際には、予期せぬトラブルに見舞われることもありますが、責任感をもって業務を遂行する力が求められます。

もちろん、たったひとりでやり抜かなくてはならないわけではありません。チームメンバーと協力しながら、必要に応じて相談、報告を行い、最後まであきらめないことが大切です。

 

2-8.専門性の高いスキルや知識

自身の担当業務に関して高いスキルや知識があることも、グローバル人材として欠かせません。

たとえばエンジニアであれば、最先端のAIやIoTに関する知識があり、顧客からのリクエスト通りの製品を開発できるといったことです。

一見、グローバル人材とは関係がない要件と感じるかもしれませんが、専門性の高いスキルや知識があることで、顧客もチームメンバーも信頼を寄せてくれることでしょう。

 

3.日本でグローバル人材が必要とされる3つの理由

日本でグローバル人材が必要とされる3つの理由

日本では、さまざまな理由でグローバル人材が必要とされていますが、主な理由は以下の3つです。

・日本経済の停滞により海外市場を開拓する企業が増えているから
・日本企業のダイバーシティ化が進んでいるから
・外国人労働者が増えると予測されているから

以下で、ひとつずつ解説していきます。

 

3-1.日本経済の停滞により海外市場を開拓する企業が増えているから

日本経済がここ数十年停滞しているため、新たに海外市場を開拓する企業が増えています。その際、英語をはじめとした外国語力や異文化コミュニケーションに長けたグローバル人材が必要です。

実際に、日本経済はどのくらい停滞しているのでしょうか?
以下は、日本をはじめとした主な国々の国内総生産(GDP)のグラフです。

日本経済の停滞により海外市場を開拓する企業が増えている

上記は、日本生命が新社会人向けに掲載している経済コラム「日本は世界第3位の経済大国だというけれど」から抜粋したものですが、日本のGDPは現在、アメリカ、中国に次ぐ世界第3位であることが分かります。

2005年頃から中国が一気にGDPを上昇させている一方で、日本のGDPは1995年頃に最高を記録してから増減を繰り返しており、数十年間も回復の兆しが見られません。

このことから、国内市場の拡大の見込みは薄いと考え海外市場を視野に入れる企業が増えており、その結果としてグローバル人材が必要となっているのです。

 

3-2.日本企業のダイバーシティ化が進んでいるから

日本企業ではダイバーシティ化が進んでいます。

ダイバーシティ(Diversity)とは、「多様性」という意味で、企業経営においては年齢や人種、性別や国籍、宗教、障がいなどを問わず、優秀な人材であれば積極的に採用しようという流れになっているのです。

そのため、日本人、外国人ともに、様々な価値観を持った人々と協力して仕事をする場面が増えています。既存の固定観念にとらわれず、相手を尊重し、主体的に行動できるグローバル人材が求められているのです。

 

3-3.外国人労働者が増えると予測されているから

日本では、人口の減少により、将来的に外国人労働者が増えると予測されています。

外国人スタッフが増えると、仕事上でコミュニケーションをはかる社員はもちろん、彼らを教育したり人事評価したりする社員にも、グローバル人材の能力が求められます。

日本の人口は2026年には1億2000万人、2048年には1億人を下回ると予測されているため、外国人労働者の増加は避けられない状況です。

JICAが発表した「2030/40年の外国人との共生社会の実現に向けた調査研究」によると、必要な外国人労働者数が2020年には172万人だったのに対し、2030年には3倍近くの419万人、2040年には約4倍の674万人になると予測されています。

外国人労働者が増えると予測されているから
2040年には、中京圏や北関東などを中心に、製造業が盛んな9都府県では生産年齢人口に占める外国人労働者の割合が10%を超えると予測されています。

この現状を踏まえると、彼らとともに働く国内人材にも、コミュニケーション力や協調性、柔軟性といったグローバル人材の要素がますます必要になるでしょう。

 

4.社内で活躍できるグローバル人材を確保するには

 社内で活躍できるグローバル人材を確保するには

日本ではグローバル人材が必要とされていることは理解できましたが、実際に企業内ではどのようにして必要な人材を確保したらよいのでしょうか。

大きく分けると、以下のように育成と採用の2パターンに分かれます。

・社内で育成する
・外部からグローバル人材を採用する(国内、海外)

それぞれのメリットとデメリットを含め、ひとつずつ解説していきます。

 

4-1.社内で育成する

グローバル人材を生み出すには、社内で育成するという方法があります。

社内で独自の研修プログラムを開発したり、外部で開発されたプログラムを社内で採用するといった方法で育成が可能です。

 

4-1-1.メリットとデメリット

メリットとデメリット

社内で育成するメリットとしては、新規採用の手間やコストがかからないことが挙げられます。

しかし、即戦力として活躍できるわけではないことや、研修受講などの時間確保のために、社員の業務スケジュールの調整が必要なことがデメリットと言えるでしょう。

 

4-2.外部からグローバル人材を採用する

社内のスタッフにグローバル力を身につけさせるだけではなく、外部から人材を採用する方法もあります。

・日本国内で採用する
・海外から採用する
・採用するメリットとデメリット

 

4-2-1.日本国内で採用する

すでにグローバル人材として活躍している人を中途で採用したり、海外の大学や大学院を卒業するなど、グローバル人材として活躍できる素地のある人を採用する方法があります。

新卒採用の場合は、日本国内での採用はもちろん、アメリカのボストンキャリアフォーラムなど、日本人留学生が就職先を探して集まるキャリアフォーラムなどを利用する方法も一般的です。

しかし、日本のIT人材不足が加速している現状を考えると、国内で優秀な人材を探すのはさらに厳しくなっていくでしょう。

 

4-2-2.海外から採用する

海外の優秀な人材を採用し、グローバル人材を増やしていく方法もあります。

年齢や性別はもちろん、国籍や人種にとらわれず有能な人材を採用することで、自社の強みとなるでしょう。海外からの人材採用も積極的に検討していくことをおすすめします。

 

4-2-3.メリットとデメリット

外部からグローバル人材を採用するメリットとデメリット

グローバル人材を採用するメリットとしては、採用後にすぐに即戦力として活躍が期待できることや、すでに勤務している社員の負担を増やすことがないことが挙げられます。

社員たちは各自の業務に集中できるため、生産性が落ちることもないでしょう。

一方、デメリットとしては、手間やコストがかかることが挙げられます。優秀な人材が限られているため各社争奪戦となっており、給与などの人件費が予想よりも高額になる可能性もあります。

 

5.グローバル人材を育成する手順

グローバル人材を育成する手順

社内でグローバル人材を育てる場合は、以下のように順序だてて進めていくことが大切です。

・候補者をリストアップする
・参加者の現在のスキルと課題を把握する
・グローバル人材育成計画を作成する
・育成計画を実行する
・人材を適材適所に配置する

以下で、ひとつずつ解説していきます。

 

5-1.候補者をリストアップする

まずは、育成プログラムに参加する社員候補をリストアップします。

その際には、人事評価や管理職の推薦をもとに、前述したグローバル人材に必要な能力や要件を満たしている、あるいは資質のある社員をピックアップしてください。そのほか、自ら参加したいと手を挙げた社員も候補に加えて良いでしょう。

この段階で、グローバル人材に必要な能力や要件をすべて満たしている必要はありません多少人事評価が低かったとしても、やる気がある社員は育成メンバーに加えることを検討してください。

候補者が育成プログラムの規定人数を上回った場合は、自社にとってより重要なグローバル人材の要素を満たしているメンバーを優先的に選ぶなどして、プログラムに参加する社員を決定してください。

 

5-2.参加者の現在のスキルと課題を把握する

次に、プログラムに参加する社員が現在持っているスキルと、どのような課題を克服すべきかをリストアップし把握します。

プログラムに参加しても、すぐにグローバル人材として活躍できるとは限りません。リーダーシップやコミュニケーション能力などは、短期間の研修ですぐに身に付くわけではないからです。

しかし、育成プログラムを通じて社員が成長を遂げられるよう、すでに持っているスキルと、今後身に付けるべきスキルをきちんと認識しておくことが重要です。

 

5-3.グローバル人材育成計画を作成する

参加者のスキルと課題が把握できたら、次にグローバル人材の育成プログラム計画を作成します。

宿泊型の集中研修ではなく就業中にプログラムに参加する場合は、予定外の案件が入ることも考慮し、余裕を持った計画を立てるようにしてください。

また、開始から1か月後、3か月後、半年後の到達目標を設定し、その目標を達成するためのプランを作成します。

プログラムの内容については、自社の今後の経営計画に合ったものを作成しましょう。参加者それぞれに必要なスキルを補うのはもちろん、特定の知識を身に付ける必要があれば、それもプログラムに組み込みます。

そのほか、通信教育の受講や業務を通じたOJTが別途必要な場合は、スケジュールに無理がないように必ず計画してください。

 

5-4.育成計画を実行する

グローバル人材の育成プログラムが完成したら、いよいよ実行です。

この時大切なのは、PDCAを意識して実行することです。

予定通りにうまくいくこと、いかないことなどが見えてくるので、C(チェック)の段階で課題を明確にします。そして、必要があれば計画を修正し再度試してみる。この繰り返しで徐々にプログラムが軌道に乗ってくることでしょう。

また、プログラムが長期にわたる場合、途中で参加者が転勤になったり、あるいは退職してしまったりすることもあるかもしれません。当初の予定通りに進まないことが出てきたら、その都度臨機応変に対応していきましょう。

 

5-5.人材を適材適所に配置する

育成計画の最後は、プログラムを無事修了した人材を適材適所に配置します。

この時起こり得るリスクとしては、思ったように人材が育たず、グローバル人材として配置予定のポジションに配属できない。あるいは、参加者本人の気持ちが変わり、グローバル人材として期待されるポジションでの勤務を希望しないなどが挙げられます。

また、それぞれ得意な分野も異なりますので、どのようなポジションにも配属できるよう、プログラムの参加者は多めに見積もっておき、確実に適材適所に配置できるようにしておいてください。

 

6.グローバル人材を採用するなら海外にも目を向けてみよう

グローバル人材を採用するなら海外にも目を向けてみよう

「グローバル人材を自社で育成するのは、時間もかかって大変そうだ」と感じた人もいるかもしれません。

海外から優秀な人材を採用したほうが時間もかからず、すぐに即戦力として活躍が期待できます。すでに勤務している社員の負担を増やすこともありません。

しかし、「どうやって海外から人材を採用したら良いのだろう?」「しっかりした優秀な人材であると、どうやって見分けたら良いのだろう?」と不安に思うのではないでしょうか。

海外人材を探すには、経験豊富なエージェントを利用することをおすすめします。

 

6-1.海外人材を採用することのメリット・デメリット

まずは、海外人材を採用するメリットとデメリットについて知っておきましょう。

海外人材を採用することのメリット・デメリット

メリットとしては、日本人よりも人件費が安いことが挙げられます。また、世界中から人材を探すと考えると、優秀な人に出会える確率も高いことが分かるでしょう。

しかし、日本語が堪能でない場合は、コミュニケーションを取る際に英語などの外国語を使う必要が出てくるかもしれません。

また、自国からリモートで業務を行う場合には、地域によっては時差が生じるためデメリットとなる場合もあります。

どこの国の人を採用するかについてですが、IT関連の人材ならコストが安くて優秀な人材が多いインドがおすすめです。

なぜならインドはIT関連の教育が世界トップレベルで、世界的にも技術力の高いエンジニアを日本国内のグローバル人材よりも低コストで採用できます

 

6-2.優秀なグローバル人材を見つけるならGALKがおすすめ

GALKでは、エンジニアが中心となりますが、世界最難関のインド工科大学の学生を日本企業に紹介しています。

同大学の卒業生は優秀なエンジニアとして世界中の企業から最高評価を得ており、喉から手が出るほど欲しい人材と言われています。

GALKではインターンシップという形で、大学在学中に紹介できるため、他国の企業が獲得に乗り出す前に採用できるのが大きな特徴です。

実際に、過去2年間で約50名の学生が日本企業でのインターンシップを行いました。そのうち75%が正規採用となり、これまでにインターンシップを実施したすべての日本企業が、最低でも1名以上を正規採用しています。

以下に当てはまる場合は、ぜひGALKにご相談ください。
問い合わせフォームからいつでもご連絡いただけます。

・これからテクノロジー分野で新規事業を考えている
・自社の更なる開発力強化に優秀な技術者が必要
・これまで外国籍の人材を採用した経験がない、または過去に失敗した

 

まとめ

グローバル人材とは、以下のような人を指します。

外国とのビジネスにおいて結果を出せる人で、語学力や異文化理解力があるのはもちろん、日本人としてのアイデンティを持ち、相手の立場も考慮しつつ意見を主張できる人

具体的に、グローバル人材に必要な9つの能力と要件についても解説しました。

・コミュニケーション能力
・語学力
・主体性や積極性
・チャレンジ精神
・協調性や柔軟性
・異文化理解と日本文化相互の理解
・やりぬく力や責任感
・リーダーシップ
・担当業務に関する専門知識

次に、日本でグローバル人材が必要とされる3つの理由についてもお伝えしました。

・日本経済の停滞により海外市場を開拓する企業が増えているから
・日本企業のダイバーシティ化が進んでいるから
・外国人労働者が増えると予測されているから

国内市場だけでは今後の日本経済の成長が見込めないことや、人口減少により外国人労働者が増えるであろうと予測されていることなどが、グローバル人材が必要とされている理由です。

社内で活躍できるグローバル人材を確保するためには、社内で育成するか、外部から採用する方法があります。

それぞれのメリットとデメリットをまとめました。

・社内で育成する

社内で育成する

・外部からグローバル人材を採用する(国内、海外)

外部からグローバル人材を採用する(国内、海外)

社内でグローバル人材を育成する場合は、研修プログラムを作成することが多いため、作成手順についても解説しました。

・候補者をリストアップする
・参加者の現在のスキルと課題を把握する
・グローバル人材育成計画を作成する
・育成計画を実行する
・人材を適材適所に配置する

自社で育成するのが手間だと感じたり、国内だけでは人材が不足すると感じた場合は、海外のグローバル人材に目を向けるのが得策ですが、不安を感じる人も多いでしょう。

そのような場合には、採用の手間を減らし、優秀な人材を紹介してくれるエージェントを利用するのがおすすめです。

優秀なインド人エンジニアを紹介しているエージェントとして、GALKをご紹介しました。

この記事で、グローバル人材について抱いていた疑問が解消し、人材育成や採用のキッカケになれば幸いです。

システム開発のアウトソーシングとは?外注の種類、方法などを解説

「システム開発のアウトソーシングを検討しているけれど、よくわからない」「アウトソーシング先をどうやって選べばいい?」

システム開発を考えている企業で、そのような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。

「アウトソーシング」とは、「企業が社内で行っている業務を外部業者に委託すること」で、その委託形態は、以下のような種類があります。

・フルアウトソーシング:システム開発のほぼすべての工程を外注する方法
・運用アウトソーシング:運用のみを外注する方法
・常駐サービス:委託を受けた企業からスタッフが発注元企業に出向し、そこで業務にあたる方法

また、アウトソーシングには以下のようなメリット・デメリットがあります。

<メリット>
・人材採用・育成の時間やコストが必要ない
・人件費を節約できる
・エンジニアがコア業務に専念できる

<デメリット>
・ノウハウや知見が蓄積されない
・情報漏洩のリスクがある

これらを踏まえて、アウトソーシングを検討する必要があります。
そこでこの記事では、システム開発のアウトソーシングについてさまざまな視点から考えていきます。

まず最初は、基本的な知識から身につけましょう。

◎システム開発のアウトソーシングとは
◎「クラウドソーシング」との違い
◎システム開発におけるアウトソーシング形態の種類
◎システム開発をアウトソーシングするメリット
◎システム開発をアウトソーシングするデメリット
◎システムまわりでアウトソーシングに向いている例

これを踏まえて、実際にアウトソーシングする際に必要なことを知っておきましょう。

◎アウトソーシングできるシステム開発会社の探し方
◎システム開発をアウトソーシングする際の注意点

最後まで読めば、知りたいことがわかるはずです。
この記事で、あなたの会社がシステム開発のアウトソーシングに成功するよう願っています。

 

 

1.システム開発のアウトソーシングとは?

システム開発のアウトソーシングとは?

そもそも「システム開発のアウトソーシング」とはどういうことでしょうか?
「なんとなくわかっているけれど、はっきりと説明はできない」という方も多いのではないでしょうか。

そこでまず最初に、システム開発のアウトソーシングとは何か、あらためて説明しておきましょう。

 

1-1.「アウトソーシング」とは

「アウトソーシング」とは、企業が社内で行っている業務を外部業者に委託することで、「外部委託」とも言います。

アウトソーシングを利用する理由としては、以下のようなものが考えられます。


・人材不足を補うため
・専門性の高い業務で、社内に人材がいないため
・外部業者の最新の知見や先端技術を、自社業務に転用したいため
・社内の人材を教育する時間とコストを削減したいため
・新たな人材を採用すると固定費として人件費が発生するのに対して、単発の業務を外注することでコスト削減ができるため

特にシステム開発に関しては、専門性の高い開発業者が数多くあるため、アウトソーシングがさかんに利用されているのが現状です。

 

1-2.「クラウドソーシング」との違い

ちなみに、同じ外注でも、「アウトソーシング」とは似て非なる「クラウドソーシング」という方法もありますが、どのような違いがあるのでしょうか?

「クラウドソーシング」とは、インターネットを通じて「不特定多数」の人に業務を委託する方法です。
発注元の企業は、まずクラウドソーシングサイトに登録し、同じく登録している受注者に業務を委託します。


受注者は、フリーランスのエンジニアが多く、スキルや経験、得意分野がそれぞれ異なるため、お互いにマッチングする相手を探して利用するというシステムです。

急な依頼にも対応してもらえて、費用も抑えられる一方で、登録者のレベルには個人差があり、こちらが希望する人材が見つからなかったり、期待通りの成果が得られないリスクもあります。

一方「アウトソーシング」は、外部の企業と契約を結んで業務を委託します。

そのため、アウトソーシングの方が費用は高額になるかわりに、安定的・継続的に質の高い人材を確保できる可能性が高いといえるでしょう。

 

2.システム開発におけるアウトソーシング形態の種類

システム開発におけるアウトソーシング形態の種類

実は、「システム開発のアウトソーシング」といっても、その委託形態はひとつではありません。
大きく分けて、以下の3種類の方法があります。

・フルアウトソーシング:一連の開発工程をすべて外部に委託する
・運用アウトソーシング:システムの保守運用のみを外部に委託する
・常駐サービス:委託された企業のエンジニアが発注元に常駐する

それぞれどのような委託形態なのか、説明していきましょう。

 

2-1.フルアウトソーシング

システム開発は、大まかに以下のような流れで進められます。

1)企画
2)要件定義
3)設計
4)開発
5)テスト
6)リリース
7)保守・運用

このほとんどを外部委託することを「フルアウトソーシング」と呼んでいます。


企画から運用まですべて委託するケースもありますが、企画だけは発注元の企業でまとめて、要件定義から委託する場合もあります。

発注元の企業としては、自社で開発できない場合や人材が不足している場合でもシステム開発を進められる上、専門業者の豊富な経験と優秀なエンジニア人材を借りることができるというメリットがあります。
が、費用が高額になりがちなのが懸念点になるでしょう。

 

2-2.運用アウトソーシング

「運用アウトソーシング」は、サーバーやOSなどシステムインフラの運用のみを委託する方法です。
すでに開発・リリースされた既存のシステムに対して、メンテナンス作業や、セキュリティの強化などを行います。

自社内にシステムにくわしい人材がおらず、うまく使いこなせていない場合でも、専門家の手を借りることでシステムの運用を円滑にすることができます。

運用アウトソーシングの中でも、以下のふたつの方法があります。

 

2-2-1.ホスティング

「ホスティング」とは、委託先のサーバーやストレージを借りて、運用・保守、機能改善などを委託する方法です。

システム開発をする際に、発注元企業でサーバーを設定して運用するケースもよくありますが、ホスティングではその必要がありません。

コスト削減を図れる上に、メンテナンスや不具合にもスムーズに対応してもらえるため、中小企業にとってはメリットが大きいでしょう。

 

2-2-2.ハウジング

「ハウジング」は、発注元の企業が用意したサーバーや通信機器などを、委託先のデータセンターに設置し、保守やメンテナンスなどを委託する方法です。

「ホスティング」は委託先のサーバーを借りる形なのに対して、ハウジングは自社所有のサーバーを委託先に「間借り」させてもらう、と考えるといいでしょう。

サーバーが委託先にあるため、トラブルにも対応しやすいのがメリットです。
さらに、このサービスを提供している企業は、万が一に備えて災害対策などを厳重にしていますので、自社にサーバーを置くよりも安全です。

 

2-3.常駐サービス

「常駐サービス」は、委託を受けた企業からスタッフが発注元企業に出向し、そこで業務にあたる方法です。

デスクサイドサポートとも呼ばれ、システムの運用やトラブル対応、テクニカルサポートなどを行います。

委託先企業の技術と知識を持ったエンジニアが常駐してくれるので、システムをスムーズに運用できるのが利点です。

 

3.システム開発をアウトソーシングするメリット

システム開発をアウトソーシングするメリット

システム開発のアウトソーシングを検討する際に、まず気になるのは「自社で開発するよりアウトソーシングの方がメリットがあるのか、デメリットはないのか?」という点でしょう。

そこでここからは、アウトソーシングのメリットとデメリットを考えていきます。
まずはメリットからです。

 

3-1.人材採用・育成の時間やコストが必要ない

近年日本では、慢性的なエンジニア不足が問題になっています。

そのためシステム開発を行う企業では、さまざまな方法で人材採用に努めたり、社内でのエンジニア育成に力を入れるところが増えているようです。

が、優秀な人材を自社で採用したり育成するには、時間もコストも必要です。
いま必要なシステム開発には間に合わない、あるいは予算が足りないといった問題を抱えている企業も多いでしょう。

その点、開発業務をアウトソーシングすれば、採用コストや育成コストもかからず、すぐに優秀なエンジニアの力を借りることができます

また、社内のエンジニアでは開発の経験値が限られますが、専門の開発会社であればさまざまな業種の多様なシステム開発に携わるため、ノウハウやナレッジの蓄積があります。

それを自社の開発に生かしてもらえるのも、メリットだといえるでしょう。

 

3-2.人件費を節約できる

さらに、もし自社内でエンジニアを採用したり育成した場合は、その後は恒常的に人件費が発生します。
一方で、アウトソーシングであれば、開発期間分の人件費を含めた開発費用だけですみます。

加えて、開発に必要な設備は開発会社側に備わっているため、発注元では設備投資やセキュリティコストなども必要ありません

アウトソーシング費用は一見高額に感じるかもしれませんが、長期的に考えればコスト削減につながるのです。

 

3-3.エンジニアがコア業務に専念できる

3つ目のメリットは、社員がコア業務に専念できるようになることです。

システムを導入する場合、開発はアウトソーシングしても運用は社内のエンジニアが引き取るケースが多くあります。

その方がコストは抑えられますが、運用を任せられたエンジニアは、本来の業務であるIT戦略の企画・立案などに割く時間が減ってしまいます。

そこで、ノンコア業務をアウトソーシングすれば、社内エンジニアはコア業務に専念することができるようになるのです。
これにより、社内全体の生産性向上も期待できるでしょう。

 

4.システム開発をアウトソーシングするデメリット

システム開発をアウトソーシングするデメリット

このように、メリットが大きいアウトソーシングですが、デメリットもあります。それは以下の2点です。

4-1.ノウハウや知見が蓄積されない

システム開発をアウトソーシングすると、その開発で得られるノウハウや知見は外注先には蓄積されますが、自社にはほとんどフィードバックされません

多額の開発費用をかけてシステムを開発したにもかかわらず、ノウハウやナレッジが外注先のものになってしまうわけです。

これはアウトソーシングの大きなデメリットです。

 

4-2.情報漏洩のリスクがある

2つ目は、情報漏洩のリスクです。

システム開発では、顧客情報や社内の機密情報などを扱うことがよくあります。
開発をアウトソーシングする場合、これらの絶対に外部に漏らせない重要データを開発会社に預けなければいけない場面がどうしても生じます。

こちらでは十分なセキュリティ対策をしていても、外注先に情報がわたったことで、偶発的なミスや人為的なミスによって情報漏洩してしまうリスクはゼロにはできません。

このリスクに対しては、以下のようにできる限りの予防策を講じてください。

・セキュリティ対策を厳重にしている開発会社を選ぶ
・契約時に、「秘密保持契約(NDA)」を締結する

 

5.システムまわりでアウトソーシングに向いている例

システムまわりでアウトソーシングに向いている例

システム開発のアウトソーシングには、メリット・デメリットがあることがわかりました。

では、それを踏まえてどんなケースがアウトソーシングに向いているでしょうか?
それはたとえば、以下のような例です。

 

5-1.最新の技術や知識が必要な開発

第一に、最新の技術や知識が必要なシステム開発の場合は、アウトソーシングが向いています。

ITC分野は技術革新のスピードが速く、短期間でアップデートが繰り返されます。
そのため、エンジニアもつねに勉強し続けなければ、トレンドに遅れてしまいます。

その点、システム開発を専業としている開発会社であれば、所属するエンジニアも最新のスキルや知識を取り入れて開発に臨んでいることが期待できます。

もちろん、エンジニアのレベルはまちまちですので、自社ではできないような高度な開発を手掛けている開発会社を探すことが重要です。

 

5-2.既存のシステムの運用・管理

もうひとつは、既存のシステムの運用・管理といったルーティンワークに近い業務です。

社内でもできる業務ですが、社内のスタッフをコア業務に集中させるためには、ノンコア業務はアウトソーシングするといいでしょう。

また、前項のような専門性の高い業務をアウトソーシングする場合は、開発会社選びが非常に重要で、ミスマッチであれば開発自体が失敗してしまうリスクがあります。

が、運用・管理などのルーティンに近い業務であれば、専門性の低いエンジニアでも問題なくこなせるはずなので、開発会社選びで当たりはずれは小さいでしょう。

いずれにしろ、アウトソーシングを上手に活用することで、社内の業務を効率化して生産性を向上させることができるはずです。

 

6.アウトソーシングできるシステム開発会社の探し方

アウトソーシングできるシステム開発会社の探し方

では、実際にアウトソーシングする際には、開発会社はどのように探せばいいでしょうか?

よく利用されるのは、以下の方法でしょう。

・ネットで「システム開発 アウトソーシング」などと検索
・ビジネスマッチングサイト
・知り合いなどからの紹介

中でもここでおすすめするのは、マッチングサイトやマッチングサービスです。

ネット上には、条件を入力して該当する業者を検索できるサイトや、希望に合った業者を担当者が探して紹介してくれるサイトなどが多数あります。
中には最短1日で自社の案件に合った開発会社が見つかるサイトもあるので、ぜひ利用してみてください。

以下にそのいくつかを紹介しておきます。

◎発注ナビ

システム開発に特化した発注先選定支援サービス。
サイト内で委託業者の検索もできますが、相談内容を登録すると、専門のコンシェルジュが詳細をヒアリングの上、最短1営業日でマッチングした数社を紹介してくれます。
発注側は無料で利用でき、契約に至っても「発注ナビ」の利用費用は発生しません。

◎ジェグテック

日本の中小企業と国内大手企業・海外企業をつなぐビジネスマッチングサイト。
経済産業省所管の独立行政法人 中小企業基盤整備機構の運営で、利用料はすべて無料です。
登録した企業は、企業検索が利用できるほか、こちらからニーズを発信したり、アドバイザーに相談できるなどさまざまな手段でマッチングを図れます。

◎アイミツ

日本最大級の発注業者比較サイト。
登録すると、コンシェルジュが希望内容をヒアリングし、同じく登録している企業の中からAIがマッチングスコアの高い企業をピックアップしマンス。
特徴は、それらの企業から最短翌日までに見積もりや提案が集まる点で、利用はすべて無料です。

また、こちらが希望する人材でチームを組んでもらえる以下のようなサービスもあります。

GALKラボ

Google CEOなど優秀な人材を多数輩出しているインド工科大学の学生エンジニアでチームを組んで、開発を委託できるサービス。
アウトソーシングしたい案件についてエンジニアを公募して、希望に合致する人材で2名からチームを組むことができます。
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7.システム開発をアウトソーシングする際の注意点

システム開発をアウトソーシングする際の注意点

ここまで、システム開発のアウトソーシングについて、知っておきたい事柄について解説しました。

が、最後にもうひとつ説明すべきことがあります。それは、システム開発をアウトソーシングする際の、2つの注意点です。

 

7-1.責任の範囲を明確化する

アウトソーシングでしばしば問題になるのは、「この仕事はどちらが行うべきか」という責任問題です。

たとえば、システムを正常に維持する「運用」は社内エンジニアが行いますが、システム障害などが発生した際の「保守」は開発会社に対応してもらう、というように、業務を切り分けておく必要があります。

その境界があいまいだと、「どちらが対応すべきだったか」といったトラブルにつながりかねません。

これに関しては、最近「SLA(サービス・レベル・アグリーメント)」という取り決めを事前に交わす例が増えています。

SLAは、委託する業務の内容、範囲、品質などについて細かく定めたものです。
決まった書式はありませんが、WEB上で検索するとサンプルが見つかります。

また、経済産業省からは、アウトソーシング向けではありませんが「SaaS 向け SLA ガイドライン」というものも公表されていますので、参考にしてみてもいいでしょう。

 

7-2.複数業者から相見積もりをとる

システム開発のアウトソーシングは、業者によって費用も対応範囲もまちまちです。
そこで、最初から1社に絞り込まず、数社に相談して相見積もりをとって比較することをおすすめします。

中には見積もりに細かい内訳がなく、総額だけ書かれている場合もありますが、そういう業者にはくわしい内訳を確認しましょう。

あいまいな見積もりでは他社と比較できませんし、あとで追加費用が発生する可能性もあります。

見積もりの内容と、相談の際の提案内容などを踏まえて、もっとも納得いく業者にアウトソーシングしてください。

 

まとめ

いかがでしたか?
システム開発のアウトソーシングについて、知りたいことがわかったかと思います。

では最後に、記事の内容を振り返ってみましょう。

◎システム開発のアウトソーシングの種類は、
・フルアウトソーシング:システム開発のほぼすべての工程を外注する方法
・運用アウトソーシング:運用のみを外注する方法
・常駐サービス:委託を受けた企業からスタッフが発注元企業に出向し、そこで業務にあたる方法

◎システム開発をアウトソーシングするメリットは、
・人材採用・育成の時間やコストが必要ない
・人件費を節約できる
・エンジニアがコア業務に専念できる

◎システム開発をアウトソーシングするデメリットは、
・ノウハウや知見が蓄積されない
・情報漏洩のリスクがある

◎アウトソーシングできるシステム開発会社の探し方は、
・ネットで「システム開発 アウトソーシング」などと検索
・ビジネスマッチングサイト
・知り合いなどからの紹介

以上を踏まえて、あなたの会社がシステム開発のアウトソーシングに成功するよう願っています。

情報システム業務をアウトソーシングできる範囲、費用相場などを解説

「情報システム業務は、どこまでアウトソーシングできる?」
「アウトソーシング先の探し方や、費用相場は?」

社内の情報システム業務のアウトソーシングを検討していて、そのような疑問を持っている方も多いでしょう。

結論から言えば、情報システム業務はそのほとんどがアウトソーシング可能です。
たとえば以下のような業務です。

・社内のPC管理、設定
・ヘルプデスク、サポートデスク
・ネットワーク、サーバー構築、保守
・セキュリティ対策
・情報システムの企画開発

また、アウトソーシングすることによって、以下のようなメリットが得られます。

・エンジニアがコア業務に注力できる
・人材採用、育成の時間やコストがかからない
・人件費を削減できる
・ノウハウの属人化を防止できる

ただ、多少のデメリットもありますので検討が必要です。

・ノウハウや知見が社内に蓄積しにくい
・代行業者によって対応できる業務範囲やレベルに差がある

そこでこの記事では、情報システムのアウトソーシングを検討する際に知っておくべきことをまとめました。
まずは検討材料になる情報をお伝えします。

◎情報システムでアウトソーシングできる業務範囲
◎情報システムをアウトソーシングする費用相場
◎情報システム業務をアウトソーシングするメリット
◎情報システム業務をアウトソーシングするデメリット

その上で、実際にアウトソーシングを決めた場合に、知っておきたいことを説明します。

◎情報システム業務をアウトソーシングする際の注意点
◎情報システム業務のアウトソーシング先はマッチングサービスで探す
◎情報システム業務のアウトソーシング先選びのポイント

最後まで読めば、知りたいことがわかるはずです。
この記事で、あなたの会社の情報システム業務が円滑に回るよう願っています。

 

1.情報システム業務でアウトソーシングできる範囲

情報システム業務でアウトソーシングできる範囲

情報システム部署は、社内の情報システムに関する業務をすべて担っています。
そのため、業務範囲は非常に広範囲にわたりますが、それらを大きく分けると以下の5つになるでしょう。

1)社内のPC管理・設定
2)ヘルプデスク・サポートデスク
3)ネットワーク・サーバー構築、保守
4)セキュリティ対策
5)情報システムの企画・開発

これらはいずれも、アウトソーシングが可能です。
では、それぞれどんな業務内容が含まれるか見ていきましょう。

 

1-1.社内のPC管理・設定

社内で導入、使用されているPCの管理全般を担当する業務です。

たとえば、新しいPCを設置したり入れ替えたりする際の、個々の端末の調達、決められた業務に使用できるようにキッティングなどを行います。

 

1-2.ヘルプデスク・サポートデスク

社内の情報システム全般について、社員向けのヘルプデスク、サポートデスクとしても機能します。

会社から支給されたPCやタブレットなどの端末についての問い合わせに答えたり、使い方を教える業務が中心ですが、その他にもよくあるPCトラブルに関するFAQ作成、マニュアル作成、新人研修でのPC関連のレクチャーなども担当します。

 

1-3.ネットワーク・サーバー構築、保守

社内のネットワークやサーバーを構築し、問題なく稼働するように運用、監視し、障害が発生した際には対応します。

たとえばLANやWANなどのネットワークの設計、構築、WindowsやUNIX(Linux)などのサーバーOSの導入、構築、設定に加えて、これらにトラブルが発生した場合の復旧作業なども業務範囲です。

 

1-4.セキュリティ対策

社内で利用している情報システム全般のセキュリティ対策も重要な仕事です。

情報漏洩やハッキングを未然に防ぐため、外部から社内ネットワークへの攻撃や不正アクセスに対してどのような対策を講じるかを検討、導入し、導入後は運用、監視も続けます。

 

1-5.情報システムの企画・開発

社内で利用する情報システムを企画・立案、構築、開発する業務です。

具体的には、顧客管理システムや商品管理システムなど、業務の効率化、コスト削減、収益向上に役立つシステムを、社内のニーズにこたえて企画、開発、あるいは改善します。また、システムの運用、保守も担当します。

2.情報システム業務をアウトソーシングする費用相場

情報システム業務をアウトソーシングする費用相場

以上のような情報システム業務は、全体をアウトソーシングすることもできますし、各業務を切り分けて一部のみ外注することも可能です。

では、その費用相場はどの程度でしょうか?

 

2-1.情報システム業務をアウトソーシングする際の料金体系

まず、情報システム業務のアウトソーシングする場合、費用はどのように発生するのでしょうか?

基本的には委託する業務内容によって、月額で定められている場合が多いようです。
それも、「定額制」の業者と「従量制」の業者に分かれます。

定額制は、毎月決まった金額であるのに対して、従量制は、「ヘルプデスクに入った問い合わせ件数」「対応した業務の工数」などによって費用が加算される方式です。

また、定額制の中でも、「PCやサーバーの数が〇台以上の場合は、1台当たり〇〇円/月を加算」といったように、業務量によって費用が加算される業者もあります。

 

2-2.情報システム業務をアウトソーシングする費用相場

費用相場は、業務の内容、難易度、対応件数などによって異なります
運用・保守などルーティンワーク中心の業務は比較的費用が安く、システムの企画・開発といった高度な業務は高額になる傾向で、おおよそ以下の料金が一般的です。

◎ヘルプデスクなど問い合わせ対応:5万~100万円/月
◎テクニカルサポート:10万~150万円/月
◎システムの企画・開発:内容によって見積もり

このように、費用の幅が広いので、依頼する際には数社から相見積もりをとって比較するとよいでしょう。


3.情報システム業務をアウトソーシングするメリット

情報システム業務をアウトソーシングするメリット

ところで、「情報システム業務を自社のスタッフで行わず、アウトソーシングしても大丈夫なのか?」「デメリットはないか? 何がメリットなのか?」と不安を感じる方もあるでしょう。

そこで、情報システム業務をアウトソーシングすることのメリット・デメリットを考えてみましょう。
まずはメリットから挙げていきます。

 

3-1.エンジニアがコア業務に注力できる

第一のメリットは、エンジニアが本来行うべきコア業務に注力できることです。

情報システム業務は、1章で挙げたように実に多岐にわたりますが、中には「IT戦略の企画・立案」という企業の経営戦略に関わる重要なコア業務が含まれます。

が、それ以外の問い合わせ対応や、PCトラブルの解決依頼、保守運用業務といったノンコア業務に忙殺されて、なかなかコア業務に集中できないという問題を抱えている企業は多いでしょう。

特に、中小企業の場合は情シス担当者が少なく、「ひとり情シス」の企業もあるため、ルーティンワークでいっぱいいっぱいという話も聞かれます。

そんな企業は、ヘルプデスクや保守運用などのノンコア業務をアウトソーシングすることで、優秀なエンジニア人材が雑務にとらわれることなく、IT戦略に集中できるようになります。

 

3-2.人材採用・育成の時間やコストがかからない

情報システム部門は、1章で挙げたように担当業務が広範にわたります。
そのため担当者には、幅広いITスキルや知識が求められる上に、最近は企画力やビジネスセンスも求められるようになってきました。

が、そのような優秀な人材を自社で採用したり育成するには、時間もコストも必要です。
一方で、情報システム業務に精通した専門の代行業者にアウトソーシングすれば、人材採用・育成をしなくても業務を円滑に回すことができ、大きなメリットだと言えるでしょう。

特に近年は、DX=デジタルトランスフォーメーションを推進する企業が増えていますが、DXにおいては社内のIT全般に携わっている情報システム部門の役割が非常に重要です。
中には情報システム部を「DX推進部」としている企業もあるほどです。

このDXに関しても、改めて人材を採用・育成するのは大変ですが、「情シス業務を代行してDX推進を支援します」という代行業者が多数あり、実際に利用する企業も増えています。

ちなみに、DX推進に関しては、経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0」を発表しています。

その中で、特に情報システム部門に関わるガイドラインを一部抜粋しておきますので、参考にしてください。

 


【経済産業省『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン』より抜粋】

《DX 推進のための体制整備》

②推進・サポート体制:
 経営戦略やビジョンの実現を念頭に、それを具現化する各事業部門におけるデータやデジタル技術の活用の取組を推進・サポートする DX 推進部門の設置等、必要な体制が整えられているか。

《全社的な IT システムの構築のための体制》

6.DX の実行に際し、各事業部門におけるデータやデジタル技術の戦略的な活用を可能とする基盤と、それらを相互に連携できる全社的な IT システムを構築するための体制(組織や役割分担)が整っているか。 - 経営戦略を実現するために必要なデータとその活用、それに適した IT システムの全体設計(アーキテクチャ)を描ける体制・人材を確保できているか(社外との連携を含む)

《IT 資産の仕分けとプランニング》

11. 以下のような諸点を勘案し、IT 資産の仕分けやどのような IT システムに移行するかのプランニングができているか。- バリューチェーンにおける強みや弱みを踏まえつつ、データやデジタル技術の活用によってビジネス環境の変化に対応して、迅速にビジネスモデルを変革できるようにすべき領域を定め、それに適したシステム環境を構築できるか 

- 事業部門ごとにバラバラではなく、全社横断的なデータ活用を可能とする等、システム間連携のあり方を含め、全社最適となるようなシステム構成になっているか 

- 競争領域とせざるを得ないものを精査した上で特定し、それ以外のものについては、協調領域(非競争領域)として、標準パッケージや業種ごとの共通プラット フォームを利用する等、競争領域へのリソースの重点配分を図っているか

- 経営環境の変化に対応して、IT システムについても、廃棄すべきものはサンクコストとしてこれ以上コストをかけず、廃棄できているか

出典:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン 

(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0」より一部抜粋

 

3-3.人件費を削減できる

さらに、情報システム業務は、自社内で行うよりもアウトソーシングする方が人件費の削減につながります。

そもそも情報システム部門のエンジニアの年収はどの程度でしょうか?求人情報・転職サイト「doda(デューダ)」平均年収ランキング(平均年収/生涯賃金)【最新版】」(2021年)によると、情報システム業務に関係する各職種の平均年収は以下の通りでした。

 

https://tothassociates.com/uncategorized/9ozb15u9vds 職種 平均年収(全体) 平均年収(男女別) https://fundaciongrupoimperial.org/yf4brek1s2 平均年収(年代別)
ネットワークエンジニア 433万円 男性:455万円
女性:345万円
20代:362万円
30代:505万円
40代:637万円
50代~:697万円
http://www.chateagay.com/6tton6d テクニカルサポート 411万円 男性:425万円
女性:386万円
20代:353万円
30代:437万円
40代:492万円
50代~:570万円
ヘルプデスク 345万円 男性:349万円
女性:339万円
20代:299万円
30代:381万円
40代:418万円
50代~:491万円
IT戦略/システム企画 576万円 男性:602万円
女性:457万円
20代:409万円
30代:552万円
40代:683万円
50代~:767万円

それに対して、アウトソーシングの費用は、2-2.情報システム業務をアウトソーシングする費用相場で挙げたように、ヘルプデスクなら最低価格およそ「5万円~/月」なので「年間 60万円~」テクニカルサポート「10万円~/月」「年間 120万円~」という低料金でも委託可能です。
しかも、採用・育成にかかるコストも発生しないので、大幅な人件費削減が見込めるというわけです。

 

3-4.ノウハウの属人化を防止できる

多くの企業では、情報システム業務を担当者に任せきりにしていています。


そのため、社内のIT資産やシステムに関するあらゆるナレッジやノウハウをすべて把握している部署でありながら、それらが他部署に共有されず、担当者だけしかわからないブラックボックス化、属人化しがちです。


たとえばシステムに不具合が生じても、「情シスさんが休みなので誰も復旧できない」と社内みんなが右往左往する、といった笑えない出来事も耳にしたことがあるのではないでしょうか。

これもまた、アウトソーシングによって解決できます。
情シス業務を請け負った代行業者の方で、ナレッジやノウハウ、マニュアルなどを保持、共有するので、担当者がひとりいなくても別の誰かが代わって業務を行うことができるのです。

 

4.情報システム業務をアウトソーシングするデメリット

情報システム業務をアウトソーシングするデメリット

このように、情報システム業務のアウトソーシングにはさまざまなメリットがありますが、一方でデメリットないとはいえません。
それは以下のような点です。

 

4-1.ノウハウや知見が社内に蓄積しにくい

前章の3-4.ノウハウの属人化を防止できるで触れたように、情報システム業務をアウトソーシングした場合、業務に関するノウハウやナレッジは代行業者内に蓄積されます。
問題が発生したときに、どのような方法で解決したか、その細かい経緯や対応などは、委託した企業側ではわかりません。

つまり、ノウハウが属人化されることがないかわりに、自社内に蓄積されることも難しくなっていくわけです。
これを防ぐには、代行業者との間で対応内容などの情報を共有する仕組み作りが必要です。

 

4-2.代行業者によって対応できる業務範囲やレベルに差がある

ビジネスにおいてICTの重要性が増している現在、情報システム業務を代行する業者は数多く存在し、請負業務の内容やスキルレベル、費用は業者によってまちまちです。


そのため、「費用が安い」といった理由だけで委託先を選ぶと、「A業務だけでなくB業務も委託したかったのに、B業務に対応できる人材がいなかった」「業務のスキルが低い」といったミスマッチが発生するリスクが避けられません。

そうならないためには、業者に委託する前にかならず、こちらが委託を希望する業務についてくわしくすり合わせる必要があるでしょう。

 

5.情報システム業務をアウトソーシングする際の注意点

情報システム業務をアウトソーシングする際の注意点

以上のメリット・デメリットを踏まえた上で、「やはり情シス業務をアウトソーシングしたい」と考えた方は、実際に委託する前に以下の点に注意してください。

 

5-1.外注する業務と内製業務を切り分ける

アウトソーシングを検討することになった際には、まず最初に「業者に外注する業務/社内で行う内製業務」を切り分けましょう。
それが明確になっていないと、予算も立てられませんし、業者に相談もできません。

そこでまず、現在情報システム部門が担当している業務を、細かいものまですべて洗い出します。
その上で、外注したいもの、社内で行いたいもの・できるものを仕分けていきましょう。
業務の中には、社外秘の重要情報を扱うなどの理由で、外注できないものもあるはずですので、担当者の意見を聞きながら分類してください。

 

5-2.複数の外注先候補をあげて比較する

4-2.代行業者によって対応できる業務範囲やレベルに差があるで説明したように、情報システム業務の代行業者は玉石混交です。
その中から、自社の業務内容や予算を踏まえて最適な委託先を選ぶのはなかなか難しいものです。


そこで、まず最初に複数社の候補をピックアップし、それぞれに対してこちらが委託を希望する業務について相談、すり合わせる必要があるでしょう。


その中で、業者側が「この業務はうちでは請け負えません」となる場合もあるでしょうし、委託する企業側が「この業者はこちらが希望するレベルではないな」と感じるかもしれません。

さらに、費用に関しても相見積もりをとって比較しましょう。
これらさまざまな要素を踏まえて、自社に最適な業者を選んでください。

6.情報システム業務のアウトソーシング先の探し方

情報システム業務のアウトソーシング先の探し方

情報システム業務をアウトソーシングする際には、複数社を比較して選ぶ必要があることはわかりました。
が、そもそもその業者は、どうやって探せばいいのでしょうか?

おすすめなのは、ビジネス向けのマッチングサイトやマッチングサービスを利用することです。
こちらの条件を入力して該当する業者を検索できるサイトや、希望に合った業者を探して紹介してくれるサイトなどがありますので、PCやスマホで簡単に委託先探しができます。

ここではその例として以下のサイト、サービスをご紹介しておきますので、利用してみてください。

 


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また、マッチングサービス以外にも、こちらが希望する人材でチームを組んでもらえる以下のようなサービスもあります。

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7.情報システム業務のアウトソーシング先選びのポイント

情報システム業務のアウトソーシング先選びのポイント

アウトソーシング先の候補がピックアップできたら、各業者に相談の上見積もりをとって比較し、1社を選びます。
そこで、業者選びの際にチェックしておくべきポイントも挙げておきましょう。
以下の3点を確認して、自社にもっとも合った代行業者を選んでください。

 

7-1.希望する業務範囲に対応しているか

まず第一に、こちらが委託したい業務範囲をすべて請け負える業者でなければなりません。
5-1.外注する業務と内製業務を切り分けるできり分けた外注業務をカバーしている業者を選びましょう。

業者の中には、情報システム業務のほぼすべてを代行できるものもあれば、ヘルプデスクなど窓口業務に特化しているところもあります
さらに、業務レベルの確認も必要です。
こちらからマネージャーを立てて、現場対応だけを外注したい場合、ほぼ情報システムの部署ごと任せたい場合など、個々の事情によって求めるスキルや経験は異なるでしょう。
それも合わせて、どこまで対応可能でどこからは不可能か、具体的に確認しましょう。

 

7-2.同業種、同業務での実績があるか

また、その代行業者の過去の実績も知りたいところです。
発注側の企業と同じ業種、似たような業務での受託実績が豊富であれば、ミスマッチのリスクは低くなります。

反対に、あまり実績のない業者や、こちらの業種にくわしくない業者であれば、委託しても適切な対応がとれない恐れがあるでしょう。

 

7-3.追加費用が発生するか

2-2.情報システム業務をアウトソーシングする費用相場では、アウトソーシングの費用相場を以下のように説明しました。

◎ヘルプデスクなど問い合わせ対応:5万~100万円/月
◎テクニカルサポート:10万~150万円/月
◎システムの企画・開発:内容によって見積もり

これを見ると、金額に大きな幅があります。
これは、業務の規模や対応数などさまざまな条件によって費用が決まるからです。

中には、「PC 〇台までは基本料金に含まれるが、それ以上は1台当たり〇円追加」など、別途で追加費用が発生する料金プランになっている業者もあります。
そこで、どんな場合に追加費用が発生するか、自社の場合は該当するかを細かく確認した上で、見積もりを出してもらいましょう。

これを怠ると、あとで「聞いていなかった追加費用が加算されて、予算オーバーしてしまった」となる恐れがあります。

 

まとめ

いかがでしたか?
情報システム業務のアウトソーシングについて、知りたいことがわかったかと思います。
ではあらためて、記事の要点をまとめておきましょう。

◎情報システムでアウトソーシングでき業務範囲のは、
・社内のPC管理、設定
・ヘルプデスク、サポートデスク
・ネットワーク、サーバー構築、保守
・セキュリティ対策
・情報システムの企画開発     など

◎情報システム業務をアウトソーシングするメリットは、
・エンジニアがコア業務に注力できる
・人材採用、育成の時間やコストがかからない
・人件費を削減できる
・ノウハウの属人化を防止できる

◎情報システム業務をアウトソーシングするデメリットは、
・ノウハウや知見が社内に蓄積しにくい
・代行業者によって対応できる業務範囲やレベルに差がある

これを踏まえて、あなたの会社の情報システム業務が円滑に回るよう願っています。

 

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